学部・大学院区分法・博前
時間割コード2301970
科目区分法学研究科開講科目
Courses Offered by the Graduate School of Law
科目名 【日本語】立法政策論基礎研究
科目名 【英語】Fundamental Studies in the Theory of Legislative Policy
担当教員 【日本語】松本 俊太 ○
担当教員 【英語】
単位数2
開講期・開講時間帯春 木曜日 1時限
Spring Thu 1
対象学年1年
1
授業形態講義
Lecture


授業の目的 【日本語】
「立法政策論」(または「立法学」)という学問は、大きく分けて、「立法過程論」・(狭い意味の)「立法政策論」・「立法技術論」に分けることができる。また、この学問を修めるためは、法律学・政治学(行政学含む)・経済学といった複数の領域だけでなく、官僚など実務家の実体験に基づいた知識などにも通じることが求められる。時間の制約上、本講義は、政治学の立場から、立法が行われる「過程」を客観的に学ぶことを主な課題とする。ただし、「立法過程」を学ぶことは、さらに「立法政策」や「立法技術」を含む「立法学」の全体を学び進めるための前提となると思われる。
講義の構成は以下のとおりである。
・第一部 政策過程の理論:「行動」と「制度」をキーワードに、どのように政策が形成されてゆくのかを知るための理論を学ぶ。また、理論を実証するための「方法」についても若干触れる。
・第二部 立法の比較研究:「新制度論」による比較政治分析全般を、つづいて、議会制度と立法過程に関する理論を、それぞれ紹介する。
・第三部 日本の立法の制度と過程:第二部までの理論的・方法論的な考え方の具体例として、日本の立法の制度と過程について学ぶ。
・第四部 日本の国会に関する実証理論と規範理論:第三部の内容を踏まえて、日本の国会の機能をどのように捉えるか、まず実証的な研究を概観する。つづいて、規範的な議論や改革論、そして実際に 1990 年代以降に行われた一連の改革について論じる。
授業の目的 【英語】
Studies on “legislative policy,” or “legislative studies,” roughly consists of “legislative process,” (narrowly defined) “legislative policy,” and “legislative techniques.” This is a multi-disciplinary academic field which requires knowledge on law, political science (including public administration), economics, and practical knowledge shared by bureaucrats or others. This course, due to time constraints, mainly deals with “legislative process” from the perspective of political science. At the same time, studying “legislative process” should offer the basics of the “legislative studies” as a whole, including “legislative policy” and “legislative techniques.”
The structure of the course is as follows:
* Part 1: Theories about policy-making processes. This part reviews empirical theories about policy-making processes. Keywords are “behavior” and “institution.” This part also quickly reviews “methods” that attempt to test these theories.
* Part 2: Comparative studies on legislature and legislation. This part offers comparative analyses based on “new institutionalism” in general and studies on legislative institutions and processes in particular.
* Part 3: Legislature and legislation in Japanese government. As an example of the theoretical and methodological argument in Part 1 and 2, this section is to study legislative institutions and processes in Japan’s government.
*Part 4: Empirical and normative theories on Japan’s legislature. Following Part 3, this part reviews empirical studies about how Japan’s Diet function. This section also discusses normative arguments, including a series of Diet reforms since 1990s.
到達目標 【日本語】
・政治学関連の分野を専攻する受講生にとっては、「政治過程論」の一分野である政策過程論における理論と方法を、日本の立法過程を具体例として参照しながら理解することが目的となる。 ・法律学(とりわけ実定法解釈学)を専攻する受講生にとっては、「立法学」へのイントロダクションとともに、法律の解釈だけでなく、法律が現実に及ぼす効果を客観的に理解することの意義を実感することが目的となる。
到達目標 【英語】
授業の内容や構成
回 / テーマ / 講義内容 / 授業時間外の学修活動 / 関連ページ


・講義の進め方・学習の進め方
・イントロダクション
・講義の計画・成績評価・注意事項などの説明
・イントロダクション
参考文献『立法学』序論


政策過程の理論1
・行動科学革命と、政治過程論(≒立法過程論)のはじまり
・個人による意思決定:合理モデルと満足モデル
・組織による意思決定:アリソンの 3 つのモデルを例に
参考文献『政治学』第15章 『政治過程論』第1~2章


政策過程の理論2
・政策過程のサイクル論
・課題設定過程
・政策の実施と評価
・ゴミ缶モデルと課題設定
参考文献『政治学』第15章 『政治過程論』第3章


政策過程の理論3
・比較政治学と新制度論
参考文献 『政治学』第17章 『比較政治』第1章 『比較政治制度論』第1~2章


政治学方法論
・比較政治学と政治学方法論
参考文献 『比較政治』第1章 『比較政治制度論』第1~2章


立法の比較研究1:概略と理論
・議会制度と立法過程の概略
・比較の観点からみた議会のタイプ:変換型議会とアリーナ型議会
・各国議会の基礎知識:大統領制(アメリカ合衆国を例に)
参考文献 『政治過程論』第9章 『政治学』第10章 『比較政治制度論』第4~6章


立法の比較研究2:立法過程と民主主義
・各国議会の基礎知識(つづき):議院内閣制の国々
・民主主義の類型化:制度のヴァリエーションには、どういう意味があるのか?
・(補足)政治制度と民主主義の比較分析・その他
参考文献 『政治過程論』第6・8章 『政治学』第22・24章 『比較政治制度論』第3・5章
この回の講義内で、レポート(配点 20 点)の問題およびその他詳細を連絡する。欠席した場合は、掲示を出すのでそちらを参照すること。


日本の立法過程1:概略
・比較の観点からみた日本の立法制度の特徴
・日本の立法過程の特徴
参考文献『立法学』第1章


日本の立法過程2:省庁内過程・政府内過程
・省庁内過程
・政府内過程
参考文献『立法学』第2~3章 『比較政治制度論』第7章

10
日本の立法過程3:与党内過程
・与党審査の基礎知識
・族議員現象
・与党審査に対する評価
参考文献『立法学』第4章

11
日本の立法過程4:国会内過程1(内閣提出法案)
・日本の国会の特徴
・国対政治
・議員立法
・二院制
参考文献『立法学』第5・8章

12
日本の立法過程5:国会内過程2(各種のトピック)
・議員立法
・二院制
・予算過程
・行政監視機能
参考文献『立法学』第9章

13
日本の国会に関する実証理論
・政治学における国会研究第1世代:エリート理論―国会無能論 vs 粘着性論 vs 多元主義
・政治学における国会研究第2世代:合理的選択制度論と国会研究
・国会の機能をめぐる学術的論争をどう理解するか
参考文献『立法学』第10章・第8章( pp.224-233 )

14
日本の国会に関する規範理論・改革論
・ 1990 年代における日本政治の改革
・ 1990 年代の国会改革
・民主党政権下における立法過程改革
参考文献『立法学』第11章
この回までの講義内で、期末試験(配点 70 点)に関する詳細を連絡する。欠席した場合は、掲示を出すのでそちらを参照すること。

15
講義のまとめ他
・講義 まとめ
・小テスト講評
・質疑応答
参考文献 なし

履修条件・関連する科目
・高等学校の「政治・経済」の知識、および、新聞レヴェルの時事問題に関する知識をもっていることを前提とする。 ・「政治過程論」「行政学」を履修済み、あるいは並行して履修することが望ましい。
成績評価の方法と基準
・レポート( 20 点):問題・提出期限・その他詳細については、第7回講義内および掲示にて連絡する。
・期末試験 (70 点 ) :筆記試験。受講生が著しく少ない場合は、レポートによる試験をもってかえる
・授業内小テスト (10 点 ) :受講生の理解度を確認することや、受講生からの疑問を受け付けることを目的として、抜き打ちで小テストを数回行う。
・講義中の私語と電子機器の使用は厳禁とする(電子機器の使用を必要とする場合は事前に許可を得ること)。これらおよびその他マナーを遵守しない場合は、その程度に応じて減点することがある。 ・A:80点以上 B:70~79点 C:60~69点 F(不合格):59点以下
教科書・テキスト
・指定しないが、適宜、下記参考書・参考資料の該当箇所を入手し、独学すること。
参考書
・中島誠 (2014) 『立法学』第3版 全章(第8回以降は、同書の内容に沿って講義する。)
・建林正彦他 (2008) 『比較政治制度論』第 1 ~ 7 章
・久米郁男他 (2011) 『政治学 補訂版』 第 10 章・第 15 章・第 17 章・第 23 章・第 24 章
・小野耕二 (2001) 『比較政治』 第 1 章 ・その他、毎回のハンドアウトにて指定した文献を、レポート(後述)を作成する場合には参考にすることが期待される。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
・予習よりも復習を行う方が望ましい。予習・復習に要する時間は基本的に定めないが、一般論で言えば、講義時間(90分)の2倍以上は費やすことになるであろう。
・当然ながら、授業時間外に最も学習時間を要するのは、期末試験に向けての学習である。期末試験の概要は、第14回講義までのどこかの講義内および掲示にて連絡するので、これを踏まえて、納得ゆくまで準備すること。 ・本シラバスに記した参考文献の他、毎回の講義の最後に「補足ハンドアウト」を配布し、関連する文献を紹介する。必要に応じて自学自習に役立てること。
注意事項
・初回の講義で、より詳細なシラバスを配布するので、初回の講義はできるだけ出席すること。初回の講義に出席できなかった場合は、できるだけ早く詳細版シラバスを入手すること。
授業開講形態等
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置