授業の目的 【日本語】 | | 憲法基礎Ⅰ及びⅡの履修を前提に,訴訟実務面におけるいわゆる憲法訴訟の法知識を涵養し,これをもとに批判的に検討・発展させていく創造的な思考力を養い,事実に即した具体的な問題解決に必要な法的な分析・議論能力の育成をはかる。「憲法訴訟」は,民事・刑事・行政の各訴訟とはレベルの異なる範疇であり,比較的最近の理論・実務において形成されかつ変転してきたという事情に鑑み,これまでの憲法学習で習得した知識を批判的・創造的に展開する思考力と,事実に即した具体的な問題解決に必要な分析・議論能力を育成する。これに関わって,憲法訴訟の日本的特殊性にも批判的観点を養い,真に「法の支配」の担い手たる法曹に必要な素養を養う。演習は,具体的な事例を素材にディベートの形式で進めるが,既存の学説,法令及び判例を理解するというよりも,法曹に求められる資質としての問題発見的あるいは提起的姿勢を育むものとする。また,判例法理を抽象的に理解することのないように,第一審から判例を読むように指導する。 なお、この講義は、「法科大学院における共通的な到達目標」を踏まえて、具体的な授業内容を設定している。 |
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授業の目的 【英語】 | | |
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到達目標 【日本語】 | | (1)従来の「憲法訴訟」事案から,解釈論的論点を発見し,解釈論を具体的に展開し,それらを支える原理論上の問題点にまで到達する論理的・理論的思考ができる。 (2)価値観が先鋭的に対立する問題において,相手を説得するのに必要な問題発見能力と論証能力に基づいた討論ができる。 (3)憲法訴訟の基本的考え方や原理に習熟し,身近な人権侵害や憲法違反をいかに 訴訟に乗せるかという観点から思考できる。 (4)憲法訴訟の技術的解釈論のみならず,問題解決策の妥当性を社会の実態を踏まえて,より広い視野から総合的に検証することができる。 (5)自らの法的思考の過程を文章化して明快に表現することができる。 |
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到達目標 【英語】 | | |
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授業の内容や構成 | | 1
導入講義①:憲法訴訟を実践的に学ぶ
最初に憲法訴訟を実践的に学ぶための視点を提供する。具体的な事案を素材として、当事者の立場から憲法問題を考える方法を学ぶ。
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導入講義②:憲法訴訟の理論と技術
1.「法律上の争訟」に関する判例法理を理解する。 2.第三者の権利主張、合憲限定解釈、適用違憲など、憲法訴訟の技術に関わる諸論点を理解する。
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事例研究①:信教の自由と政教分離
1.「政教分離と信教の自由の対立」という問題を理解する。 2.宗教的理由による法的義務の免除にかかわる解釈論上の論点を理解する。
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事例研究②:外国人の人権
1.外国人の選挙権・公務就任権に関する判例・通説の考え方を理解できる。
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事例研究③:私人間効力
1.三菱樹脂事件最高裁判決を正確に読むことで、私人間効力の問題に関する判例法理を理解する。 2.保護義務論など私人間における人権保障に関する理論動向を理解する。
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事例研究④:法人の人権と個人
1.八幡製鉄事件最高裁判決の判旨を正確に理解し、その問題点を明らかにする。 2.南九州税理士会事件や群馬司法書士会事件との比較を通じて、法人の人権という問題に関する判例法理を整理・理解する。
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事例研究⑤:特別な法律関係における人権の限界
1. 猿払事件最高裁判決の正確な理解と批判的検討を踏まえて、堀越事件など最近の事案を検討する。 2. よど号事件記事抹消事件判決の正確な理解と批判的検討を踏まえて、在監者の人権の問題を具体的に理解する。
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事例研究⑥:法の下の平等
1.国籍法違憲判決の内容を理解し、その意義を測定する。 2.非嫡出子の法定相続分の差別に関する判例法理を理解する。
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事例研究⑦:事例演習(1)
前半で検討した論点にかかわる事例問題について、各自が原告・被告のそれぞれの立場から主張し、その主張の当否を参加者全員で検討する。
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事例研究⑧:表現の自由と人格権
1.表現の自由とプライバシー権の関係が問題となった判例をを正確に理解する。
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事例研究⑨:事前差止めと表現の自由
1.検閲と事前規制の関係を理解できる。 2.「北方ジャーナル事件」判決を正確に読んで、事前差止めの可否に関する判例・学説の議論を理解する。
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事例研究⑩経済的自由
1.規制目的二分論に関する判例法理を現在の学説状況を踏まえて正確に理解する。 2.森林法違憲判決の法理を学説動向を踏まえて正確に理解する。 3.郵便法違憲判決などその他の財産権の規制に関する判例の考え方を理解する。
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事例研究⑪:社会権判例の現代的展開
1.老齢加算廃止に関する判決の検討を通じて、「制度後退原則」という学説の問題提起の意味を理解する。 2.公務員の労働条件に関する現状を踏まえて、全農林事件大法廷判決の意義を問い直す。
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事例研究⑫:立法不作為の違憲確認訴訟
1.立法不作為を争う方法の必要性とその手法を理解する。 2.国倍請求を利用した立法不作為の違憲確認に関する判例・学説の展開を理解する。
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事例研究⑬:事例演習(2)
後半で検討した論点にかかわる事例問題について、各自が原告・被告のそれぞれの立場から主張し、その主張の当否を参加者全員で検討する。
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まとめ
全体についての最終テストを行う。
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履修条件・関連する科目 | | (1)基本的判例と最新の事例の双方に目配りをし,常に問題提起的な姿勢を維持すること。 (2)3年コースは1年次の憲法基礎I・IIを履修しておくことが望ましい。 (3)憲法の事案問題に関する思考力をより深めたい者、あるいは、思考力不足を感じる者に対しては、本講義を履修したうえで、後期に「比較公共訴訟論」を受講することを勧める。 |
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成績評価の方法と基準 | | 平常点(出席・発言・レジュメ作成)20点、レポート1回20点、学期末試験60点とする。合否の判断は名古屋大学の評価基準に基づいて行う。 到達目標(1)について:平常点・レポート・学期末試験 到達目標(2)について:平常点・レポート 到達目標(3)について:平常点・レポート 到達目標(4)について:平常点・レポート・学期末試験 到達目標(5)について:レポート・学期末試験 なお、学期末試験が教場で実施できない場合は、CANVASの課題ページを利用してオープンブック方式による試験を実施する。詳細は講義中に指示する。 |
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教科書・テキスト | | 講義レジュメをアップする。ただし、各自が利用する憲法の基本書を持参すること。 また、長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ(第7版)』(有斐閣、2019年)は教科書ではないが、講義の際は持参することが望ましい。 |
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参考書 | | ①芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第7版)』(岩波書店、2018年) ②宍戸常寿『憲法解釈論の応用と展開 第2版』(日本評論社、2014年) ③木下智史ほか編『事例研究 憲法 第2版』(日本評論社、2013年) ④木下智史・伊藤健『基本憲法Ⅰ』(日本評論社、2017年) ①は「憲法基礎Ⅰ・Ⅱ」の教科書に指定してある。この講義でも同書の記述に言及することが多いので、予習等の際に参考にすることが望ましい。 ②と④は講義内容の理解を深めるのに役立つであろう。 ③は講義内容を踏まえて自習をする際に役立つであろう。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) | | 予習:講義レジュメの指示に従って判例資料・配布資料及び関連文献を読んでおくこと。 復習:判例資料・配布資料・関連文献を参考にしながら、講義内容を自分で整理しておくこと。なお、個別的な指示は講義中に行う。 |
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注意事項 | | ・講義内容の詳細や進行については、「ページ」の欄を参照。そこにレポート課題の予定も書いておいた(ただし、講義の進行に合わせて日程変更する場合がある。講義の際に支持する)。 ・学部において憲法を履修した者はその内容を復習しておくこと。 ・講義計画第3回~14回の講義では、それぞれ数名の者を「担当責任者」とし、担当回の講義内容についてレジュメを作成し、一般の受講者よりも深く予習してくることを求める。一般の受講者が教員の質問に解答できない場合や、難しい内容の設問を検討する場合に、教員は「担当責任者」を指名し、解答を求める。詳細は第1回の講義の際に説明する。 名古屋大学における COVID-19 問題についての下記の指針を参照すること(とくに「 5. 学生の入構制限」に注意)。 http://www.law.nagoya-u.ac.jp/_userdata/20200409shishin2.pdf なお、「方針」における警戒カテゴリー・レベルは更新される―上記のものはあくまで 4 月 9 日現在のものである―ので、名古屋大学 HP (トップページ)にある「新型コロナウィルス感染症( COVID ‐ 19 )における名古屋大学の活動方針」を随時確認するようにすること。 |
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授業開講形態等 | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
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