学部・大学院区分法・専学
時間割コード9312702
科目区分法律基本科目(必修)
Basic Law Courses
科目名 【日本語】刑事訴訟法Ⅱ
科目名 【英語】Criminal ProcedureⅡ
担当教員 【日本語】小島 淳 ○
担当教員 【英語】KOJIMA Jun ○
単位数2
開講期・開講時間帯秋 月曜日 1時限
Fall Mon 1
対象学年1年
1
授業形態演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
まず、刑事訴訟法Ⅰ(刑事訴訟法)において取り扱った範囲以降の範囲(証拠の一部、裁判、救済手続)につき、その基本構造を明らかにし、理論上、実務上の重要問題に検討を及ぼす。 さらに、刑事訴訟法Ⅰ及び本講義の前半部分の学修を通じて刑事手続の基本的な流れと重要な個別の制度・手続の概要・趣旨、それに関わる基本的な解釈・運用上の問題が理解できていることを前提に、本講義の後半部分においては、刑事手続の全体にわたって、より発展的・応用的・現代的な問題を含む設例や裁判例を素材として問題研究(討論形式)を行うことにより、刑事手続の理論的理解を深めるとともに、実践的な問題発見・分析・解決能力の錬成を図る。 なお、本講義は、「法科大学院における共通的な到達目標」(各自習室に置いてある閲覧用ファイル参照)を踏まえつつ、具体的講義内容を設定している。
授業の目的 【英語】
到達目標 【日本語】
証拠の一部、裁判、救済手続に関する講義においては、刑事訴訟法Ⅰと基本的には同様(下記(a)~(d)参照)の点が到達目標となる。 (a)刑事手続の基本的な流れとそこにおける法曹三者の役割がわかる。 (b)個々の制度・手続とその趣旨、それらを貫く基本原理がわかる。 (c)刑事手続の基本的理解を前提に、具体的事例において、それを用いて問題を分析し解決に導くことができる。 (d)問題発見、分析、解決の過程を説得的に表現し、他者と議論することができる。 もっとも、上記の点は本講義における中間的な到達目標であり、本講義の最終的な到達目標は、上記を踏まえ、さらに以下の点に達することである。 (1)現在の刑事手続が当面する理論上・実務上の重要問題がわかる。 (2)刑事手続の理論的理解をもとに、具体的問題を法的に解析し、解決に導くことができる。 (3)問題発見、分析、解決の過程を、他の考え方にも目配りしつつ、論理的・説得的に表現し、他者と議論することができる。
到達目標 【英語】
授業の内容や構成
1

伝聞証拠(1)

◎伝聞の基礎
●伝聞法則と証人審問権 【最大決昭25・10・4刑集4・10・1866】 ●伝聞と非伝聞 【最二小判昭30・12・9刑集9・13・2699】 【最一小判昭38・10・17刑集17・10・1795 〔白鳥事件〕】
◎伝聞例外(1)
●伝聞書面
○被告人以外の者の供述を内容とする書面(ここでは特に321条1項3号書面)
○被告人の供述を内容とする書面(322条)
●伝聞供述(324条)

「予習用資料」を参考にして、
1.指定された裁判例・文献の検討 2.基本書等の関連箇所の確認


2

共犯者の供述
伝聞証拠(2)

◎共犯者の供述の取扱い ●共犯者(共同被告人)の法廷供述の獲得方法及びその供述の証拠能力
◎伝聞例外(2)
●321条1項2号書面(検面調書) ○前段書面 【最大判昭27・4・9刑集6・4・584】(証言拒絶) 【最三小判平7・6・20刑集49・6・741】(退去強制)
○後段書面 【最二小決昭58・6・30刑集37・5・592】 (証人尋問後に作成された供述調書) ※【東京高判平5・10・21高刑集46・3・271】 (証人尋問後に作成された供述調書―再喚問前に証人が自殺した場合―)
※刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託尋問調書
※任意性の調査(325条)、合意書面(327条)の取扱いについては自習に委ねる。

同上


3

伝聞証拠(3)

◎伝聞例外(3)
●犯行計画メモ(共謀メモ)の証拠能力 【東京高判昭58・1・27判時1097・146】
●再伝聞 ●326条の同意

同上


4

伝聞証拠(4)

◎伝聞例外(4)
●321条1項該当書面以外の伝聞書面の取扱い 〇2項書面(簡単に) 〇3項書面 ・実況見分調書の証拠能力 【最判昭35・9・8刑集14・11・1437】 ・犯行再現実況見分調書等の証拠能力 【最決平17・9・27刑集59・7・753】 参考:【最二小判昭36・5・26刑集15・5・893】 (実況見分の立会人の指示説明を記載した部分の取扱い) ◎現場写真の証拠能力 【最二小決昭59・12・21刑集38・12・3071】 ※録音テープ・ビデオテープの取扱いについては自習に委ねる。

同上


5

伝聞証拠(5) 裁判(1)

◎伝聞例外(5) ●321条1項該当書面以外の伝聞書面の取扱い(続き)
〇3項書面か4項書面か
・燃焼実験報告書(抄本)の証拠能力 【最二小決平20・8・27刑集62・7・2702】 参考:【最判昭28・10・15刑集7・10・1934】 (鑑定受託者の作成した鑑定書の証拠能力) 【東京高判昭58・7・13高刑集36・2・86】(写しの証拠能力)
●328条により許容される証拠 【最判平18・11・7刑集60・9・561】
◎裁判 ●裁判総説(裁判の種類等)
●概括的認定・予備的認定・択一的認定 ○訴因における実行行為者の表示と異なる実行行為者の認定 【最三小決平13・4・11刑集55・3・127】 ○狭義の択一的認定 【札幌高判昭61・3・24高刑集39・1・8】 ※単独犯と共同正犯の間の択一的認定 →「訴因変更の要否」を検討する回に併せて検討する予定

同上


6

裁判(2)

◎裁判(続き) ●量刑 ○余罪の量刑上の考慮 【最大判昭41・7・13刑集20・6・609】 【最大判昭42・7・5刑集21・6・748】
●裁判の効力
○一事不再理の効力 【最三小判平15・10・7刑集57・9・1002】

同上


7

裁判(3)
救済手続

◎裁判(続き)
●裁判の効力(続き)
○形式裁判の拘束力 【最三小決昭56・7・14刑集35・5・497】 【大阪地判昭49・5・2判時745・40(偽装死亡による 公訴棄却決定確定後の再訴追)】 ※無罪判決の付随的効力(無罪判決後の (再)勾留の可否) →基本的には自習に委ねる
◎救済手続 (なお、講義の進行の度合によっては、一部を自習に回すこともある) ●上訴 ○上訴総説(上訴の利益、不利益変更の禁止、破棄判決の拘束力等) ○控訴 ・控訴審の構造と攻防対象論 【最大決昭46・3・24刑集25・2・293〔新島ミサイル事件〕】 ○上告(簡単に) ※抗告については自習に委ねる。 ●非常救済手続 ○再審 ・再審開始事由の存否の判断基準 【最一小決昭50・5・20刑集29・5・177 〔白鳥事件〕】 【最小決昭51・10・12刑集30・9・1673 〔財田川事件〕】
※非常上告については自習に委ねる

同上


8

捜査をめぐる諸問題(1)

◎「捜査の端緒」に関する問題点の検討
●自動車検問 【最決昭55・9・22刑集34・5・272】 ●所持品検査 →昭和53年判例及びその後の最高裁判例の確認・検討 【最三小判昭和53・6・20刑集32・4・670】 【最三小決平7・5・30刑集49・5・703】 【最一小決平15・5・26刑集57・5・620】

同上


9

捜査をめぐる諸問題(2)

◎逮捕・勾留に関する問題点の検討 ●一罪一逮捕一勾留の原則、現行犯逮捕等
【東京高判平17・11・16東京高等裁判所(刑事)判決時報56・1~12・85、高等裁判所刑事裁判速報集(平17)214】も参照

同上


10

捜査をめぐる諸問題(3)

◎捜索・差押えに関する問題点の検討 ●コントロールド・デリバリー ※関連する範囲で(かつ、時間が許す限りで) 【最決平11・12・16刑集53・9・1327】も検討 ●「将来犯罪」を被疑事実とする(または発付 時点では捜索場所に存在しないことが明らかな物を差押え対象物とする)捜索 差押え令状等の発付

同上


11

捜査をめぐる諸問題(4)

◎捜索・差押えに関する問題点の検討(続き) ●嚥下物の強制的取得のための手段 ○新たな令状の取得(必要な令状の種類 ○新たな令状によらずに実施することの許否 ○強制連行の許否

同上


12

捜査をめぐる諸問題(5)
公訴をめぐる諸問題(1)

◎科学的捜査に関する問題点の検討
●GPS捜査
●通信・会話の傍受 →主に「通信傍受法の重要問題」につき、復習用資料」にてフォローする) ※【自習】「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」の刑訴法改正部分についての概要の把握
◎検察官の訴追裁量権に関する問題点の検討

同上


13

公訴をめぐる諸問題(2)
公判をめぐる諸問題
証拠をめぐる諸問題(1)

◎訴因の特定・変更に関する問題点の検討 ※単独(正)犯と共同正犯の間の「択一的認定」の適否 ◎証拠の関連性に関する問題点の検討(1)

同上


14

証拠をめぐる諸問題(2)

◎証拠の関連性に関する問題点の検討(2)
◎違法収集証拠に関する問題点の検討 ●【最決平15・2・14刑集57・2.121】の確認 ●【最三小決平21・9・28刑集63・7・868】の検討

同上


15

証拠をめぐる諸問題(3)
司法制度改革をめぐる諸問題

◎自白法則(・違法収集証拠排除法則)に関する問題点の検討 ●【最二小決昭59・2・29刑集38・3・479 (高輪グリーンマンション殺人事件)】の確認(簡単に) ●【東京高判平14・9・4判時1808・144 (ロザール事件)】の検討 →上申書・検察官調書の証拠能力判断を中心に
◎司法制度改革をめぐる諸問題

同上


16

期末試験

◎期末試験及び講評



履修条件・関連する科目
刑事訴訟法Ⅰを履修していること。
成績評価の方法と基準
学期末試験 50% 課題・小テスト 30%(課題15% + 小テスト15%) 授業における討論参加・発言内容(出席状況を含む) 20% 学期末試験では、(2)及び(3)(なお、その前提として(c))を中心に、(1)を含めた到達度を総合的に判定する。 レポート・小テストでは、到達目標(1)・(2)(その前提として(a)・(b)・(c))の到達度の確認を主眼としつつ、他の諸点を含めたその時点までの到達度を判定する。 授業における討論参加・発言内容では、毎回の講義に出席していることを前提として、(3)(その前提として(d))の技量に重点を置きつつ、他の諸点の到達度も加味した評価をする。
教科書・テキスト
特定のものは指定しない。取り扱う裁判例や参考文献をその都度指示する予定。
参考書
井上正仁・酒巻匡・大澤裕・川出敏裕・堀江慎司・池田公博・ 笹倉宏紀『ケースブック刑事訴訟法〔第5版〕』(有斐閣) など
課外学習等(授業時間外学習の指示)
「ページ」において、「参考資料」や「予習用資料」を掲示するほか、各講義回につき具体的に指示する。復習に関しては「復習用資料」も参照。
注意事項
出席回数が11回に満たない者は期末試験の受験資格を認めないので、体調管理には十分留意すること。 遅刻は2回で1回の欠席に相当するものとして換算する。
※特に教室で講義を受講する者については下記の注意事項も参照。
●具体的な講義実施方法や注意事項等については以下のとおり。
①遠隔講義は月曜日の1限にZoomを用いた同時双方向方式で実施する。 ②対面講義は月曜日の2限に第2講義室で実施する。 ③遠隔講義は上記「教室」欄記載の教室で受講することもできる(が、特に公共交通機関を利用して通学する者については、上記のとおり)。 ④対面講義につき、発熱等の理由で登校しないことが成績評価上不利益に扱われることはない。 ⑤対面講義または遠隔講義を教室で受講する際は、学生は以下の事項を守らなければならない。 ・マスクを着用すること。 ・番号札の付された座席のみを使用すること。 ・自己が使用した座席の番号を記録しておくこと。 ・講義前後に手指消毒や手洗いを行うこと。 ・体調不良の場合は登校しないこと。 ⑥今後の感染状況によっては、対面で行う予定の講義回も遠隔講義に切り替える可能性または教室での遠隔受講ができなくなる可能性がある。
授業開講形態等
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置