授業の目的 【日本語】 | | 本講義は,民事裁判による紛争解決手続(主として民事訴訟手続)の実務の基礎を学ぶことを目的とするものである。 私人間の紛争を民事訴訟によって法的に解決するためには,当事者の言い分に含まれる様々な事実のうち,法的に重要な事実は何か(要件事実),その事実の存否が当事者間で争われたとき,事実の存否をどのようにして確定するのか(証明責任,事実認定),事実認定において,文書や関係者の供述等の証拠をどのように評価するべきか,などといった実務上の問題について,基礎的な理解を修得していることが必要不可欠である。 裁判所は,訴状を受理し,争点整理,証拠調べを経て,判決や和解により,紛争を解決するプロセスにおいて,民事訴訟をどのように運営すべきか,裁判所と当事者代理人の弁護士とは,相互にどのような役割を果たし,また,どのような関係にあるべきかなどを,主として裁判官の実務家教員によって明らかにする。 本講義は,「法科大学院における共通的な到達目標」を踏まえつつ,具体的な授業内容を設定している。 |
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授業の目的 【英語】 | | |
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到達目標 【日本語】 | | 本講義は,主として裁判官の実務家教員により行われるもので,旧制度における司法研修所前期合同研修のプログラムとして設定されていた民事裁判実務の基礎の内容を,法科大学院のカリキュラムに取り込んだうえ,研究者教員による理論的側面の考察を加えて展開するものである。 また,本講義は,実務上の基礎的知識及び理解を修得することにより,新制度における司法修習,とくに民事裁判実務修習における実践的な学修につなげる目的を有する。 したがって,民事訴訟手続の全体像,訴訟物の把握,主張立証責任の所在,主張と立証の違い,要件事実の基本的な考え方,事実認定の基本的な方法といった事項の基礎的理解に基づき,売買代金支払請求訴訟,貸金返還請求訴訟,不動産明渡請求訴訟,不動産登記手続請求訴訟等の典型的な訴訟類型について,当事者の主張を整理し,攻撃防御の基本的な構造を説明できること,さらに,裁判所の訴訟指揮の在り方,裁判所と当事者代理人弁護士の役割や相互関係等を通して,民事紛争解決のあるべき方向が理解できることを到達目標とする。 |
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到達目標 【英語】 | | |
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授業の内容や構成 | | 回 / テーマ / 講義内容 / 授業時間外の学修活動 / 関連ページ
1 要件事実講義 【10/6】 〇 パワーポイントを使うなどして,要件事実に関する基本的事項を講義する。
2 要件事実基礎1 【10/13】 〇 第2回は,売買代金支払請求に関する設例を主に取り上げる。
3 要件事実基礎2 【10/20】 〇 この回は,貸金返還請求に関する設例を主に取り上げる。
4 要件事実 基礎3 【10/27】 〇 この回は,所有権に関する設例を主に取り上げる。
5 要件事実 基礎4 【11/3】 〇 この回は,賃貸借に関する設例を主に取り上げる。
6 記録教材演習1 【11/10】 〇 第6回,第7回の2回にわたり,記録教材を通じて,裁判官の思考過程を実際の訴訟に近い形で学修することにより,要件事実及び訴訟手続についての理解を深める。 〇 ある程度複雑な事例について,要件事実の演習をする。 〇 訴訟手続については,パワーポイントも併用し,裁判所,当事者の役割・心構え,協働のあり方についても検討する。
7 記録教材演習2 【11/17】 〇 第6回と同じ。
8 ミニ模擬裁判(争点整理手続) 【11/24】 〇 学生によるミニ模擬裁判(争点整理手続)を行う。 〇 ミニ模擬裁判を通じて,手続段階に応じて,民事訴訟の実際を理解する。
9 ミニ模擬裁判講評1 【12/1】 〇 第8回に実施したミニ模擬裁判の振り返り,要件事実に関する講評,討論を行う。
10 事実認定講義 【12/8】 〇 パワーポイントを使うなどして,事実認定に関する基本的事項を講義する。
11 記録教材演習3 【12/15】 〇 第10回の講義の知識を前提として,第6回,第7回に用いた記録教材を素材に,事実認定についての演習,討論を行う。
12 ミニ模擬裁判講評2【12/22】 〇 第8回に実施したミニ模擬裁判の事実認定に関する講評,討論を行う。
13 要件事実復習又は発展 【1/12】 要件事実の復習的な内容又は発展的な内容を取り扱う予定である。
14 要件事実復習又は発展 【1/15】 第13回と同じ
15 要件事実復習又は発展【1/19】 第13回と同じ
16 定期試験・講評 〇 言い分方式の設例を題材として,実体法,要件事実,訴訟手続を複合させた出題を予定している。
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履修条件・関連する科目 | | 民法基礎I,II,III,IV,V(またはV,VI),民事訴訟法Iを履修していること。 |
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成績評価の方法と基準 | | (1) 課題レポートの提出(20点) (2) 小テスト(2回程度実施予定)(30点) (3) 学期末試験(50点) 以上の合計60点以上を合格とする。 |
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教科書・テキスト | | 司法研修所編『新問題研究要件事実』法曹会,2011年 司法研修所編『改訂紛争類型別の要件事実』法曹会,2006年 司法研修所編「事例で考える民事事実認定」法曹会,2014年 加藤新太郎編『民事訴訟実務の基礎』第4版 弘文堂,2019年 なお,本講義開始前に改訂された場合は,最新のものを教科書とする。 |
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参考書 | | 加藤新太郎・細野敦著『要件事実の考え方と実務第4版』民事法研究会,2019年 加藤新太郎編『ゼミナール裁判官論』第一法規,2004年 司法研修所編『増補民事訴訟における要件事実第一巻』法曹会,1986年 司法研修所編『民事訴訟における要件事実第二巻』法曹会,1992年 司法研修所編『10訂民事判決起案の手引』法曹会,2006年 司法研修所編『4訂民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて-』法曹会,2001年 司法研修所編『民事訴訟における事実認定』法曹会,2007年 村田渉,山野目章夫編著『要件事実論30講第4版』弘文堂,2018年 奥田隆文,難波孝一編「民事事実認定重要判決50選」立花書房,2015年 加藤新太郎編著『民事尋問技術第4版』ぎょうせい,2016年 草野芳郎著『和解技術論第2版』信山社 大島眞一著 『新版完全講義 民事裁判実務の基礎,上巻[第3版],発展編』民事法研究会,2019年,2016年 ※ その他,適宜紹介する。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) | | 以下の「その他の注意」欄記載のとおり,本講義始前の課題があり得る。また,各事例検討の授業においては,授業に先立って設例が提示され,事前検討,レポート作成が求められる。模擬裁判の授業においては,役割に応じ,訴状,答弁書,準備書面,争点整理案の作成が求められる。詳細は講義計画を参照。 |
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注意事項 | | ①第8回を除き,zoomを利用した遠隔授業の方式によって行う。 ②第8回(11月24日(火))は,法廷教室(文系総合館3階)を利用した対面方式によって行う。 ③学生は,第8回以外の遠隔講義回についても,各自のPC等を使用して教室(2講)にて受講することができる。 ④対面で行う講義回(第8回)において、登校することができない学生の措置は別途講ずるが,成績評価上不利益に扱うことはしない。 ⑤対面で行う講義回及び遠隔講義時に教室受講する際に、登校する学生が守るべき下記事項 ・マスクを着用すること。 ・番号札の付された座席のみを使用すること。 ・自己が使用した座席の番号を記録しておくこと。 ・講義前後に手指消毒や手洗いを行うこと。 ・体調不良の場合は登校しないこと。 ⑥今後の感染状況によっては、対面で行う予定の講義回も遠隔講義に切り替える可能性,または,教室での遠隔受講ができなくなる可能性がある。 |
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授業開講形態等 | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
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