授業の目的 【日本語】 | | 環境法は、環境保全という問題関心の下に発展してきた法の総体を指し、伝統的な法領域の各般に跨りつつ、「環境」「環境問題」の性質を反映した様々な特徴を有する。環境法はまた、環境に関わる価値の問題を核に持つ一方、環境上の具体的な課題解決のために法を如何に活用するかという政策手段としての役割が大きい。 本講義では、こうした環境法の特色や歴史、基本的な考え方等を学ぶとともに、主要な個別法・分野について、政策的意義と法的論点、訴訟上の問題等について検討する。それらを通じて、環境に関わる具体的な問題や政策課題に対し、既存法の解釈・適用によって解決を目指し、あるいは立法的な対応を提案するための素養を得ることを目的とする。 講義の進め方として、最初に環境法総論を講じたのち、各論として、環境基本法、環境影響評価法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染防止法の5法を中心に、各法に関わる問題分野における訴訟を合わせて取り上げ、検討する(廃棄物処理、自然保護、地球温暖化対策にかかる法は、環境法IIで扱う)。 |
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授業の目的 【英語】 | | |
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到達目標 【日本語】 | | 次の点を履修の到達目標とする(相互に関連する面もある)。 ①環境法の基本概念を理解している。 ②環境法Iで取扱う主要環境法制度の概要及び成立・発展の経緯を理解している。 ③事例ごとに主要な法的争点を挙げることができる。 ④各争点に関し、適切な法令・条項を選択・適用し、問題の解決に繋げていくことができる。 ⑤法解釈による対処の限界を踏まえて、法政策的対応について論ずることができる。 |
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到達目標 【英語】 | | |
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授業の内容や構成 | | 1
環境法の歴史と全体像 04/23
環境法の発展の経緯、環境法の体系、特色等を学ぶ。「環境」「環境問題」の性質を背景として、法と政策が交錯する法領域である環境法の意義や課題について考える。
教科書第1章を事前に読んでおくこと。 シラバスシステムに補足資料等が掲載又は指示されている場合は、これを併せて読んでおくこと(以下、各回につき同様)。
2
環境法の基本理念・原則 04/30
持続可能な発展、未然防止原則・予防原則、汚染者負担の原則等、環境法の基本理念・原則の意義を検討する。また、環境権をめぐる議論とその含意を検討する。
教科書第2章を事前に読んでおくこと。
3
環境法政策の手法 05/07
規制的手法、誘導的手法、合意的手法、事後的措置等の環境法政策の手法について、その意義や特徴、具体的な法制度との関係について検討する。
教科書第3章を事前に読んでおくこと。
4
環境訴訟の概観 05/14
環境訴訟の意義、類型、各類型における主要な問題等について、概観する。
教科書第11章2節(460頁まで)に目を通しておくこと。
5
環境基本法 05/21
「基本法」の意義、環境基本法の主要規定の内容、行政計画と環境(環境基本計画)等について、検討する。
教科書第4章を事前に読んでおくこと。
6
環境影響評価(1) 05/28
環境影響評価制度の考え方、日本の環境影響評価に関する法の発展経緯、環境影響評価法の仕組みについて検討する。
教科書第5章を事前に読んでおくこと。
7
環境影響評価(2) 06/04
環境影響評価に関わる事項が争点となった訴訟を取り上げて検討する。
教科書第5章、第12章1節を事前に読んでおくこと。
8
大気汚染防止等(1) 06/11
公害(環境汚染)規制の基本的構造、大気汚染防止に関する法の展開、現行大防法の概要について検討する。
教科書第6章1節及び2節を事前に読んでおくこと。
9
大気汚染防止等(2) 06/18
大気汚染に関する訴訟を中心に取り上げ、関係する論点について検討する。
教科書第6章2節及び第11章1節1項を事前に読んでおくこと。
10
大気汚染防止等(3) 06/25
騒音・振動に関する訴訟を中心に取り上げ、関係する論点について検討する。
教科書第11章1節1項及び2項を事前に読んでおく。
11
水質汚濁防止(1) 07/02
水質汚濁防止に関する法の展開、現行水質汚濁防止法の仕組み等について検討する。
教科書第6章3節を事前に読んでおくこと。
12
水質汚濁防止(2) 07/09
水質汚濁に関連する訴訟について検討する。
教科書第6章3節、第12章6節を事前に読んでおくこと。
13
土壌汚染対策(1) 07/16
土壌汚染対策に関する法の展開、土壌汚染対策法の仕組みについて検討する。
教科書第6章4節を事前に読んでおくこと。
14
土壌汚染対策(2) 07/30
土壌汚染に関する訴訟について検討する。
教科書第6章4節、12章3節を事前に読んでおくこと。
15
公害紛争処理 08/06
公害紛争処理法の仕組みとその意義について検討する。
教科書第11章4節を事前に読んでおく。
16
期末試験・講評
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履修条件・関連する科目 | | 憲法基礎、行政法基礎および民法基礎を履修済みあるいはそれに相当すること。 |
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成績評価の方法と基準 | | 授業での準備状況・発言内容等(20%)、レポートの内容(20%)、期末試験(60%)、により評価する。 期末試験においては、到達目標の達成度に照らして評価を行う。基本的には、到達目標の①、②を前提としつつ③~⑤に重点を置いて評価する。ただし、出題の難易度等の影響が大きくならないように調整する。 レポート課題は、授業中に指示する。 |
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教科書・テキスト | | 大塚直『環境法BASIC』(有斐閣、第2版、2016)。 まだ教科書を購入していない場合は、宅配による販売を利用することを強く推奨する。 なお、生協の行う宅配による教科書販売については、さしあたり下記のページを参照すること。 http://www.nucoop.jp/book/news_2/news_detail_2487.html (法科大学院生もこの宅配販売システムを利用できることは確認済み)。 |
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参考書 | | 重要な参考書として:大塚直・北村喜宣編『環境法判例百選』(有斐閣、第3版、2018)及び大塚直・北村喜宣・高村ゆかり・島村健編『九訂 ベーシック環境六法』(第一法規、2020)。※購入については、宅配による販売利用を強く推奨する。 教科書以外の環境法の体系書等として、北村喜宣『環境法』(弘文堂、第4版、2017)、大塚直『環境法』(有斐閣、第3版、2010)、阿部泰隆・淡路剛久編『環境法』(有斐閣、第4版、2011)、松村弓彦他『ロースクール環境法』(成文堂、第2版、2010)、高橋信隆編著『環境法講義』(信山社、第2版、2016)などがある。訴訟に重点を置くものとして、越智敏裕『環境訴訟法』(日本評論社、第2版、2020)。事例研究のために、大塚直・北村喜宣編『環境法ケースブック』(有斐閣、2009)。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) | | 「講義計画」の各講議回の「授業時間外の学習活動」欄記載の指示に従うこと。 |
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注意事項 | | 各論については、個別法・分野ごとに1~3回に分けて講ずる。その際、原則としては、前半の回で主として法制度の仕組みについて扱い、後半の回で裁判例を基に検討を行う予定であるが、説明の便宜及び実際の進捗状況等により、構成を変更する可能性がある。具体的には授業中に指示する。 Zoomの使用に関する具体的な説明は、Canvasにより受講者宛に連絡します。 名古屋大学におけるCOVID-19問題についての下記の指針を参照すること(とくに「5.学生の入構制限」に注意)。 http://www.law.nagoya-u.ac.jp/_userdata/20200409shishin2.pdf (なお、「方針」における警戒カテゴリー・レベルは更新される―上記のものはあくまで4月9日現在のものである―ので、名古屋大学HP(トップページ)にある「新型コロナウィルス感染症(COVID‐19)における名古屋大学の活動方針」を随時確認するようにすること。) |
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授業開講形態等 | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
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