授業の目的 【日本語】 | | 少年司法制度を手がかりとして,刑事政策との関連性を意識しながら授業を展開する。3回目までにおいては,主として理論的な観点から,成人刑事裁判制度から少年司法制度が独立した社会的背景と理論的根拠を明らかにしたうえで,福祉モデル少年法制の特徴と限界を分析し,司法モデル少年法制への転換過程を確認する。4回目において我が国の少年非行の現状を確認し、8回目以降においては,主として解釈論的な観点から,我が国の現行少年法における主要な論点・対立点を検討し,実務動向を念頭に置きながら一応の自説(解釈論)を展開できるようにする。 |
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授業の目的 【英語】 | | |
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到達目標 【日本語】 | | (1)少年司法制度の形成,福祉モデル少年法制と司法モデル少年法制の基本構造,少年法制の前者から後者への転換過程を理解することができる。 (2)社会情勢や理論的立場の違いが現実の制度にどのように反映していくのかを分析・洞察することができる。 (3)理論の有用性とともに,その現実的射程と限界を意識することができる。 (4)教条主義的な観念論に陥りがちな具体的論点・対立点について,実務動向をも見据えた,冷静な態度で解釈論を展開することができる。 |
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到達目標 【英語】 | | |
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授業の内容や構成 | | 1
10月5日 欧米における少年司法制度の成立要因と成立過程
少年司法制度が独立する以前における「子ども」の法的扱いを確認するとともに,少年司法制度の独立を促進した社会的要因を明らかにする。また、少年司法制度の独立を促進した理論的根拠としての新派(実証主義的)刑法理論の内容を確認したうえで、福祉モデル少年法制の特徴を明らかにする。 講義を中心としながら,予習にもとづく基礎的知識を確認する。
教科書の序章および第1章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
2
10月12日 我が国おける少年司法制度の確立
我が国における少年司法制度の確立過程を検討し、その特徴を明らかにする。 講義を中心としながら,予習にもとづく基礎的知識を確認する。
教科書の第1章の該当部分および第2章を予習し,基礎的な知識を確実にする。
3
10月19日 我が国の少年非行の現状
犯罪白書等の統計資料を手掛かりとして、我が国の少年非行の現状を確認したうえで、「凶悪化」幻想の背景を検討する。
教科書の第3章を予習し,基礎的な知識を確実にする。
4
10月26日 少年法の基本構造
我が国の現行少年法を中心として、少年法の理念、基本構造等の特徴を確認する。
教科書の第4章を予習し,基礎的な知識を確実にする。
5
11月2日 少年法の対象、家庭裁判所の管轄
現行少年法が対象とする「非行少年」の概念を明らかにし、家庭裁判所の管轄について検討する。
教科書の第5章を予習し、基礎的な知識を確実にする。
6
11月9日 非行少年の発見と家庭裁判所の受理
非行少年の発見過程を中心として、発見機関・発見方法等を明らかにしたうえで、家庭裁判所の事件受理について学ぶ。
教科書第6章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
7
11月16日 観護措置
観護措置(特に、少年鑑別所送致)の意義と実際について学ぶ。
教科書第6章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
8
11月23日 少年保護事件の調査
少年保護事件の調査過程について、目的と基本原理を明らかにしたうえで、調査(法的調査と社会調査)の実際について明らかにする。
教科書第7章を予習し、基礎的な知識を確実にする。
9
11月30日 少年保護事件の審判(1)
少年保護事件の審判の基本形態について、その意義と役割を明らかにし、関係者等について、基本的な知識を学ぶ。
教科書第8章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
10
12月7日 少年保護事件の審判(2)
少年保護事件の特殊な形態について学ぶとともに、処遇効果の高いとされる試験観察について学ぶ。
教科書の第8章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
11
12月14日 少年の処遇(1)
保護処分としての保護観察(社会内処遇)について、意義と内容、実際について学ぶ。
教科書第9章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
12
12月21日 少年の処遇(2)
保護処分としての少年院送致を中心として、施設内処遇について学ぶ。
教科書第9章の該当部分を予習し、基礎的な知識を確実にする。
13
1月7日 少年の刑事事件
刑事裁判所で扱われる少年事件について、逆送の要件・効果等を明らかにしたうえで、裁判員裁判との関係を検討する。
教科書の第10章を予習し、基礎的な知識を確実にする。
14
1月18日 少年の刑事処分
少年刑事裁判後の刑罰処遇について、少年法にもとづく特別な扱いについて検討する
教科書の第10章を予習し、基礎的な知識を確実にする。
15
1月25日 少年法の改正
2000年、2007年、2008年、2014年にそれぞれ改正された内容について再確認し、それを評価する。また、少年年齢の引下げをはじめとして、少年法をめぐる国際的動向等を参考にしながら、少年法の今後のあるべき姿を考察する。さらに、近時に有力となっている「修復的司法」について考える。
教科書の終章および全体を通じて、一連の改正内容を確認するとともに、どのように評価するかの見解を構成する。
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期末レポートの締め切り設定との関係で、受講生と相談のうえで決定する。
期末レポートの講評
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履修条件・関連する科目 | | 特にないが,法学未修者の場合には,刑法基礎I,IIおよび刑事訴訟法を履修したうえで,刑事実体法と刑事手続法の全体像を把握している必要がある。 |
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成績評価の方法と基準 | | 例年の通り、本文4000字相当の期末レポート(85%)、および授業中の発言(15%)にもとづいて総合的に評価する。 |
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教科書・テキスト | | 丸山雅夫『少年法講義[第3版]』2016年3月、成文堂 |
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参考書 | | 田宮裕・廣瀬健二編『注釈少年法[第4版]』2017年,有斐閣 河原俊也編著『ケースから読み解く少年事件 実務の技』2017年、青林書院 田宮裕編『少年法判例百選』1998年,有斐閣 その他,必要に応じて,授業中に文献,資料を指示する。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) | | 教科書の予習・復習とともに、授業中に指示した文献・資料を確認すること。 |
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注意事項 | | 全講義回を遠隔で行う。ZOOMの入室については、講義までに知らせる。1講でもZOOM で受講できるが、マスク着用、番号札の付された座席のみ使用、自己の使用した座席の番号を記録して保管、講義前後の手指消毒や手洗いの徹底、体調不良の場合は登校しないこと、を遵守されたい。また、今後の感染状況によっては、教室における受講ができなくなる可能性がある。 |
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授業開講形態等 | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
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