授業の目的 【日本語】 | | 日本の憲法学説は、日本国憲法の違憲審査制の理解のために、他国の憲法裁判の制度と運用を参考にしてきた。判例も例外ではなく、たとえば、最高裁の「目的効果基準」がアメリカ憲法判例の「レモン・テスト」と類似していることは有名である。そのため、日本国憲法の下での憲法訴訟の理論を理解し、判例法理を評価するためには、アメリカ・ドイツ等の憲法裁判の制度・運用に関する理解が不可欠である。 この講義では、以上の問題関心から、憲法訴訟制度の差異を念頭に置きつつ、主にアメリカとドイツの憲法判例を取り上げ、その検討を通じて、日本の憲法裁判を複眼的に理解・評価するための素材を提供する。 |
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授業の目的 【英語】 | | |
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到達目標 【日本語】 | | (1)日本の憲法学説が主に参考にする、アメリカとドイツの憲法裁判の制度・運用を理解する。 (2)アメリカやドイツの憲法判例の正確な理解を踏まえて、日本の憲法学説・憲法判例に援用されてきた比較法的議論の当否を検討できる。 (3)他の立憲民主政の下で起こる様々な憲法問題について、各国の憲法制度や政治社会状況を踏まえて考察し、日本でも同様な問題が生じた場合、法律家として、どのような主張をすべきかという問題意識をもつ。 |
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到達目標 【英語】 | | |
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授業の内容や構成 | | 1
各国の憲法裁判制度
比較憲法的知見を踏まえて、日本の憲法訴訟の特徴を明らかにする。
2
アメリカの違憲審査①
アメリカの違憲審査制の基本事項を理解する。
3
アメリカの違憲審査②
実体的デュープロセス理論の意義と問題点の検討。
4
アメリカの違憲審査③
奴隷制廃止・黒人差別禁止の問題を平等権(平等原則)の観点から考える。
5
アメリカの違憲審査④
「積極的差別是正措置 Affirmative Action」の限界を平等権(平等原則)との関係で考察する。
6
アメリカの違憲審査⑤
「State Actionの法理」を検討する。私人間効力の問題に関する日本憲法学への影響を評価する。
7
アメリカの違憲審査⑥
アメリカ憲法の政教分離の特徴を比較憲法的に理解する。政教分離に関する判例法理の流れを検討する。とりわけ、レモン判決後の判例の展開を分析する。
8
アメリカの司法審査⑦
信仰を理由とした法的義務の免除の問題に関する連邦最高裁の判例を検討する。
9
アメリカの司法審査⑧
表現の自由に関する判例法理を検討する。アメリカ憲法の判例法理を日本の憲法学説・判例法理との関係で検討する。
10
ドイツの憲法裁判①
ドイツの憲法裁判の基本事項を理解する。
11
ドイツの憲法裁判②
ドイツの基本権保護義務論の考え方を私人間の紛争の問題を素材にして理解する。
12
ドイツの憲法裁判③
人格権の保障と表現の自由の関係に関するドイツ憲法判例を検討する。
13
ドイツの憲法裁判④
自己決定権とその限界に関するドイツの憲法判例を検討する。
14
ドイツの憲法裁判⑤
「情報自己決定権」に関するドイツの憲法判例・学説を参考にして、情報化社会における基本権保障の問題を検討する。
15
比較憲法研究の意義
アメリカとドイツの憲法裁判に関する比較憲法的知見を踏まえて、日本の判例・学説を再検討する。
16
定期試験
最終試験を行って、理解度を確認する。
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履修条件・関連する科目 | | |
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成績評価の方法と基準 | | 平常点20点(出席と発言)、レポート(報告)20点、学期末試験60点。合否の判断は名古屋大学の評価基準に基づいて行う。 到達目標(1):平常点・レポート 到達目標(2):平常点・レポート 到達目標(3):平常点・レポート・試験 |
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教科書・テキスト | | 初宿正典・辻村みよ子編『新解説世界憲法集 第5版』(三省堂、2020年) 大林平吾・見平典『憲法用語の源泉をよむ』(三省堂、2016年) |
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参考書 | | |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) | | ページ欄の各講義回の該当箇所に記載された指示に従うこと。 |
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注意事項 | | 立憲民主政(日本を含む)のもとで共通に起こりうる憲法問題を、諸外国の判例・学説の動向を参考にしつつ検討することで、日本の憲法問題・憲法判例・憲法学説の理解を深めることを課題としています。そのため、「憲法演習」で学んだことを事案や制度の違いを踏まえて応用する能力が求められます。 この授業は、全授業回を教室で対面で行います。ただし、対面を希望しない学生は、事前に斎藤(ksaito@u-gakugei.ac.jp)までご連絡ください。どのような遠隔授業が可能か相談します(遠隔を希望した場合でも、成績上、不利になることはありません)。 登校する際に、以下の点に注意してください。 ・マスクを着用すること。 ・番号札の付された座席のみを使用すること。 ・自己が使用した座席の番号を記録しておくこと。 ・入退室の際に手指消毒や手洗いを行うこと。 ・体調に不安がある場合には登校しないこと。 今後の感染状況によっては、遠隔授業に切り替える可能性があります。 |
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授業開講形態等 | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
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