授業の目的 【日本語】 | | 刑事司法制度が直面している現代的な問題を扱う。裁判員裁判制度、被害者の訴訟参加、2016年刑訴法改正により新設された制度、医療と刑事法の関わり等について講述する。検察官、弁護士、医学系教員等、当該各分野の専門家の協力を得て運営する。 |
|
|
授業の目的 【英語】 | | |
|
到達目標 【日本語】 | | (1)裁判員裁判制度について理解する。 (2)被害者の訴訟参加について理解する。 (3)セクシャルマイノリティをめぐる刑事法的課題を理解する。 (4)2016年刑訴法改正により新設された制度(取引的司法にかかる制度を含む)について理解する。 (5)医療・医学と刑事法の関わりについて理解する。 (6)法医学、法精神医学、生命倫理の基礎について理解する。 総じて、刑事司法制度が直面している現代的な問題について思索を深める。 |
|
|
到達目標 【英語】 | | |
|
授業の内容や構成 | | 1
導入、刑事司法への被害者参加1
講義全体の流れにつき、担当者で説明した上で、研究者の立場から、1990年代半ば以降は議論が活発化するとともに、関連立法も相次いでいる刑事司法と犯罪被害者との関わりについて概説する。 検察・弁護双方の視点からのアプローチを検討する足掛かりとして、とりわけ、刑事司法への被害者参加を中心に取り扱う予定である。
2
新たな捜査手法
1. DNA鑑定の概要を理解する 2. DNA 鑑定の有用性と限界を理解する。 3. 鑑定事例における科学的問題点について理解する。 4. 中毒診断のための薬物測定の原理を理解する。 5. 中毒の症例を基に法医学で何がわかり何がわからないかを理解する。
3
精神鑑定1
近時の最高裁判例(最判平成 20 年 4 月 25 日(刑集 62 巻 5 号 1559 頁)、最決平成 21 年 12 月 8 日(刑集 63 巻 11 号 2829 頁))を踏まえ、実体法の見地から、責任能力の判断枠組み、ならびに、精神鑑定に求められる内容につき検討を行う。
4
刑事司法への被害者参加2
検察実務の視点から、被害者参加制度の導入にいかに対応しているかを概説する。 本制度では、検察官に対し、犯罪被害者に配慮し、犯罪被害者と裁判所とをつないだり、犯罪被害者自身および付添い弁護人との事前・事後連絡を充実させるなど、その役割に変化が求められている。 講義では、それらの点を中心に検討する予定である。
5
精神鑑定2
いわゆる触法精神障害者の処遇や治療に関しては、精神科医療のなかでもさまざまな議論があり、その責任能力の評価方法や妥当性、事件の疾病性や事例性の問題、治療の場や処遇方法の問題などの課題を内在している。 日本の精神科医療の歴史を概観し、司法精神医学の現在の問題点を概説する。
6
精神鑑定 3
触法精神障害者のうち重大な犯罪に関しては、2005年から施行されたいわゆる医療観察法が適用されうるようになった。これもいくつかの問題点があきらかになってきている。医療観察法の運用実態と精神科臨床での鑑定実態とその問題点を示す予定である。講義は、パワーポイントを中心におこないそれを資料(配布)として使用する予定である。
7
裁判員制度
検察実務の視点から、裁判員裁判の導入により、従来の職業裁判官のみによる裁判から変化した点を中心に概説する。 なかでも、公判前整理手続が導入された点や冒頭陳述、論告、証拠作成(供述調書など)の変化を中心に検討する予定である。
8
日本における検視と解剖システム
1. ヒトの死後の取り扱いと必要な法規等について理解する。 2. わが国における検視制度の特徴と運用上の問題点を理解する。 3. 異状死体届け出の問題点について考える。 4. 検視制度と臓器移植の関わりを理解する。
9
尊厳死と安楽死
1. 尊厳死と安楽死の定義について理解する。 2. 尊厳死宣言書や事前指示書への医療の現場の対応を理解する。 3. 実例を基に尊厳死や安楽死の問題点を考える。 4. 生命倫理の基礎について理解する。 5. 病院内倫理委員会 (HEC) の役割を理解する。
10
ヒトの死と脳死
1. ヒトの死の定義と判定について理解する。 2. 日本における脳死問題の論争の経過をたどる。 3. 臓器移植法でどのような解決が図られたか理解する。 4. 臓器移植法の改正とその問題点について考えてみる。 5. 日本の臓器移植の現状を理解し、あるべき形について考察する。
11
多様な性と刑事法
セクシャル・マイノリティーに関する刑事法の課題について検討する。
12
2016年刑訴法一部改正をめぐる問題点
「協議・合意」及び「刑事免責」について検討する。 各制度の概要(条文の所在・趣旨を含む) 今後に向けての課題
13
医療事故と医療過誤
1. 医療におけるインフォームド・コンセントの法的意義と運用を理解する。 2. 医療過誤と医療事故の現状を理解する。 3. 日本では医療過誤で刑事責任が問われることが多いのはなぜか考えてみる。 4. 実例を基に医療過誤の再発防止の方策について考える。
14
2016年刑訴法一部改正をめぐる問題点
「取調べの録音・録画」をめぐる問題点を検討する。 ●制度の概要【具体的な制度設計のあり方に関する(主だった)議論についても簡単に】 ●録音録画記録媒体の証拠としての利用方法 ・任意性を立証するための証拠としての利用 ・実質証拠としての利用 ●今後の課題
15
刑事司法への被害者参加 3
犯罪被害者の方および支援員の方をお招きして、現況をお話していただく。
16
期末レポート・講評
期末レポートの実施及び講評
|
|
|
履修条件・関連する科目 | | 刑法基礎Ⅰ・Ⅱ、刑法演習Ⅰ・Ⅱ、刑事訴訟法Ⅰ・Ⅱを履修していること。2年コースの学生は、刑法基礎Ⅰ・Ⅱにつき履修しているものと見做す。 |
|
|
成績評価の方法と基準 | | 期末レポート30点、小テスト及び課題50点、各講義における発言など20点。 |
|
|
教科書・テキスト | | |
|
参考書 | | |
|
課外学習等(授業時間外学習の指示) | | |
|
注意事項 | | 外部担当者の関係上、日程が変更になることがある。 出席回数が11回に満たない者は期末試験を受験することができない。 |
|
|
授業開講形態等 | | |
|
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 | | |
|