学部・大学院区分法・専学
時間割コード9362100
科目区分展開・先端科目
Advanced/Applied Courses
科目名 【日本語】経済法Ⅱ
科目名 【英語】Economic LawⅡ
担当教員 【日本語】林 秀弥 ○
担当教員 【英語】HAYASHI Shuya ○
単位数2
開講期・開講時間帯春 木曜日 2時限
Spring Thu 2
対象学年1年
1
授業形態演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
●今日の国際的・先端的な事業活動において、経済法なかんずく独占禁止法の理解が不可欠である。本講義では、独占禁止法を中心とした経済法の最新の内容について,理論的および実務的側面の双方から明らかにする。基本的には,判決例および公正取引委員会の審決例やガイドライン(指針・運用基準)に沿って,日本の現行の独占禁止法の全体像を正確かつ客観的に講義する。 ●経済のグローバル化に伴い,日本の主要企業のほとんどがアメリカおよびヨーロッパでもビジネスを展開している。したがって,講義では,必要な範囲で,米国反トラスト法およびEU競争法との比較法的考察も行う。 ●「経済法 ⅠⅡ」では,経済法の体系的理解の獲得を目指し、独占禁止法の主要違反類型に焦点を当てる。経済法Ⅰ=経済法総論、独占禁止法の主要規制(ただし不公正な取引方法の規制を除く)、経済法Ⅱ=不公正な取引方法の規制・独占禁止法の手続という理解でおおむね捉えられたい。 ●可能であれば(時間の余裕があれば)、実務家(弁護士・公正取引委員会職員等)を招いて講演してもらい、実務と理論の架橋に留意する。
授業の目的 【英語】
到達目標 【日本語】
第1に,経済法体系における独占禁止法の位置づけを理解する。 第2に,独占禁止法全般について基礎的な知識を正確に修得する。 第3に,独占禁止法の解釈論上の主要論点について,理論の筋道に沿って議論を展開しうるようにする。併せて,実務上の問題を解決する能力を身につける。 第4に、独占禁止法の執行手続を習得し、独禁法を道具として実際に使いこなせるための能力を涵養する。
到達目標 【英語】
授業の内容や構成
1

不公正な取引方法の規制(1)

独禁法の3本柱の残る1つがこの不公正な取引方法である(2条9項)。これには、同項1号ないし6号に該当する行為であって公正な競争を阻害するおそれがあるもので公取委が指定するものが含まれる(同項柱書)。具体的には、取引拒絶、不当廉売、抱き合わせ、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用等々、雑多な16の行為類型が定められている(一般指定)。これらの行為は、私的独占や不当な取引制限等のように市場全体に競争上の影響を及ぼすようなもの(「一定の取引分野における競争の実質的制限」) でなくとも、それより競争侵害の程度の低いものでも規制対象となる(「公正な競争を阻害するおそれ」)。つまり、行為の競争制限効果が私的独占とまでは評価できない程度、すなわちある市場において市場支配力を形成・維持・強化するようなレベルにまで達していなくても、当該行為は不公正な取引方法の規制対象となり得る。このことは逆から見れば、不公正な取引方法の規制は、私的独占規制等の補完的役割を果たしているという面もある。 本講義では、前期前半にわたって、この不公正な取引方法の規制とその意義について、検討を進める。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)ケースブック5-1を読んでおくこと


2

不公正な取引方法の規制(2)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、不当な差別的取扱について検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-2から5-5を読んでおくこと


3

不公正な取引方法の規制(3)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、不当対価取引について検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-6から5-11まで読んでおくこと


4

不公正な取引方法の規制(4)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、不当な取引強制について検討する

予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-12から5-13を読んでおくこと


5

不公正な取引方法の規制(5)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回も、不当な取引強制について検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-14から5-16まで読んでおくこと


6

不公正な取引方法の規制(6)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、事業活動の不当な拘束(1)として検討する。
なお、実務家より 、 具体的な手続きおよび事案の解説を通じて実務の対応策を解説する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-17から5-22まで読んでおくこと


7

不公正な取引方法の規制(7)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、事業活動の不当な拘束(2)として検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-23から5-29まで読んでおくこと


8

不公正な取引方法の規制(8)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、優越的地位の濫用について検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-30から5-32を読んでおくこと


9

不公正な取引方法の規制(9)

前回に引き続き、不公正な取引方法の規制について検討する。 今回は、取引妨害について検討する。

【予習事項】 1)『リーガルクエスト経済法』第5章 「不公正な取引方法」を読んでおく 2)『ケースブック独占禁止法』5-33から5-35を読んでおくこと


10

独占禁止法のエンフォースメント(1)

今回から独占禁止法のエンフォースメントについて検討する。 エンフォースメントの視点として次の点が挙げられる。 第一に、違反行為に対して十分な抑止力が確保されていること。すなわち、違反行為を行った事業者等については、行政処分や刑事処分が課(科)されるが、これらの処分は、違反行為を抑止する観点から、十分なものでなければならない。 第二に、実効的な法執行が可能な制度であること。違反行為を行った事業者等に課され得る処分が十分であっても、実際に処分がなされなければ抑止力が確保されず、実効的な法執行が可能な制度であることが重要である。 第三に、行政処分に際して適正手続が保障されていること。独占禁止法の法執行の中心をなすのが公正取引委員会による行政処分(排除措置命令・課徴金納付命令)であるが、その際に、公正で透明な手続が確保されることも要請される、その一方で、適正手続に配慮しつつ、いかに実効的な法執行を確保していくかという視点が重要である。 以下の講義ではこれらの視点に常に留意して検討を進める。

【予習事項】 『リーガルクエスト経済法』第6章 独占禁止法のエンフォースメントを読んでおく


11

独占禁止法のエンフォースメント(2)

前回に引き続き、独占禁止法のエンフォースメントについて検討する。 今回は、公正取引委員会による手続(1)について検討する。

【予習事項】 『リーガルクエスト経済法』第6章 独占禁止法のエンフォースメントを読んでおく


12

独占禁止法のエンフォースメント(3)

前回に引き続き、独占禁止法のエンフォースメントについて検討する。 今回は、公正取引委員会による手続(2)、(3)について検討する。

【予習事項】 『リーガルクエスト経済法』第6章 独占禁止法のエンフォースメントを読んでおく


13

独占禁止法のエンフォースメント(4)

前回に引き続き、独占禁止法のエンフォースメントについて検討する。 今回は、民事救済について検討する。

【予習事項】 『リーガルクエスト経済法』第6章 独占禁止法のエンフォースメントを読んでおく


14

独占禁止法のエンフォースメント(5)

前回に引き続き、独占禁止法のエンフォースメントについて検討する。 今回は、刑罰について検討する。

【予習事項】 『リーガルクエスト経済法』第6章 独占禁止法のエンフォースメントを読んでおく


15

規制産業と独占禁止法

規制産業(情報通信分野を中心に)をめぐる競争に関連する経済法的論点について検討する。

【予習事項】
「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」 Ⅲ を読んでおく。


16

期末試験

論述式試験を行う。 六法貸与、持込不可



履修条件・関連する科目
経済法Ⅱのみの受講は認めません。必ず経済法Iとセットで受講してください。
またオブザーバー出席も原則として認めません。
なお、経済法Ⅰの受講を前提にⅡの授業を展開しますので、経済法Ⅰを受講してからⅡの受講をお願いします(特段の事情のない限り、ⅠとⅡの順序が逆での受講は認められません。)。
成績評価の方法と基準
(1)前記到達目標第1ないし第3に対応して,毎回の予習において,あらかじめ指示した資料等により主題に関する基礎知識を確認しておくことを義務づける。 また、毎回の授業において、担当者の質問に対する発言を義務づける。ケース・メソッドおよびプログラム・メソッド・ソクラテス・メソッドを併用する。 (2)到達目標第1~第4に対応して,事例問題を中心とした学期末試験を行う。
*評価基準(100点) (1)毎回の授業において担当者が発する質問に対する発言の内容(30点) ※これは、各自の予習状況を把握するとともに、当該時点における習熟度を審査するためのものである。なお、授業の無断欠席(事後に欠席理由の報告を行っても、原則として無断欠席として扱うので注意すること)は、この(1)の評価を著しく減殺するものとして扱うので、あらかじめ注意すること。 (2)学期末試験(論述試験)(70点)。
以上の割合で,(1)(2)の結果を総合して評価を行う。評価に際しては,論理的な筋道に沿って思考過程を自己の発言および文章で表現し,妥当な結論を導くことができるかどうかを重視する。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、2020年度はオンラインでの授業となるため、上記評価基準(1)に代えて、随時のレポート提出・評価(30点)による。
教科書・テキスト
①泉水・土佐・宮井・林著『リーガルクエスト 経済法 第二版』有斐閣 2015年 ②金井・泉水・川濱編『ケースブック独占禁止法【第4版】』弘文堂 2019年
まだ教科書を購入していない場合は、宅配による販売を利用することを強く推奨する。 なお、生協の行う宅配による教科書販売については、さしあたり下記のページを参照すること。 http://www.nucoop.jp/book/news_2/news_detail_2487.html (法科大学院生もこの宅配販売システムを利用できることは確認済み)。
参考書
金井・泉水・武田編『経済法審決・判例百選(第2版)』 有斐閣,2017年
課外学習等(授業時間外学習の指示)
講義計画に記載した【予習事項】に沿って予習をするとともに、講義の復習もしておくこと。
注意事項
●経済法は、初学者にとって、他の主要法律科目とは異質の思考方法をとると感じる人が多いので、向き不向きが大きいと思われる。試験範囲が狭いことを期待して安易に履修することはお勧めしない。講義だけに頼らない十分な自学自習時間が取れる人にのみ履修を勧める。 ●受講者の学修の進捗状況は、担当者との随時の個別面談を通じて、適宜フォローアップを行う。 ●履修について疑義がある場合には、直接、担当者にメールで問い合わせること。 ●受講希望者(オブザーバー参加希望者を含む)は、履修登録前(開講前)に担当者までメールで必ず連絡し、履修の希望について予め連絡(あるいは履修の可否について予め照会)した上で、必要な学習上の指導を事前に受けておくこと。それがない場合の受講は原則として認めないので注意すること。 ●なお、池田毅氏(池田・染谷法律事務所 弁護⼠)、平山賢太郎氏(平山法律事務所代表弁護士)を講師として招聘し、経済法 における実務上の諸論点を 検討する回がある。
メール:shuya.hayashi@law.nagoya-u.ac.jp
名古屋大学におけるCOVID-19問題についての下記の指針を参照すること(とくに「5.学生の入構制限」に注意)。 http://www.law.nagoya-u.ac.jp/_userdata/20200409shishin2.pdf (なお、「方針」における警戒カテゴリー・レベルは更新される―上記のものはあくまで4月9日現在のものである―ので、名古屋大学HP(トップページ)にある「新型コロナウィルス感染症(COVID‐19)における名古屋大学の活動方針」を随時確認するようにすること。)
授業開講形態等
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置