学部・大学院区分法・専学
時間割コード9363500
科目区分展開・先端科目
Advanced/Applied Courses
科目名 【日本語】外国人と法
科目名 【英語】Laws on Foreigners
担当教員 【日本語】小畑 郁 ○
担当教員 【英語】OBATA Kaoru ○
単位数2
開講期・開講時間帯春 月曜日 2時限
Spring Mon 2
対象学年1年
1
授業形態演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
本講義は、原則としてZoomにより遠隔テレビ会議システムで行います。それ以外の方式にする場合は、あらかじめ「ページ」または「アナウンス」欄で告知します。第1回は修正された学務カレンダー通り、4月27日10時半から行いますので、履修希望者はZoomで参加してください。なお、正式の履修登録とはリンクしておらず、後から脱退も可能ですので、今の段階で参加しようと思っている人は、CANVASで登録をお願いします。
(1)現代日本における外国人に対する法政策は、第2次世界大戦後の東アジアの国際状況を背景に形成されてきたものであるが、近年グローバル化と日本社会の少子高齢化の影響を受けて変容を遂げつつある。この状況を把握し、対応を考えることは、これからの法律家にとって極めて重要な課題である。 (2)主として公法・国際法の法的基礎知識を前提に、それが外国人の分野にどのように適用されてきたかを考察する。 (3)とくに入管難民法の分野において、具体的問題を取り上げながら、その法的構造について考える。
授業の目的 【英語】
到達目標 【日本語】
(1)日本における外国人の状況は、法の眼でみるとどのように見ることができるのか、その全体的動向を把握し、背景を理解する。 (2)入管法をめぐる主要問題について、実務的側面を含む基礎的知識を修得し、入管法の構造について問題意識をもつ。 (3)入管法を変動させる重要な要因となっている国際法的規制について、それらの内容と性格、日本法における適用状況についての基礎知識を修得する。 (4)外国人法政策をめぐる最近の議論とその背景について基礎知識をもち、今後の変動に対応できる問題意識をもつ。 (5)入管難民法についての調査について基礎を修得する。
到達目標 【英語】
授業の内容や構成
回 / テーマ / 講義内容 / 授業時間外の学修活動 / 関連ページ

1
4月27日
オリエンテーション、日本の外国人、在留管理の仕組みと特徴
(担当:小畑)
講義全般についてオリエンテーションを行う。 外国人の在留資格について、ごく基礎的な知識を修得する。 在留資格別外国人統計を見て、日本の外国人の動向についてその概要を把握し、その背景を考える。 在留管理の仕組みの基礎を理解する。
入管法(出入国管理・難民認定法)のテキストを参照し、関連条文および別表の在留資格に対応する活動・身分を調べておく。 資料にある外国人統計 を見て、予備的検討を加えておく。 2018年改正による入管法1条の改正の意義を考えておく。退去強制手続の流れを条文により確認しておく。

2
5月11日
外国人と企業法務(担当:小畑、ゲスト:杉田昌平弁護士)
近年増加する就労を目的とした在留資格を中心に、外国人と法について、企業法務の観点から、現在生じている事象を把握し、論点整理を行う。
日常生活で、外国人を見かけることが増えたと感じる場面を事前に検討しておく(例:コンビニエンスストア等)。
次の制度説明資料に目を通してくること。
1)技能実習制度
https://www.otit.go.jp/files/user/200401-5%20.pdf
2)特定技能制度
http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf

3
5月18日
国際人権法による在留保障
(担当 :小畑)
(担当:小畑)
マクリーン判決の法理を再確認する。私生活・家族生活の尊重を受ける権利と外国人の在留保障についての国際判例の動向を理解する。 (家族)生活の尊重の要請から導かれる在留保障についての国内判例の動向、および関連する在留特別許可の実行について、基礎知識を修得する。
東京地判2008・1・17(カルデロン事件)、福岡高判2005・3・7および名古屋高判2017・9・28を検討しておく。関連条約規定を確認しておく。在留特別許可に関する資料に目を通しておく。

4
5月25日
難民の国際法と日本法(その1)
(担当:小畑)
難民の国際法について基本的知識を修得する。難民現象とはどのようなものであり、どうして国際的対応が必要とされたのか、ということについて知識を修得し、そこから現代の難民法についてその問題点を議論できるようになる。
難民条約が難民に何を保障し、何を保障していないか、条約のテキストを確認する。難民条約上の難民の定義について条文テキストを確認しておく。

5
6月1日
難民の国際法と日本法(その2)
(担当:小畑)
難民に関する日本法について、基本的知識を修得する。判例による難民の概念の問題点を理解する。難民認定手続および申請中・申請後の難民の地位について基本的知識を修得する。日本の難民法の問題点について、議論できるようになる。
※第5回講義レジュメ
レジュメに即して、難民にかかわる入管法の規定を確認しておく。仮滞在許可についての東京地判2009・3・27に目を通しておく。

6
6月8日
ノン・ルフールマン原則とその実施
(担当:小畑)
ノン・ルフールマン原則(意訳すれば人権侵害の防止のための追放・送還禁止の原則)の規範の多様な存在形態について理解する。同原則をめぐる主な問題点について基礎的知識を修得する。同原則の日本法における実施状況について、問題状況を把握する。
レジュメに即して、条約の各条文を確認しておく。ゼーリング事件、キンドラー事件について資料を読んでおく。入管法53条3項を検討しておく。

7
6月15日
国籍の意義と日本の国籍法(担当:横溝大)
国籍の意義と原則について簡単に触れた上で、日本の国籍法について説明する。最初に全体像を概観し、その上で、近時合憲性が問題となった、生後認知による日本国籍の取得の有無に関する規定、及び、国籍留保条項について、最高裁判決を中心に論じ、現在の国籍法が抱えている問題の幾つかを示す。
※第7回講義レジュメ
余力があれば、最判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁、及び、最判平成27年3月10日民集69巻2号265頁に目を通し、レジュメ18頁末尾の問いについて考えておく。

8
6月22日
在日コリアンの歴史と法(その1) (担当:小畑)
在日コリアン・コミュニティーの生成と展開について基礎的知識を得る。日本在留の根拠がどのように変遷してきたかについて基礎的知識を得る。
在日コリアンについての年表を参照し、歴史的経緯について疑問点を整理しておく。崔善愛事件・福岡高判1994・5・13の概要を確認しておく。レジュメに挙げられた条約の条文を確認しておく。
ウィナータ事件見解(村上正直訳)

9
6月29日
在日コリアンの歴史と法(その2)
(担当:小畑)
特別永住制度の概要を理解する。在日コリアンの法的地位について、どのような問題があるかを理解し、議論できるようになる。
特別永住制度について、法文を参照し、その内容を確認しておく。

10
7月6日
入管法に関わる弁護士実務
(担当:小畑、ゲスト:弁護士・宮崎真先生)
宮崎先生のレジュメ
宮崎先生のプレゼン用スライド

11
7月13日
在留中の活動についての制約と憲法(担当:斎藤(一))
在留中の外国人の活動に対する様々な制約の可否を憲法理論のレベルで検討する。 具体的には、マクリーン事件最高裁判決を前提に、外国人の憲法上の権利について多角的に考察する。
※講義レジュメ
関連判例の知識を確認しておくこと。

12
7月18日(土、月曜授業振替日)
入管・難民認定と行政訴訟(担当:深澤龍一郎)
主として外国人が在留特別許可(入管50条1項4号)を求めるケースおよび外国人が難民の認定(同61条の2)を求めるケースを取り上げ、行政救済法上の諸問題(本案審理に関するものも含む)について検討を加える。
予習用資料を読んで、Questionに対する答えをまとめてくること。

13
7月20日 (暫定)
※講義日時に注意!(Zoomによる場合は水曜日か土曜日に補講の形で講義を実施する)
外国人に対する刑事手続の諸問題(担当:小島淳)
外国人が被疑者・被告人、証人等として刑事手続に関与する場合における刑事訴訟法及び関連する法令上の代表的(伝統的)な問題点につき―いくつかの裁判例も素材として―検討する。
主に検討するのは、以下の点とする。
●捜査段階 ○令状提示の際の翻訳文添付・通訳人同行の要否
●公訴・公判段階 ○起訴状謄本送達の際の翻訳文添付の要否 【東京高判平2・11・29高刑集43・3・202(刑訴法判例百選〔第8版〕[新屋達之]94も参照】
○法廷通訳の正確性・公正性 【大阪高判平3・11・19判時1436・143(刑訴法判例百選〔第8版〕[角田正紀]124も参照】
○強制退去となる可能性がある者に対する保釈決定の適否
○強制退去対象者の供述を録取した書面の証拠能力(及び強制退去となる可能性のある者からの供述獲得手段) 【最判平7・6・20刑集49・6・741。刑訴法判例百選〔第10版〕[河原俊也]187も参照】
1.外国人が刑事手続に関与する際に、どの手続段階において、どういうことが問題となりうるかを考えておくこと。
2.出入国管理及び難民認定法の退去強制手続に関する条文(主に第5章)及び刑事手続に関係する条文(特に、63~65条)に目を通しておくこと。
3.刑事訴訟法の講義や教科書等では(詳しく)触れられていない点も検討の対象となるため、予習に際しては、まず、
●田中康郎「刑事手続における外国人」刑事訴訟法の争点〔第3版〕38(2002)
で問題の概要を確認した上で、「講義内容」で掲げた個別の問題点に関する裁判例(・判例解説)に目を通すとよいであろう。

14
7月27日
グループ発表・討論 (担当小畑)
復習と理解の定着のために、福岡高判2005(H17)・3・7判タ1234号73頁LEX/DB28100727についてグルーブ発表に基づき議論する。 最初にくじ引きでどのグループがどの役割を果たすか、決める。
進め方:原告の用意したプレゼン15分→被告の口頭での反論・質問5分→被告の用意したプレゼン15分→原告の口頭での反論5分→裁判官からの質問と両当事者の回答あわせて10分→(休憩・裁判官グループの評議10分)→裁判官グループからの(用意した+当事者の主張を考慮して修正した)判決プレゼン(20分)→講義担当者による講評10分
各グループのなかで、原告の主張として論ずべきこと、被告国側の主張として論ずべきこと、裁判所の判決として論すべきこと、の担当者を決めて、それぞれの報告を基に予備ディスカッションをして、3つのレジュメ(ないしppt)を準備する。

15
8月3日
日本の「移民」政策(担当:石川クラウディア)
表、データを読みながら、1990年以降の外国人(労働者)受入れ政策について基礎知識を習得する。該当する行政機関の基本的な考え方を把握し、政策の動き・効果、そしていくつかの問題点を明らかすることがこの授業の目的である。具体的には、入国管理の「1990制度」、2019年4月に策定された『出入国在留管理基本計画』、そして骨太方針2019に含まれている外国人材受け入れ方針に焦点を当てる。
注意:この授業をが国際教育交流センター(国際棟)、201教室(2階)に行われる。
PPTプレゼンテーションを行う予定。資料にあたる『出入国在留管理基本計画』と『経済財政運営と改革の基本方針2019』を事前に目を通しておくこと。
『出入国在留基本計画』(24-45項ご参照) http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/pdf/2019_kihonkeikaku_honbun.pdf
『出入国在留基本計画(基本方針および対応策)』 http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/pdf/2019_kihonkeikaku_future_policy.pdf
『経済財政運営と改革の基本方針2019』(39-40項ご参照) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0621/shiryo_04-1.pdf


履修条件・関連する科目
法科大学院「国際法Ⅱ」ないしそれに相当する法学部科目を履修済みであることが望ましい。
成績評価の方法と基準
講義での受け応え、1度設ける予定のプレゼン・セッションにおける報告と質問への回答など平常点60% 最終レポート40%
教科書・テキスト
・『ベーシック条約集』2020年版または2019年版(東信堂) ※講義に携帯してくること。
参考書
・山田鐐一・黒木忠正・髙宅茂『よく分かる入管法〔第4版〕』(有斐閣、2017年) ・薬師寺公夫ほか『法科大学院ケースブック国際人権法』(日本評論社、2006年) ・「日本の国際法判例」研究会(第2期)「解説・日本の国際法判例(1)~」国際法外交雑誌106巻1号以下、原則として各巻4号掲載 ・松井芳郎ほか編『国際人権条約・宣言集〔第3版〕』(東信堂、2005年) その他、適宜指示する。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
CAVASにて随時指示するが、とりわけ公法の関連知識を確認し、それが外国人の問題にどのように適用されているか、調べておくこと
注意事項
名古屋大学における COVID-19 問題についての下記の指針を参照すること(とくに「 5. 学生の 入構制限」に注意)。
http://www.law.nagoya-u.ac.jp/_userdata/20200409shishin2.pdf
(なお、 「方針」における警戒カテゴリー・レベルは更新される―上記のものはあくまで 4 月 9 日現在の ものである―ので、名古屋大学 HP (トップページ)にある「新型コロナウィルス感染症( COVID ‐ 19 )に おける名古屋大学の活動方針」を随時確認するようにすること。)
2011年度の講義のサンプル(レジュメ等を含む)が下のリンクで閲覧できます。 http://ocw.nagoya-u.jp/index.php?lang=ja&mode=c&id=302&page_type=index
授業開講形態等
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置