学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
学部
科目区分
Course Category
理系教養科目
Liberal Education Courses in Natural Sciences
科目名 【日本語】
Course Title
自然環境と人間
科目名 【英語】
Course Title
Natural Environment and the Human Being
使用言語
Language Used in the Course
日本語
担当教員 【日本語】
Instructor
中塚 武 ○
担当教員 【英語】
Instructor
NAKATSUKA Takeshi ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
Ⅳ 水曜日 3時限
IV Wed 3


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course [JPN]
昨今、地球規模での気候や環境の変化が、人間社会に与える影響が危惧されている。自然環境が大きく変化すると、私たちの社会はどうなるのだろうか。本授業では、弥生時代から現在までの約3千年間の日本の歴史を主な題材にして、さまざまな時代におきた大きな気候変動に対して、私たちの祖先がどのように対応してきたのかを、最新の古気候復元のデータと膨大な数の文献史料・考古資料を照合しながら、明らかにしていく。そして、自然や社会の環境変化に対して、私たちはどのように対峙していくべきなのかについて、文理双方の視点から、一緒に考えていく。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course [ENG]
Recently, human societies have been suffering from global climatic and environmental changes. What happens for our society if natural environment drastically changes? In this lecture, I elucidate how our ancestors had reacted to large climate variations by detailed comparisons between up-to-date paleoclimatological data and numerous literal and archaeological records in Japan since 3,000 years ago. Then, we think together how we should correspond to contemporary natural and social environmental changes in the viewpoint of integrated approaches between humanity and Nature.
授業の達成目標 【日本語】
Objectives of the Course [JPN]
気候変動への人間社会の対応といった大きな問題に取り組むために、文系と理系の協力がいかに重要であるのかを具体的に理解し、文理融合のアプローチの方法論を実践的に身につける。
授業の達成目標 【英語】
Objectives of the Course [ENG]
In order to tackle big issues such as the societal adaptation to climate changes, students will understand how integrated approaches among human, social and natural sciences are important and learn its practical methods.
教科書
Textbook
講義資料は、毎回、配布する。必要に応じて、下記の教科書を参照する。
「気候変動から読みなおす日本史 第1巻 新しい気候観と日本史の新たな可能性」、中塚武監修、臨川書店、ISBN978-4-653-04501-4
課外学修等
Study Load (Self-directed Learning Outside Course Hours)
期末の筆記試験にむけて、講義中に配布する講義資料や、教科書や参考書などを使って、講義内容を復習することを求めると共に、新たな課題を探求することを推奨する。
注意事項
Notice for Students
本授業に関するWebページ
Reference website for this Course
気候適応史プロジェクト
担当教員からのメッセージ
Message from the Instructor
従来、気候変動と人間社会の関係については、両者の強い関係を示唆する「気候決定論」とも言える立場と、気候等の物理的環境からの人間の独立性を説く「気候無関係論」とも言える立場が、共存してきました。前者は、主に理科系の研究者の立場で、後者は、主に文科系の研究者の立場でした。しかし両者に共通する問題は、過去における気候変動の実態が不明なので詳しいことは分らない、というものでした。実際、従来の古気候学では、例えば、過去千年間の気候復元の精度は「十年単位」、過去百万年間の気候復元の精度は「千年単位」が限度であり、社会の構成員である一人一人の人間の「寿命」やその行動パターンを決める際に参照される「記憶」の時間スケール(数十年~数年)よりも、遥に粗い解像度の気候変動データしか提供できて来ませんでした。例えば、100年で5度気温が上昇するにしても、それがゆっくりと毎年0.05度ずつ上がるのと、数年単位で10度程度の気温の激しい上下動を伴いながら、平均値が、結果的に100年で5度上昇するのとでは、個人や社会に与えるインパクトも、まるで異なるものと思われます。しかし従来の古気候学では、この違いが見分けられませんでした。
しかし近年、アイスコアや鍾乳石、樹木年輪等に含まれる安定同位体比などを用いた研究の発展により、1年単位、或いは、季節単位の気候変動のデータが、数千年、数万年前の時代に遡って取得できるようになり、気候変動と人間社会の関係に関する実証的な新しい研究の可能性が、一気に開けてきています。本授業は、担当教員自身が過去5年間に亘って、大学共同利用機関である京都の総合地球環境学研究所において、文理双方のさまざまな分野の研究者らと共に実施した研究プロジェクト「高分解能古気候学と歴史・気候学の連携による気候変動に強い社会システムの探索」の成果(http://www.chikyu.ac.jp/nenrin/)を、皆さんに紹介するものです。この新しい文理融合の地球環境学の息吹を、本授業で、是非、感じ取ってもらえればと思います。
実務経験のある教員等による授業科目(大学等における修学の支援に関する法律施行規則に基づくもの)
Courses taught by Instructors with practical experience
授業開講形態等
Lecture format, etc.
https://office.ilas.nagoya-u.ac.jp/2021-fall-implementation/