学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
教育学部
時間割コード
Registration Code
0230110
科目名 【日本語】
Course Title
人間形成学講義Ⅲ
科目名 【英語】
Course Title
Lecture on Philosophy of Human Becoming III
コースナンバリングコード
Course Numbering Code
EDUED3313J
担当教員 【日本語】
Instructor
松下 晴彦 ○
担当教員 【英語】
Instructor
MATSUSHITA Haruhiko ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
春 月曜日 2時限
Spring Mon 2
対象学年
Year
3年
3
コース・専攻等
Subject
コース専門科目(国際社会文化コース)
必修・選択
Required / Selected
選択必修Ⅱ


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
この授業では、人間とはなにか、人間形成とはどのような諸相をもつか、教育はいかにして可能なのかという問題を、東洋と西洋の人文、社会科学の知見に学びながら、広く深く探究していくことを目的とします。
 今年度は、私たちが生きていくときの最も根底的な道具である言語や言語の派生物(概念、記号、枠組みなど)についての省察を手がかりとして、教育学や人間形成に関する基本的な捉え方について学んでいきます。
 講義の前半では、言語の理解について概括的に学び、教育の諸相(生活、制度、カリキュラム、政策など)の中心に、言語がどのように位置づいているかを探究します。後半では、言語の創造的な側面に焦点化し、言語の機能によってもたらされる概念装置、枠組みの功罪(積極面と消極面)について学んでいきます。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
In this class, we will broadly and deeply explore the issues of what human beings are, what aspects human becoming has, and how education is possible, while learning from the basic knowledge of the humanities and social sciences of the East and the West.
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
人間形成の思想,哲学,理論についての知識と理解を深める。
教育学と教育科学の学術的な知見と研究方法を身につける。
教育問題に対する問題解決能力と批判的思考力を身につける。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
To deepen knowledge and understanding of the ideas, philosophies, and theories of human formation.
To acquire academic knowledge and research methods in pedagogy and educational science.
To acquire problem-solving ability and critical thinking ability for educational problems.
授業の内容や構成
Course Content / Plan
I 教育と言語
1 イントロダクション
 言語と思考の問題について。言語はどのていど私たちのものの考え方や見方を制約しているのか、(受講生からあげてもらう)具体例のなかで考えます。
2 教育の言葉、諸概念の分析
 「教育」とその関連用語の意味や歴史、概念(考え方)について、考えます。また日本の場合、多くの経験諸科学が西洋からの翻訳文化として成立してきたことについても紹介していきます。
3 リテラシーと教育(1)
 リテラシーは通常、識字能力(書記のリテラシー)を指しますが、ここでは、一般人として文字に通じていること、文字によってものを考えることのできる精神、「レイ・リテラシー」について概説します。
4 リテラシーと教育(2)
 「文字によって考える精神」の歴史、現代の教育におけるその位置づけについて、概説します。
5 教育と修辞学(レトリック)
 私たちの生活、言語活動におけるメタファーやメトニミーが果たしている役割について、具体例(文学作品や、新聞の論考など)において理解し、さらに、言説におけるメタファーに注視していくことの大切さ、(教育の題材としていく)必要性について考えます。
6 ナショナリズムと言語
 国民国家の成立のためには、国民語(国語)の創成が重要となります。同様に、ナショナリズムを意識させるときも、言語の機能と役割がクローズアップされます。B.アンダーソンの「想像の共同体」、E.サイードの「オリエンタリズム」などの鍵となる概念を参考にしながら、国家、文化、民族、共同体と言語の問題を探究します。

II 言語と記号の社会構成的役割
7 社会構成主義とはなにか
 言語によって特定の現象の概念化がされると、それまでみえていなかったものが理解されるようになります。言語は、単なる実在の鏡なのか、あるいは、実在を作りだし、カテゴリー化するなどの積極的な働きをもつのか、さらに、そこにひとはどのように関わっているのか、少し手強い問題を考えます。
8 人間を分類すること
 今日、ダイバーシティの議論が盛んになってきましたが、人間の分類と分類される当の人間への作用について、社会構成主義(構築主義)の観点から、考察します。「生政治学」「解剖政治学」の論点を基盤とします。
9 平均的人間の創成について
 現代社会では、社会を統計化し、教育では、人間を測定し、平均的人間を想定することが当然のように考えられています。歴史的に、「平均人」がどのように誕生し、実体化され、諸能力の創出と計測のテクノロジーが展開されるにいたったか、概括的に紹介します。
10 人間と倫理の問題
 言語を媒介とした探究は、大きく二つの問題に分岐します。ひとつは、人が世界をどう理解するかという問題。認識と存在、思考と世界、意識と現実の問題です。もうひとつは、自己と他者との間、あるべきつながりという問題です。道徳的な義務もまた「社会的構成」によるのか、私たちはいかにして道徳的な行為者として、道徳的命令を構築できるのかといった難題について考察します。
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
特になし。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
最終レポート80%、適宜実施のリアクション・ペーパー20%
授業内・外の課題の提出状況、最終レポートの成績から総合的に評価する。
教科書・テキスト
Textbook
教科書は指定せず、授業中に適宜、参考文献、資料等を紹介する。
参考書
Reference Book
参考文献や資料については,授業のなかで適宜指定,紹介する。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
授業で取りあげるトピック、関連する重要事項などについて、各自でノートに整理し、各自の教育問題に対する理解と考え方をまとめていく。
注意事項
Notice for Students
授業は講義形態で進めるが、クラスサイズに応じて、学習をよりよく深めるために文献の読解・報告など演習形式の時間を取り入れる。(詳細はNUCTにて案内する)。
他学部生、他専攻生、他研究科生の受講の可否
Propriety of other undergraduate students, other major students, and other graduate students attendance
3年生以上可
授業開講形態等
Lecture format, etc.
遠隔授業(同時双方型)で実施の予定。変更がある場合は、NUCTで案内する。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)
学生から教員への質問、また学生同士の意見交換については、NUCTの「メッセージ」機能を使うことで対応する。