授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 熱力学は系の微視的詳細に立ち入ることなしに,熱や仕事に関する巨視的な量の関係を構築するもので,地球惑星科学の諸問題にも使用される.本講義では平衡形の熱力学の構造の全体像を論理的に把握することを目標とする.マクロ系とミクロ系の関係,マクロ系の平衡状態,エントロピー(微視的意味づけを含む),示強変数の導出,熱力学ポテンシャルの概念を用いて種々の地球惑星科学現象の熱力学的考察および定量的計算が可能となるよう基礎を確立することをめざす.余裕があれば,相転移や,微視的な立場から物質の状態を議論する統計力学の視点などについてもごく簡単に触れ,熱力学や地球惑星科学に関する視野を広げることも目指す. Thermodynamics is a branch of physics that construct the relations among macroscopic variables about heat and work without specifying microscopic description of the system. It is used in various problems of earth and planetary science. The aim of this course is to help students logically acquire an overall picture of the structure of thermodynamics of equilibrium systems. The course also enhances the development of students’ skill in analyzing various phenomena of earth and planets using thermodynamics. |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN)) | | 熱力学の基本的な考え方,特にエントロピーの概念について,的確に説明できるようになること,さらに熱力学を使って,地球惑星科学の問題を考える力を持つことを到達目標とする. |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 授業内容(構造)
1. 準備・設定: マクロ系とミクロ系,熱力学と統計物理学,局所熱平衡状態,操作・束縛,エネルギー固有状態; 2. 熱力学の基本的要請: 平衡状態,ミクロ状態数,等重率の原理,Boltzmannの関係式,エントロピーSと基本関係式; 3. 熱力学変数,および仕事と熱: 相加性・同時性,密度,Sの性質,Nernst-Planckの仮定,仕事と熱,準静的過程,理想気体; 4. 系の間の平衡とエントロピー増大則: 系間の温度など示強変数の一致,孤立系/部分系のSの変化,可逆/不可逆過程,熱機関の効率; 5. 熱力学ポテンシャルと熱力学関係式: Legendre変換,表示,熱力学ポテンシャル、Joule-Thomson過程,熱容量,カノニカル分布; 6. 相転移と熱輸送: 相,相転移,相図,相律,熱輸送,熱伝導;
練習問題を課し,理解度を確認する. |
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履修条件 Course Prerequisites | | 理学部1年次に開講される,微分積分学Iと力学を履修していることが望ましい. |
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関連する科目 Related Courses | | |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 出席を前提とし,演習問題を解いたノートの内容で評価を行う. |
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不可(F)と欠席(W)の基準 Criteria for "Fail (F)" & "Absent (W)" grades | | 総合点が6割に達しない場合は欠席(W)とする.試験を受けなかった場合,レポートが3回以上未提出の場合,3回以上無断欠席した場合は欠席(W)とする.試験もしくはレポートで不正行為があった場合には不可(F)とする. |
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参考書 Reference Book | | 「熱力学―現代的な視点から 」(新物理学シリーズ)田崎晴明著,培風館:ミクロな物理学(分子運動論や量子力学)を持ち出さず,マクロ系に閉じた理論体系として構築され,基本的変数の一部を温度などの示強変数に置き換えて熱力学を展開する現代的な教科書.本講義と違って,エントロピーの導入は後半となる.
「熱力学入門」佐々真一著,共立出版:流体に関する熱力学の基本が,操作的アプローチなど現代的な観点から,コンパクトにまとめられている.状態方程式と熱容量を出発点とする点やエントロピーの登場が後半になる点は本講義と異なる.
「統計力学I ・II」(新物理学シリーズ)田崎晴明著,培風館:本講義では統計力学は最小限説明しないが,その部分は主に本書(Iの2~4章とIIの9.2節)に依る.
「大学演習 熱学・統計力学」久保亮五編,裳華房:熱学・統計力学の例題を網羅した演習書だが,各章に簡潔なまとめがつけられている.伝統的な熱力学の定式化に依っているため,初学者にとって,授業とは相性が良くない部分がある.
「熱学思想の史的展開」山本義隆著,現代数学社:熱力学発展の科学史が良くわかる好著. |
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教科書・テキスト Textbook | | 「熱力学の基礎」清水明著,東大出版会:本講義はこの教科書に沿って講義を進める.この教科書では,必要な場合にはエネルギー保存則などミクロな物理学を用い,示量変数だけを基本変数に選んで熱力学を展開していくスタイルである.本講義もこのスタイルを踏襲する.ただし,エントロピーの導入に際しては,統計物理学(統計力学)によるBoltzmannの関係式について述べる. |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | |
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注意事項 Notice for Students | | |
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他学科聴講の可否 Propriety of Other department student's attendance | | |
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他学科聴講の条件 Conditions for Other department student's attendance | | 理学部1年次に開講される,微分積分学Iと力学を履修していることが望ましい. |
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レベル Level | | |
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キーワード Keyword | | |
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履修の際のアドバイス Advice | | |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | |
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