学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
医学部(保)
時間割コード
Registration Code
1753231
科目名 【日本語】
Course Title
病原微生物学I
科目名 【英語】
Course Title
Microbiology I
コースナンバリングコード
Course Numbering Code
担当教員 【日本語】
Instructor
川村 久美子 ○
担当教員 【英語】
Instructor
KAWAMURA Kumiko ○
単位数
Credits
1
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
春1期 金曜日 2時限
Spring1 Fri 2
必修・選択
Required / Selected
必修


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
【背景】抗菌薬やワクチンの普及などにより,20世紀後半には感染症はすでに制圧された疾患と考えられた。しかし、近年の高度先端医療の進歩に伴い、易感染患者が増加し、結果メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌などによる院内感染が増加している。さらに、医療環境のみならず、市中環境にも基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌などの薬剤耐性菌が蔓延し、公衆衛生上の問題となっている。また、世界的には、SARS(重症急性呼吸器症候群)など新たな感染症も出現するなど、我々は再び感染症の脅威に曝されつつある。
【目的】本授業では、病原微生物(とくに病原細菌)の生態や感染症成立のメカニズムを学ぶことによって、感染慫診断および予防対策に必要な科学的な基礎知識の習得を目指す。本授業を通じて「感染症」に対する科学的思考、創造力、医療従事者としての倫理性を養ってほしい。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
The aim of this course is to help students acquire an understanding of the knowledge for diagnosis and the prevention of infectious diseases. This course deals with the ecology of pathogenic bacteria and the mechanism of the establishment of infectious diseases.
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
この授業では、受講者が授業終了時に、以下の知識や能力を身につけていることを目標とする
1. 病原細菌の構造を理解し、説明できる
2. 病原細菌における遺伝子の伝播を理解し、説明できる
3. 感染と発症のメカニズムを理解し、説明できる
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
The goals of course are to
1. be able to understand and explain the structure of pathogenic bacteria.
2. be able to understand and explain gene transmission among pathogenic bacteria.
3. be able to understand and explain the mechanism of the establishment of infectious diseases.
授業の内容や構成
Course Content / Plan
1.「微生物学の歴史と社会における問題点」
 医療技術の進歩に伴う院内感染の増加、エイズ、肝炎ウイルスなどの新しく問題となる感染(新興感染症)並びに結核、ジフテリアなど一度は先進国で制圧が進んだが再び問題となりつつある感染(再興感染症)など、感染症の諸問題が社会に与える影響について解説する。

2.「細菌の分類と命名法」
 原核生物である細菌は真核生物とは異なる点が存在しており、化学療法剤はその違いをターゲットとして開発されている。また、細菌の構成成分の多くは抗原性を有しており、多くが病原性に関係している。これら細菌の基本構造とその機能を理解することは、感染症の発症や化学療法剤による治療を理解するためにも大変重要であるので、本授業で詳しく解説する。

3.「細菌の構造とその機能」
 化学療法剤の多くは、細菌の構成成分をターゲットとしている。また、細菌の構成成分の多くは抗原性を有しており、多くが病原性に関係している。これら細菌の基本構造とその機能を理解することは、感染症の発症や化学療法剤による治療を理解するためにも大変重要であるので、本授業で詳しく解説する。

4.「代謝および増殖過程」
 細菌のエネルギー産生経路(特にグルコースの代謝経路)および 細菌の増殖に必要な成分や物理的条件について解説する。

5.「細菌の遺伝子発現とその伝播」
 細菌は遺伝子の交換や取得によって進化している。本授業では細菌における各種遺伝子の発現および細菌間の遺伝子の水平伝播機構について詳しく解説する。

6.「感染と発症 I --感染の概念と感染の成立、感染の成立における生体防御機構の関与について、」
 宿主の生体防御機構と微生物の病原性とのバランスが感染の成立および発症に深く関わっている。本授業では感染の成立と宿主の生体防御機構との関わりについて、詳しく解説する。また、感染から感染症に至る一般的な経過、感染成立のための要因、感染経路などについても解説する。

7. 「感染と発症 II --正常細菌叢とその変動・菌交代症、感染の発症に関わる各種病原因子と毒素について」
 我々の体には無数の正常細菌が住み着いており、それらが有益な作用を提供している。一方で、その正常細菌叢の変化が諸刃の剣となって感染症を引き起こすこともある。本授業では宿主側要因として、正常細菌叢の成り立ちとその変動によって生じる菌交代症について詳しく解説する。また、細菌側の要因として、感染成立へ強く関わる病原性の強さならびに毒素をはじめとする各種病原因子について詳しく解説する。

8. まとめと評価

各授業内容は上記の予定で行いますので、授業内容を充分に理解するために予め予習をしてきて下さい。予習事項の一部をレポートとして提出して頂くこともあります。また、授業内で練習問題に取り組みながら、予習状況と授業の理解度を確認します。
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
本授業は、病原細菌の特徴および病原性などの知識の習得を目標としており、2年生春学期II期に開講される「病原微生物学II」も合わせて履修することが必要である
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
(評価方法)出席点と課題提出状況を20%、期末試験(100点満点)を80%として総点にて評価します。
(評価基準) 総点60点以上を合格とします。
教科書・テキスト
Textbook
松本哲哉ら著『臨床微生物学』(医歯薬出版,2017)
参考書
Reference Book
臨床微生物検査 技術教本 (JAMT技術教本シリーズ、丸善出版、2017)
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
本授業科目の単位取得にあたっては、授業時間以外に予習、復習などの時間外学習が必要ですので、授業内に提示する予習項目のみならず、指定した教科書などで授業内容を事前に確認することや授業内で行なう練習問題で解答に苦慮した部分については充分に復習してください。
授業の進め方
How to proceed with the class
基本的には教科書に沿って授業を進めるが、適宜スライドやビデオなども活用しながら理解を深めたいと考えている。
注意事項
Notice for Students
本授業に関する参照Webページ
Reference website for this Course
担当教員からのメッセージ
Message from the Instructor
この講義では病原微生物の基礎を学びます。高校で生物学を選択していない方にもわかるように講義していきますので、微生物の世界を楽しく学んでください。
使用言語
Language(s) for Instruction & Discussion
日本語
授業開講形態等
Lecture format, etc.
対面で行う。教育レベルの変更によっては遠隔授業に変更することもありうる
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)