学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法・専学
時間割コード
Registration Code
9310200
科目区分
Course Category
法律基本科目(必修)
Basic Law Courses
科目名 【日本語】
Course Title
憲法基礎Ⅱ
科目名 【英語】
Course Title
Constitutional Law Ⅱ
担当教員 【日本語】
Instructor
齋藤 一久 ○
担当教員 【英語】
Instructor
SAITO Kazuhisa ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 木曜日 1時限
Fall Thu 1
対象学年
Year
1年
1
授業形態
Course style
演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
 近代的意味の憲法、すなわち立憲的意味の憲法の意義を理解した上で、憲法の核心である基本的人権(基本権)領域の法知識を涵養し、これをもとに批判的に検討・発展させていく創造的な思考力を養い,事実に即した具体的な問題解決に必要な法的な分析・議論能力の育成をはかる。近代憲法の目的は基本的人権の保障をはかることにあるが、その実定憲法上の保障の解釈は、実定憲法の歴史性の故に不断に更新を求められる。したがって鋭い人権感覚と柔軟な解釈論の技法の涵養が不可欠である。
 授業は、人権の裁判的保障に関する基本事項を確認した上で、人権の享有主体性、幸福追求権、平等、精神的自由権、経済自由、社会権、刑事手続の順に展開する。内容は既存の学説、法令及び判例を理解するというよりも、法曹に求められる資質としての問題発見的あるいは問題提起的姿勢を育むものとする。
 なお、この講義は、「法科大学院における共通的な到達目標」を踏まえて、具体的な授業内容を設定している。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
(1)基本的人権の基本原理を理解できる。
(2)違憲審査制度との関係で人権保障に特有な法的論点を理解できる。
(3)憲法の基本判例を正確に理解し、判例法理を批判的かつ発展的に考察することができる。
(4)具体的な紛争の法解釈を通じて、近代立憲主義の基本的考え方を理解する。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
授業の内容や構成
Course Content / Plan
1.裁判による人権保障
(1)「人権」の意味と歴史を的確に理解できる。
(2)人権の類型化の意義とその相対性を理解できる。
(3)違憲審査制との関係で人権保障の問題を考えることができる。

2.人権の享有主体
(1)人権の享有主体性という問題の所在を理解できる。
(2)外国人の人権に関する判例・学説を理解できる。
(3)法人の人権に関する判例法理を理解し、その問題点を指摘できる。
(4)団体と構成員の間での人権問題について、その基本事項を理解できる。

3.人権の限界
(1)具体的事案に基づいて人権保障の限界を考えることができる。
(2)判例の「公共の福祉」論を批判的に検討できる。
(3) 「制度的保障」という考え方を理解し、批判的に検討できる。

4.私人間における人権保障
(1)憲法の私人間効力に関する学説状況を理解できる。
(2)三菱樹脂事件最高裁判決を正確に理解し、批判的に検討できる。

5.新しい人権
(1)幸福追求権に関する基本事項を理解できる。
(2)「新しい人権」の保障に関する判例・学説を理解できる。

6.法の下の平等
(1)形式的平等と実質的平等の差異など、基本的事項を理解できる。
(2)「合理的な区別」の意義を具体的問題との関係で理解できる。
(3)審査基準の論点を踏まえて、憲法14条の解釈ができる。

7.思想良心の自由と信教の自由
(1).思想良心の自由の内容・意義を理解し、具体的な事案との関係で考察できる。
(2)信教の自由と政教分離の内容・意義および両者の関係を理解できる。
(3)政教分離に関する判例法理を批判的に考察できる。

8.表現の自由(1)
(1)表現の自由の優越的地位を理解し、自ら説明できる。
(2)事前規制と事後規制,内容規制と内容中立規制の違いを理解できる。
(3)表現の自由の保障の限界に関わる法的問題の基本を理解できる。

10.表現の自由(2)
(1)検閲の禁止に関する判例・学説を理解できる。
(2)人格権保障のための差止めの可否を憲法学的に議論できる。

11.報道の自由と学問の自由
(1)知る権利の意義と情報公開制度の関係を理解できる。
(2)報道の自由と取材の自由の意義,および両者の関係を理解できる。
(3)学問の自由の基本事項を理解できる。

12.経済的自由
(1)憲法史を踏まえて、財産権保障の相対化の意味を理解する。
(2)営業の自由に関する規制目的二分論を理解できる。
(3)憲法29条の解釈にかかわる基本論点と基本判例を理解できる。

13.生存権と教育を受ける権利
(1)社会権保障の意義を憲法史を踏まえて理解できる。
(2)社会権と自由権の関係を理解できる。
(3).生存権の保障に関する判例法理を理解し,学説を整理できる。
(4)教育を受ける権利に関する基本事項と判例法理を理解できる。

14.労働基本権・公務員の人権
(1)労働基本権の意義と内容を具体的に理解できる。
(2).公務員の労働基本権に関する判例法理を理解し、批判的に検討できる。
(3)公務員の政治活動の自由に関する判例の考え方を理解できる。

15.人身の自由と適正手続保障
(1)人権保障における手続的保障の意義を理解できる。
(2)人身の自由・刑事手続上の人権に関する基本事項を理解し、具体的な事案・判例との関係で、条文解釈を行うことができる。

16 まとめ
最終テストを行う。
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
憲法基礎Ⅰ
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
平常点(発言)10点、小テスト30点、学期末試験60点とする。
合否の判断は名古屋大学の評価基準に基づいて行う。
到達目標(1)について:平常点・小テスト・学年末試験
到達目標(2)について:平常点・小テスト・学年末試験
到達目標(3)について:平常点・小テスト・学年末試験
到達目標(4)について:平常点・小テスト・学年末試験
教科書・テキスト
Textbook
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第7版)』(岩波書店、2019年)
長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選ⅠⅡ(第7版)』(有斐閣、2019年)
参考書
Reference Book
本秀紀編『憲法講義〔第2版〕』(日本評論社、2018年)
斎藤一久・堀口悟郎編『図録日本国憲法』(弘文堂、2018年)
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
TKC 教育支援システムの「カリキュラム」の各講義回の「予習案内」や「復習課題」を参照すること。
注意事項
Notice for Students
授業開講形態等
Lecture format, etc.

授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/
※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内します。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)

遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。
・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
(※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。)