学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法・専学
時間割コード
Registration Code
9310500
科目区分
Course Category
法律基本科目(必修)
Basic Law Courses
科目名 【日本語】
Course Title
行政法基礎Ⅱ
科目名 【英語】
Course Title
Administrative LawⅡ
担当教員 【日本語】
Instructor
稲葉 一将 ○
担当教員 【英語】
Instructor
INABA Kazumasa ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 火曜日 1時限
Fall Tue 1
対象学年
Year
1年
1
授業形態
Course style
演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
本授業では、国民の日常生活と行政とのかかわりにおいて生ずる紛争を解決するために、どのような法制度があり、また法制度にはどのような意義と限界があるのかを、具体例に即して学ぶ。このような学習によって、事実から出発して個別具体的な事案を法的問題として把握し、これを解決しようとする法律家の素養を培うことを目的とする。 本授業では、意味ある質疑応答のためにも、受講者があらかじめ、行政救済法に関する教科書類の該当部分や関係する重要判例を予習していることを前提にしてすすめたい。授業の進度等は、受講者の要望や理解度に応じて変更することがある。 本授業は、「法科大学院における共通的な到達目標」をふまえて、授業内容を設定している。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
1年生秋学期段階の評価基準の内容は、次のとおりである。 (1)行政救済法における基本概念を理解していること。 (2)行政救済法に関する重要な法律と条文を理解していること。 (3)事例ごとの主要な法的争点を理解していること。 (4)現時点での法的問題解決における限界(将来解消されるべき課題)を理解していること。 なお、上記「基本概念」や「重要な法律」、法的争点等については、授業で指摘するほか、法科大学院における共通的な到達目標(コア・カリキュラム)第二次案が参考になる( http://www.congre.co.jp/core-curriculum/index.html )。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
授業の内容や構成
Course Content / Plan
1

導入 行政救済法の意義、行政不服審査法(1) 10/5

行政救済法の意義と、その体系(行政争訟法と国家補償法)、紛争解決方法の類型(主観訴訟と客観訴訟などの類型の区別)について、基本的な特性を検討する。  説明する予定の判例(以下、行政判例百選の番号) 141 143 109 1                
行政不服審査法の目的、個別法の例を検討する。概要は以下に掲載されている。 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/fufuku/

主観訴訟と客観訴訟とのかかわりを検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


2

行政不服審査法(2) 行政事件訴訟法(1) 10/12

審査請求の手続、裁決、教示を検討する。不服申立てと行政事件訴訟との選択、処分取消訴訟と裁決取消訴訟との選択、裁決の違法事由を検討する。  説明する予定の判例 140 138

行審法の内容と個別法の内容との違いを検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる


3

行政事件訴訟法(2) 10/19

行政事件訴訟の訴訟類型、取消訴訟の訴訟要件のうち、処分性の特徴を、取消訴訟の排他的管轄とも関連づけながら、検討する。  説明する予定の判例 148 153 159 160  時間があれば 157 152 204も

いわゆる昭和39年定式、行政行為以外の行為の処分性を肯定した裁判例、いわゆる処分性拡大の裁判例の3つの違いを検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


4

行政事件訴訟(3) 10/26
取消訴訟における原告適格の意義について、本案における主張制限(行訴法10条1項)もあわせて、検討する。  説明する予定の判例 192 162 165  168(平成25重判行政法4) 167   
本案における主張制限が争点となった実例 千葉地判平成19.8.21(平成20重判行政法2)

原告適格の有無の一般的な判断枠組みを理解しつつ、現時点での限界を具体例に即して検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


5

行政事件訴訟(4) 11/2

主に取消訴訟における訴訟要件のひとつである訴えの利益の存否とその意義について検討する。  訴えの利益 65 177 174 最判昭和40.4.28 176 名古屋高判平成8.7.18  訴えの利益の有無と事情判決 178

174を参照しつつ最判平成5.9.10を検討する。175も自習すること。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


6

行政事件訴訟(5) 11/9

取消訴訟における審理(理由の差替え、主張立証責任、違法判断の基準時)、取消訴訟の判決の効力を検討する。  処分の同一性 190 理由の差替え 189 主張立証責任 77 違法判断の基準時 193  取消判決の第三者効 204

行訴法24条、04年改正により追加された23条の2の意義を確認する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


7

行政事件訴訟(6) 11/16

抗告訴訟の他の形式の意義、特徴と限界を検討する。  無効確認訴訟 181   義務付け訴訟 78 206 東京地判平成19.5.31速判解2号行政法3 東京地判平成20.2.29平成20重判行政法5  差止訴訟 207

行訴法36条の理解を、最判昭和51.4.27民集30.3.384にそくして整理する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


8

行政事件訴訟(7) 11/30

行政事件訴訟法における仮の救済を検討する。当事者訴訟の種類、抗告訴訟と実質的当事者訴訟との関係、を検討する。  執行停止 東京高決平成21.2.6環境法判例百選104 199 198 仮の義務付け 岡山地決平成19.10.15平成20重判行政法6  仮の差止め 神戸地決平成19.2.27速判解2号行政法1  当事者訴訟 207 208

抗告訴訟と当事者訴訟との関係が問われる場合を具体例に即して検討する。207の論点を、法律時報2013年9月号の特集(とくに、特集の趣旨)などの文献の自習とともに、復習する。この検討は、授業時間外に行われる。


9

国家補償法の概要 12/7

国家賠償法の基本的な特徴(1条、2条、3条、4条、5条、6条)を検討する。  3条 242 243 4条 244 6条 東京高判平成17.6.23平成18重判国際法2  附則6項 同上

国家賠償制度の基本的な特徴を検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


10

国家賠償法1条(1) 12/14

国家賠償法1条の各要件(公共団体、公権力の行使、公務員が職務を行うについて)について検討する。  7 215 232 229 230

国家賠償責任の本質論議と裁判例とのかかわりを検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


11

国家賠償法1条(2) 12/21

国家賠償法1条の各要件(違法性、過失)について検討する。 過失 215 東京高判平成4.12.18平成4重判行政法7、最判昭和49.12.12民集28.10.2028  違法性 218 219 220 222 225

公訴提起などの特殊な国家活動と行政活動一般との違いを、226から228までを参照しながら、復習する。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


12

国家賠償法2条 12/28

国家賠償法2条の各要件(公の営造物、設置管理の瑕疵)について検討する。  大阪高判昭和62.11.27判時1275.62    235 最判昭和53.7.4民集32.5.809 236  239 240

供用関連瑕疵に関する裁判例(241)を検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


13

国家賠償法(その他) 1/11

前回に続き、設置管理の瑕疵を検討する。  237 238

国家賠償法のまとめ。自主学習は、授業時間外に行われる。


14

損失補償の要否とその内容 1/18

憲法29条3項による損失補償、土地収用法等の法律による損失補償制度について、その要否、内容、限界を検討する。  憲法に基づく補償請求 252  補償の要否 251 247 253  補償の内容 248 250

損失補償と国家賠償とのかかわりについて検討する。自主学習のための具体例を授業時に示す。具体例の検討は、授業時間外に行われる。


15

講義のまとめ 1/25

以上の講義内容の要点を確認する。

授業中に取り扱った法制度、判例、これらを形成している理論に関する復習を行い、質問を考えてくること。


16

期末試験・講評
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
行政法基礎Ⅰを履修したものであること。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
平常点(25%)、期末試験(75%)により評価する(計100%)。平常点に含まれるのは出席や提出物である、提出物は、授業内容について、基本的な法概念や基本原理などの知識の有無、理解の程度などを確認するためのものである。期末試験は、到達目標のすべての観点から到達度を確認する。総合点60点以上を合格とする。
教科書・テキスト
Textbook
教科書は指定しない。各自使っている教科書を利用してください。
参考書
Reference Book
いわゆる体系書については、行政法基礎Ⅰの学習用に購入したものに行政救済法が含まれていれば、それを引き続き使用すればよい。行政救済法を除く行政法総論の体系書を購入した場合には、同一の著者による行政救済法の体系書を使用することが望ましい。なお、『行政判例百選』を利用するので、授業時に持ってくること。以上のほか、必要に応じて、適宜指示する。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
授業時間中に指示する。
注意事項
Notice for Students
具体的な事例をできるだけとりあげる。このために、また双方向の意味あるコミュニケーションを図るためにも、十分な予習時間を確保してほしい。
授業開講形態等
Lecture format, etc.

授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/
※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内します。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)

遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。
・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
(※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。)