授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 本講義では、現代世界の政治を理解するための鍵概念の一つである「民主主義(デモクラシー)」を取り上げる。冷戦と旧ソ連・東欧の社会主義体制の崩壊後、自由民主主義としての民主主義は、唯一の政治原理であるかのように思われた。しかし、今日では、自由民主主義の「危機」も主張されるようになっている。「民主主義=自由民主主義」という理解はどこまで妥当性を有しているのかという問題が、あらためて注目されるようになっている。 そこで本講義では、自由民主主義はあくまで民主主義の一つのモデルに過ぎないと想定し、自由民主主義に加えてそれ以外の様々な民主主義の考え方、具体的には熟議民主主義、闘技民主主義、くじ引き民主主義、私的領域における民主主義などの考え方を説明する。そのことを通じて、法曹を目指す際の前提となる、教養および多様な価値観への視点の涵養を目指す。 |
|
|
授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | |
|
到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 本講義の到達目標は、以下のものである。
(1)政治学の基本的な考え方を身につける。 (2)民主主義の多様性について理解する。 (3)民主主義の学修を通じて、現在および今後の社会を把握し見通すことができる思考力・洞察力を涵養する。 |
|
|
到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | |
|
授業の内容や構成 Course Content / Plan | | (1)イントロダクション【10/5】 ・本講義の目的・内容の概観 ・政治学とは何か ・法と政治の異同
(2)政治と民主主義【10/12】 政治および民主主義とは何かについて学修する。 ・政治とは何か ・民主主義とは何か 〔配布レジュメを読んでおく〕
(3)自由民主主義①【10/19】 民主主義の一つのタイプとしての自由民主主義のいくつかの特徴について学修する。 ・民主主義の正当化根拠 ・立憲主義 ・競争政党制と選挙型代表制 〔配布レジュメを読んでおく〕
(4)自由民主主義②【10/26】 自由民主主義の特徴の残りの部分と、自由民主主義の正当化根拠について学修する。 ・公私区分(公私二元論) ・自己利益 ・自由民主主義の正当化根拠 〔配布レジュメを読んでおく〕
(5)熟議民主主義①【11/2】 熟議民主主義の基本的特徴について学修する。 ・熟議民主主義とは何か ・熟議民主主義の正当化根拠 〔配布レジュメ等に基づいて、これまでの講義内容を復習しておく。〕
(6)熟議民主主義②【11/9】 熟議民主主義論の展開について学修する。 ・熟議民主主義の場としてのミニ・パブリックス ・熟議民主主義の多層的理解 ・熟議民主主義と社会運動 〔配布レジュメを読んでおく〕
(7)熟議民主主義③【11/16】 熟議システム論について学修する。 ・熟議システムとは何か ・自由民主主義と熟議システム論 ・方法論的国家主義批判と熟議システム論 〔配布レジュメを読んでおく〕
(8)闘技民主主義①【11/30】 闘技民主主義の基本的特徴について学修する。 ・民主主義における対立の重要性 ・民主主義とアイデンティティ ・熟議民主主義との関係 〔配布レジュメを読んでおく。〕
(9)闘技民主主義②【12/7】 闘技民主主義の政治観について学修する。 ・「政治的なるもの」の重要性 ・左派ポピュリズム論 ・闘技民主主義への批判 〔配布レジュメを読んでおく〕
(10)抽選と民主主義①【12/14】 抽選をベースとした民主主義の基本的な考え方と歴史について学修する。 ・抽選の正当化根拠 ・抽選と選挙をめぐる政治思想史 〔配布レジュメ等に基づいて、ここまでの講義内容を復習しておく〕
(11)抽選と民主主義②【12/21】 今日における抽選論の展開を学修する。 ・抽選とミニ・パブリックス ・抽選制議会の構想 〔配布レジュメを読んでおく〕
(12)私的領域と民主主義①【12/28】 公的領域と私的領域の区別とその再検討の必要性について学修する ・公私二元論の意味 ・フェミニズムによる問題提起 〔配布レジュメを読んでおく〕
(13)私的領域における民主主義②【1/11】 私的領域における政治・民主主義をどのように考えるべきかについて学修する ・集合的決定の場としての私的領域 ・私的領域における政治・民主主義についての研究者たちの議論 〔配布レジュメを読んでおく〕
(14)私的領域における民主主義③【1/18】 私的領域における政治・民主主義の具体像と発展的問題について学修する ・育児や介護をめぐる政治・民主主義 ・異宗教家族における政治・民主主義の実践 ・私的領域の拡張可能性 〔配布レジュメ等をもとにして、ここまでの講義内容を復習しておく〕
(15)講義のまとめ【1/25】 講義全体の内容を確認するとともに、必要に応じて参加者間のディスカッションを通じて理解を深める。 〔これまでの配布レジュメ等をもとにして、全体の講義内容を復習しておく。〕 |
|
|
履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | |
|
成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 小レポート(30%)、発言・討論への参加意欲と内容(20%)、学期末レポート(50%)で評価する。 総合点で60点以上を合格とする。 |
|
|
教科書・テキスト Textbook | | |
|
参考書 Reference Book | | ・田村哲樹・松元雅和・乙部延剛・山崎望『ここから始める政治理論』有斐閣ストゥディア、2017年。 ・田村哲樹・近藤康史・堀江孝司『 政治学 〔アカデミックナビ〕』勁草書房、2020年。 これら以外は、講義中に適宜紹介する。 |
|
|
課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | 講義内容について、配布レジュメ等を活用して事後的に復習すること。 |
|
|
注意事項 Notice for Students | | コロナウィルス感染の状況によって、遠隔での実施となる可能性がある。授業実施に関する連絡に注意すること。 |
|
|
授業開講形態等 Lecture format, etc. | | 授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/ ※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内します。 |
|
|
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | 遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。 ・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。 ・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。 (※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。) |
|
|