授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 法科大学院の労働法は、「労働法 Ⅰ 」、「労働法 Ⅱ 」、「労働法演習」に分かれている。「労働法 Ⅰ 」では、労働法の基礎的な概念・仕組み、労働契約法理、賃金・労働時間規制に関するレクチャーを行うとともに、判例の紹介・検討により理解を深める。適宜受講生に質問し発言を求める。以上の学習を通じて、優れた専門能力と広範な知識を身につけることを目指す。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | I will give a series of lectures on the basic concept and mechanism of labor law, labor contract doctrine, wage and working hour regulations. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | (1)労働法の基本的な考え方や体系が理解できるようになる。 (2)発展問題の基礎にある法的論点を理解しつつ、解決のための解釈論を展開することができるようになる。 (3)現行法や判例法理について、批判的・創造的な法的思考ができるようになる。 |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 1 労働法の体系・基本構造・仕組み 4月9日 労働法の体系:雇用関係法、労使関係法、労働市場法 法源:労働契約、法令、就業規則、労働協約 労基法の実効性確保の仕組み、強行的直律的効力 予習のため、当日の講義範囲に関する情報提供をこの欄では行う。「①」は百選の判例番号(「参考判例」として挙げるものについては授業で取り上げない可能性が高い)、「②」は水町労働法の編・章・節等である。 ② 45~50頁、67~72頁 (第2編第1章、第2編第3章1)、 363~364頁 事前にレジュメ・資料を配布するので、それにも目を通しておくこと(以下同様)。
2 労働者概念 4月16日 労働者概念:労基法上の労働者、労組法上の労働者、労働契約当事者としての労働者 ①1、3 ② 51~60頁 (第2編第2章1)
3 使用者概念 4月23日 使用者概念 :労基法上の使用者、団体交渉の相手方となる使用者(労組法上の使用者)、労働契約当事者としての使用者(黙示の労働契約論、法人格否認の法理) ①2、65、81、4、101 ② 61~65頁、386~391頁 (第2編第2章3、第4編第2章2-2-1)
4 就業規則 5月7日(*4月30日は休講) 就業規則:労基法上の規制、従来の判例法理(秋北バス事件最高裁大法廷判決)、労契法7条・10条・12条(労基法旧93条)、労働者の同意による不利益変更 ①18、19、20、21 ② 73~92頁 (第2編第3章3)
5 労働協約 5月14日 労働協約:債務的効力と規範的効力、有利原則、成立要件、協約自治の限界、不利益変更、一般的拘束力による不利益変更 ①88、89、90、91 ② 72~73頁、361~372頁 (第2編第3章2、第4編第1章2 ‐2 )
6 労働契約 5月21日 労働契約:労働契約上の権利義務、労働義務と「債務の本旨」(職務専念義務、私傷病と労務受領拒否)、指揮命令権・業務命令権、付随義務、秘密保持義務・競業避止義務 ①55、86、22、24、25、参考判例(23、26~28) ② 93~107頁 (第2編第3章4)
7 中間試験 5月28日 中間試験1と講評 1~6の授業の範囲から出題する。
8 雇用関係の成立 6月4日 採用・採用内定・試用:三菱樹脂事件最高裁大法廷判決、大日本印刷事件最高裁判決、労基法15条・職安法5条の3 ①8、9、10、参考判例(80、7) ② 111~123頁 (第3編第1章1)
9 人事異動 6月11日 人事異動:配転(東亜ペイント事件最高裁判決)・出向(労契法14条)・転籍等 ①61、62、参考判例(59、60、63) ② 123~135頁、142~144頁 (第3編第1章2-1(1)~(3)・(5))
10 服務規律と懲戒 6月18日 服務規律と懲戒:判例における「企業秩序」論、懲戒権の根拠、法的規制(労契法15条)、経歴詐称、企業外非行、内部告発 ①87、51~58 ② 144~155頁、213~215頁 (第3編第1章2-2、第3編第2章1-4)
11 雇用関係の終了 6月25日 雇用関係の終了:解雇(民法の原則、解雇規制、解雇権濫用法理、労契法16条、整理解雇)、変更解約告知、解雇権濫用の法的効果、解雇以外の終了事由(辞職、合意解約、定年制、期間満了) ①71、73、74、参考判例(67~70、72、75~77) ② 155~180頁 (第3編第1章3)
12 中間試験 7月2日 中間試験2と講評 8~11の授業範囲から出題する
13 賃金 7月9日 賃金:賃金の支払方法(民法の原則、労基法24条、通貨払原則、直接払原則、全額払原則、毎月一回以上定期日払原則、全額払原則に関する判例法理)、休業手当 ①29、参考判例(30~32、97) ② 215~236頁 (第3編第2章2-1)
14 労働時間 7月16日 労働時間:労働時間の概念(労基法上の労働時間=実労働時間、所定労働時間、賃金時間)、「労基法上の労働時間」の判断手法、時間外・休日労働の法的根拠・規制 ①33、34、36、参考判例(35、37~40) ② 236~258頁 (第3編第2章2-2)
15 休暇・休業 *補講日 休暇・休業:年次有給休暇(年休権の構造、時季指定権、時季変更権)、休暇・休業取得と不利益取扱い ①43、参考判例(41、42) ② 258~267頁、288~297頁 (第3編第2章2-3、第3編第2章5)
16 期末試験 期末試験と講評 出題範囲は授業全体に及ぶことを前提として、準備をすること。講評は採点終了後に「名古屋大学法科大学院教育支援システム」を通じて行う。 |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 講義の途中で、択一・穴埋め・用語の説明記述といった方式による中間試験を行う( 2 回) 。オンラインでの実施となった場合には、簡単な事例問題を複数出題にする。 期末試験は、判例をベースにした事例問題を出題する。 中間試験と期末試験の配分:30対60=計90% 課題の予習状況や講義中の質問への解答について「平常点」:10% 合否の判断は名古屋大学の評価基準に基づいて行う。 |
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教科書・テキスト Textbook | | ①別冊ジュリスト『労働法判例百選・第 9 版』(有斐閣、 2016 ) ②水町勇一郎『労働法 第 8 版』(有斐閣、 2020 ) |
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参考書 Reference Book | | ①唐津博・和田肇・矢野昌浩編『新版・労働法重要判例を読む Ⅰ ・ Ⅱ 』(日本評論社、 2013 ) ②菅野和夫『労働法 第12版』(弘文堂、2019) ③荒木尚志ほか『ケースブック労働法 第4版』(有斐閣、 2015 ) *使い慣れた教科書があれば、もちろん利用してほしい |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | * 授業前に予習対象として指示しているテキスト類と資料類に事前に目を通し、レジュメに書かれている質問への回答を考えておくこと。 |
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注意事項 Notice for Students | | レクチャーは口頭と板書で進める。「教科書」として指定した2冊について、①は「事実の概要」と「判旨」を中心として、②は制度・理論状況の標準的な紹介・要約として利用する。いずれもその内容にそのまま沿って説明を行うわけではない。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | 授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/ ※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内します。 |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | 遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。 ・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。 ・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。 (※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。) |
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