学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法・専学
時間割コード
Registration Code
9360400
科目区分
Course Category
展開・先端科目
Advanced/Applied Courses
科目名 【日本語】
Course Title
社会保障法
科目名 【英語】
Course Title
Law of Social Security
担当教員 【日本語】
Instructor
中野 妙子 ○
担当教員 【英語】
Instructor
NAKANO Taeko ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 火曜日 2時限
Fall Tue 2
対象学年
Year
3年
3
授業形態
Course style
演習
Lecture


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
社会保障とは、疾病、高齢、障害など、私たちの日常生活の継続を困難にする出来事に対して金銭やサービスを公的に給付する制度である。そして、社会保障法は、社会保障制度のあり方を規律するとともに、当事者間で生じる法律関係を規律する法分野である。
本授業は、日本の社会保障の法制度に係る正確な知識および理解を養うとともに、社会保障に係る法的問
題を、憲法、民法、行政法といった既に習った法分野の知識を応用して、分析・考察する力を養うことを目的とする。なお、本授業では、時間の都合により、社会保障制度のうち医療保険、年金保険および労災保険を取り上げる。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
授業終了時に、以下のことができるようになることを目標とする。
(1)社会保障の各制度の法的構造を正しく説明できる。
(2)社会保障法に関係する学説および判例を正しく説明できる。
(3)社会保障制度の当事者間の法律関係や、そこで生じうる法的問題について、授業で得た知識を用い、かつ、憲法・民法・行政法などの関連する他のの法分野の知識を応用して、論理的に分析し,解決を提示することができる。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
授業の内容や構成
Course Content / Plan
第1回 イントロダクション・総論
教科書、参考書、参考文献等の紹介
総論として、社会保障制度の沿革・意義および社会保障法の意義について学ぶ。

第2回 社会保障と憲法(1)
憲法25条を中心に、憲法の条項が争われた社会保障の裁判例について学習する。

第3回 社会保障と憲法(2)
憲法14条その他の憲法の条項について争われた社会保障の裁判例について学習する。

第4回 年金保険法(1)
わが国の公的年金の制度構造、および、個人が公的年金制度において強制的な被保険者となるのはどのような場合かを学習する。あわせて、被保険者資格を巡る裁判例についても学ぶ。

第5回 年金保険法(2)
公的年金保険による給付の種類、給付を受けるための手続きについて学び、それに伴って発生する法的問題について検討する。

第6回 年金保険法(3)
公的年金保険からの給付について、その支給要件について学ぶとともに、受給権の有無が争われた著名な裁判例について学習する。

第7回 年金保険法(4)
年金給付と民事上の損害賠償の調整について、関連する最高裁判例を取り上げ、その問題点について学ぶ。年金給付に必要な財源がどのように賄われているか、財源をめぐる問題点も含め学習する。

第8回 医療保険法(1)
わが国の公的医療保険の制度構造、および、個人がいかなる場合に公的医療保険の被保険者となるかを学習する。あわせて、被保険者資格を巡る裁判例についても学ぶ。

第9回 医療保険法(2)
医療保険による保険給付について学習する。とりわけ、療養の給付については、保険者・被保険者・保険医療機関・審査支払機関の間の法律関係について詳しく検討する。

第10回 医療保険法(3)
診療報酬の審査支払いの仕組みについて学び、保険医療機関が減点査定に不服がある場合にどのような訴訟が提起されるかを検討する。混合診療の問題について、制度の変遷を概観し、改革の議論を紹介する。

第11回 医療保険法(4)
医療保険の財源がどのように賄われているかについて学習する。国民健康保険料に対する租税法律主義の適用の問題についても取り上げる。 近年活発に議論が行われている高齢者医療の問題について、2006年の制度改正を中心に学ぶ。

第12回 労災保険法(1)
労災保険の適用関係について、裁判例および行政実務の認定例を中心に学習する。また、事故性傷病の業務上認定 について、裁判例および行政実務の認定例に基づき法的枠組みを学習する。

第13回 労災保険(2)
過労死、過労自殺の問題を中心に、非事故性疾病の認定について、裁判例および行政実務の認定例に基づき法的枠組みを学習する。

第14回 労災保険(3)
通勤災害の認定について、裁判例および行政実務の認定例に基づき法的枠組みを学習する。労災保険から被災労働者に対して給付される各種給付について、その概要と関連する法的問題を学ぶ。

第15回 労災保険(4)
被災労働者が使用者または第三者に対して民事上の損害賠償を請求する場合に、損害賠償と労災保険給付がどのように調整されるのかを、裁判例を中心に学習する。 労災保険給付の支給をめぐる訴訟における立証責任の問題について、裁判例および学説の議論を学ぶ。

第16回 期末試験
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
特になし。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
平常点(20%)…到達目標(1)および(2)の評価。授業中の質問に対する応答により評価する。
中間レポート(30%)…到達目標(1)~(3)の評価
期末試験(50%)…到達目標(1)~(3)の評価
中間レポートおよび期末試験は、社会保障の法制度および関係する学説・判例を正しく説明できること、かつ、社会保障法に係る法律問題について授業で得た知識および関連する他のの法分野の知識を応用して論理的な解決を提示できることを合格基準とする。100点満点とし総合点60点以上を合格とする。
なお、受講者数が極端に少ない場合は、期末試験をレポート試験に替えることがある。
教科書・テキスト
Textbook
岩村正彦・菊池馨実編代『社会保障・福祉六法』(信山社、2016年)
本講義で取り上げる法律の多くはポケットサイズの六法では収録されていないので、『社会保障・福祉六法』を用意することを強く薦める。
毎回の授業ではレジュメを配布し、それに基づいて講義を行う。いわゆる教科書は特に指定しないが、社会保障法を初めて学ぶ者には下記に掲げる参考書の中から一冊選んで一度通読することを勧める。
参考書
Reference Book
学部学生レベルの学習用教科書として、
・加藤智章ほか『社会保障法〔第7版〕』有斐閣(2019年)
・西村健一郎『社会保障法入門〔第3版〕』有斐閣(2017年)
・菊池馨実編『ブリッジブック社会保障法〔第2版〕』信山社(2018年)
などがある。 社会保障法を初めて学ぶ者には、上記のうちどれか一冊を一度通読することを勧める。

より詳しい体系書としては、
・笠木映里ほか『社会保障法』有斐閣(2018年)
・菊池馨実『社会保障法〔第2版〕』有斐閣(2018年)
がある。一歩進んだ学習のために役立ててほしい。

その他の参考文献として、
・岩村正彦編『社会保障法判例百選〔第5版〕』(有斐閣、2016年)
から、講義で取り上げる裁判例を毎回の予習課題として課す予定である。

なお、授業開講までに改訂版が出版される可能性に留意すること。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
・参考文献等に基づき授業範囲について予習をすること
・毎回のレジュメで次回取り上げる裁判例を指示するので、あらかじめ通読しておくこと
注意事項
Notice for Students
期末試験では、書込み・解説・判例のない六法(指定の『社会保障・福祉六法』を含む)の持ち込みを許可する予定である。
不正行為の防止のため、試験時に六法のコピーを持ち込むことは認めない。指定の『社会保障・福祉六法』を購入しないことに伴う不利益は自己責任で負うこと。
※新型コロナウィルス感染症の影響により、期末試験の実施方法には変更が生じる可能性があります。
授業開講形態等
Lecture format, etc.

授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/
※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内します。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)

遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。
・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
(※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。)