授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 近代以前の国家は宗教に規定されつつも逆にそれを利用しているが、その利用の仕方は現代の国家とはしばしば大きく異なる。どのように異なるのか、それを南アジア中世のムスリム政権とヒンドゥー文化を題材にした英文論文を読みながら近代以前の国家と宗教の関係を考察する基本的な方法を探ることを目的とする。同時に、学部生にはなかなか難しい未知の分野の英文論文の読み方を習得することを目標とする。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | This aims to inquire how we should understand pre-modern states and Islam by reading a paper on temple desecration made by Muslim states in Medieval South Asia, and also aims to acquire how to read English papers written on your unknown fields, which is very difficult to read for most of the students. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 南アジアにおいて少数派ムスリムが多数派ヒンドゥーをいかに統治したのか、南アジア史をめぐる最も大きな課題への基本的視座を獲得すること。 南アジア以外の地域との比較を通して、より広く近代以前の国家支配と宗教の問題についても基本的視角を獲得すること。 論文として非常に優れたこのテキストを精読することで、英文論文の読み方を習得すること。 |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 南アジア世界では、ヒンドゥー教や仏教など偶像崇拝を基本とする宗教文化が発達してきた。そうした中で13世紀初頭、北インドにムスリム国家が成立し、「イスラーム国家」を標榜しつつ南アジア世界を統治していく。その際、本来偶像崇拝が厳禁であるはずのイスラームの国家は、推計1億もの偶像崇拝者に対して非常に融和的な統治を展開していったことが明らかにされている。ところがその一方で、イスラーム勢力によるヒンドゥー寺院が数多く破壊されてきたのも事実である。ムスリム国家の採った一見矛盾するこの二つの政策は、どのように整合的に理解すべきなのか。本演習ではイスラーム国家による寺院破壊を材料にこの問題に取り組んだRichard M. Eatonの論文を読み、偶像崇拝の世界に入り込んだムスリム支配者たちの統治のあり方について考察する。
Text: Richard M. Eaton, “Temple Desecration and Indo-Muslim States”, Journal of Islamic Studies, 11 (3), 2000, pp. 283-319 (https://academic.oup.com/jis/article/11/3/283/660642).
Contents: Framing the Issue Early Instances of Temple Desecration Sufism and State Building Temple Desecration and State Building Temple Protection and State Maintenance Temple Desecration and State Maintenance Temples and Mosques Contrasted Temple Desecration and the Rhetoric of State Building Conclusion |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | 履修条件は要さない。履修条件ではないが、事前に高校世界史教科書や一般向け概説書などで、南アジアにおけるイスラーム支配やイギリス植民地支配がどのようなものであったかを確認しておくと、テキストが読みやすい。 |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 毎回担当者を決め、2〜3頁の要約の報告を行い、それをめぐって参加者で読み方やテキストの内容について討論する。 授業への積極的な取り組み(討論への参加状況)を50%、担当報告内容(テキストの要約・調査)を50%とする。後者については、とくに英文論文が読めているかどうかをチェックする。 60点以上を合格とする。 |
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教科書・テキスト Textbook | | Richard M. Eaton, “Temple Desecration and Indo-Muslim States”, Journal of Islamic Studies, 11 (3), 2000, pp. 283-319 (https://academic.oup.com/jis/article/11/3/283/660642). テキストはこちらで用意するが、前もって上記のURLからダウンロードしてもよい。 |
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参考書 Reference Book | | 小谷汪之編『世界歴史大系南アジア史2─中世・近世』山川出版社、2007年。 中里成章『インドのヒンドゥーとムスリム』(世界史リブレット71)山川出版社、2008年。 サティーシュ・チャンドラ『中世インドの歴史』山川出版社、1999年。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | テキストの用語や内容について、各自十分に調査すること。論文が読めているるかどうかは当然ながら、著者の意図がくめるかどうかにかかっているので、その点に注意を払うこと。 |
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履修取り下げ制度(利用の有無)学部のみ Course withdrawal | | 利用する:『履修取り下げ届』を期日までに提出した場合は原則「Wもしくは欠席」となりますが、同届を提出しない場合は成績評価が行われ、合格基準に達しない場合は「F」となります。 |
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備考 Others | | |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | 対面で実施する。ただし今後の感染状況によって変更の可能性がある。詳細はNUCTで周知する。 |
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