授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | この講義では、今日「国際人権法」と呼ばれている領域を中心に、個人と国際法の関わりを、日本の状況を意識しながら学修する。「国際法総論」で議論されたように、国際法には、個人に関わる規則が古くからあるが、伝統的には、国家が主体となって、国籍というリンクを通じて、自国民の保護を図るという部分で、国際法の保障があっただけであった。そこにはしばしば、個人の利益そのものを確保しようとしているとは言えない実態があった。それに対して、とりわけ第二次世界大戦後に発展してきた人権の国際的保障では、少なくとも制度目的としては、個人の権利そのものを確保しようとしている。この講義では、国際人権法の歴史的発展を踏まえながら、その現在の到達点と課題を理解することを目指す。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | In this Lecture, it would be discussed on the relations between Individuals and International Law, in particular the issues in the field of so-called "International Human Rights Law". As discussed in the Lecture "International Law; General Part", we have traditional rules and principles relating to individuals, but only through the link of nationality, individuals had some kind of protection under International Law, implemented by national states. It often meant, in fact, protection of states interests themselves rather than those of individuals. In clear contrast with the above situations in traditional rules and principles, international protection and promotion of human rights, developed particularly after the World War II, provide some protection of individuals' interests themselves, at least in its formal sense. At the end of the course, participants are expected to explain significance and challenges of International Human Rights Law including its history. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 受講者が、授業終了時に以下の知識・能力を身に付けていることを目標とする。 ①国際人権法の歴史的発展を理解し、説明することができる。 ②特に人権諸条約の実施制度とその運用の理解を通して、国際人権法の到達点と課題を理解し、説明することができる。 ③日本と世界において日々発生している人権問題を、国際人権法の知識を用いて議論できる。 |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 1.オリエンテーション〜人権の国際的保障とはどのような現象か?〜 「人権」「国際的に保障する」「法」というキーワードから、第二次世界大戦後に展開してきた人権を国際的に保障する取り組みがどのような現象であるのかを理解する。
2.国際連合と人権保障(1)〜人権観念の展開〜 国際連合における人権観念の歴史と展開を概括的に理解する。
3.国際連合と人権保障(2)〜国際連合による人権保障の取り組み〜 国際連合による人権保障の取り組みとその課題を、人権理事会の活動を中心に理解する。
4.人権条約の国際的実施(1)〜国家報告制度〜 人権諸条約の国際的実施措置のパターンと傾向を理解する。特に自由権規約の国家報告制度について、その意義と課題を考える。
5.人権条約の国際的実施(2)〜個人通報制度〜 自由権規約の個人通報制度について、その意義と課題を考える。
6.地域的人権保障システム(1)〜総論〜 さまざまな地域的人権保障システムについて概括的な知識をもち、その特徴について理解する。
7.地域的人権保障システム(2)〜ヨーロッパ人権条約〜 ヨーロッパ人権条約の作成の文脈と原初的特徴との関連、発展の経緯、現状と問題点について考える。
8.外国人の地位 外国人の入国・居住の問題を中心に、外国人の地位と国際人権法との関連について考える。
9.日本における人権条約の実施(1)〜条約上の義務と立法による実施〜 人権条約上の国家の義務について概括的な理解を得る。日本における立法による国内実施の状況について、基礎知識を得たうえでミニマリスト的対応の基礎について考える。
10.日本における人権条約の実施(2)〜司法による実施〜 日本の裁判所による人権条約の適用について、基礎知識を得たうえで実態を批判的に考察する。
11.さまざまな人たちの人権を考える〜民族・人種差別、性差別を中心に〜 周縁化されやすい人々の保護を定めた人権諸条約について、その特徴を理解したうえで日本における実施を検討する。
12.難民の保護(1)〜難民の国際法〜 国際法が定める難民保護の仕組みと、その外側で展開している難民に対する援助・保護の仕組みを理解する。
13.難民の保護(2)〜日本における難民保護〜 日本における難民認定の仕組みとその課題を、裁判例の動向を踏まえながら理解する。
14.ノン・ルフールマン原則 国際法としてのノン・ルフールマン原則が、実定法上、さまざまな形態において出現していることを理解する。日本におけるノン・ルフールマン原則の実施とその課題について考える。
15.まとめと評価 受講者の理解度を確認するためのテストを実施する。テスト終了後には解説を行い、授業の総括をする。最終レポート課題についても通知する。 |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | ①第15回授業で実施する理解度確認テスト 50%(50点) ②最終レポート 50%(50点)
合計で60点以上を合格とする。 |
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教科書・テキスト Textbook | | 浅田正彦(ほか)編集代表『ベーシック条約集』(東信堂) ※2020年版以降のもの |
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参考書 Reference Book | | ①芹田健太郎・薬師寺公夫・坂元茂樹『ブリッジブック国際人権法(第2版)』(信山社、2017) ②阿部浩己・今井直・藤本俊明『テキストブック国際人権法(第3版)』(日本評論社、2009) ③薬師寺公夫・小畑郁・村上正直・坂元茂樹『法科大学院ケースブック国際人権法』(日本評論社、2006) ④家正治・小畑郁・桐山孝信編『国際機構(第4版)』(世界思想社、2009)
その他、授業中に適宜指示する。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | ①レジュメに条約等の条文番号が明記されている場合には、事前に『ベーシック条約集』で調べておくこと。 ②レジュメの他に資料がある場合には、事前に目を通し、問題意識を持って授業に臨むこと。 ③授業では資料に書かれていることを全て説明できるわけではないので、授業後に復習も兼ねて精読し、発展的学修に努めること。 |
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注意事項 Notice for Students | | 講義資料の配布はNUCTを通して行う。必要な場合には各自でプリントアウトして授業に臨むこと。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | |
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