授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | この授業は、「グローバル化社会に対応するための専門科目」として、現行フランス法の基本構造(特に、国家体制および裁判制度)に関する知識を身につけ、理解を深めることを目的としています。 なぜ法学部でフランス法を学ぶ必要があるのでしょうか。フランス法学の滝沢正教授によれば、「外国法研究に共通する意義」と「フランス法研究に固有な意義」とがあります。前者については、①外国法の適用、②自国法の改善、③補助学問としての効用、④比較法的な視野の拡大が、後者については、⑤世界においてフランス法が占める重要性、⑥日本法に与えた影響の重要性が指摘されています。 この授業では、半大統領制、二元的裁判制度、憲法ブロック、憲法院による合憲性審査、EU加盟と主権の制限など、主としてフランス第五共和制憲法における統治機構の諸特徴を学んでいきます。 併せて、比較憲法的観点から、フランスと日本の国家体制および裁判制度の比較・検討を行なっていきます。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | The purpose of this class is to provide students with knowledge of the basic structure of current French law (especially the national political and court system) as a specialized subject for a globalized society. Why do we need to study French law in Japan? According to Professor Takizawa Tadashi, an expert in French law, this is because there are "significances common to foreign law research" and "significances unique to French law research." Examples from the former group include: (1) Application of foreign law; (2) Improvement in the laws of your own country; (3) Utility as an auxiliary study; and (4) Expansion of comparative perspective, the latter sub-dividing into: (5) Importance of French law in the world, and (6) Importance of French law for Japanese law. In this class, you will learn about the characteristics of the governing structure of the Constitution of the Fifth Republic, including the semi-presidential system, the dual court system, the constitutional block, the constitutional review system of the Constitutional Council, and restrictions on sovereignty by the European Union. In addition, we will examine and compare the political and court systems of France and Japan from a comparative constitutional perspective. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 授業終了時に、以下のことができるようになることを目標とします。 (1) 現行フランス法の基本構造(特に統治機構、裁判制度)に関する知識を習得する。 (2) 半大統領制、二元的裁判制度、憲法ブロック、憲法院による合憲性審査、 EU 加盟と主権の制限など、フランス第五共和制憲法の諸特徴を理解できる。 (3) 比較法の観点からフランスと日本の憲法の特色を検討することで、現実に生起している憲法現象に関する認識をさらに深め、議論することができる。 |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | The goals of this class are to (1) Obtain knowledge about the basic structure of French constitutional law (especially political regime and judicial function under the Fifth Republic). (2) Understand the characteristics of the Fifth Republic of French Constitution, such as the semi-presidential system, the two main types of court (“judicial” [i.e. civil and criminal] and administrative), the constitutional block, the role of the constitutional council, and EU and sovereignty restrictions, etc. (3) Be able to examine and discuss the characteristics of the French and Japanese constitutional systems from the view of comparative law. |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 1.イントロダクション 最初にこの講義の概要について説明した後、フランス法を学ぶ意義について論じます。初回の授業ですので、「フランス」に関して興味を有することについて履修者から発言してもらい、フランスの政治・社会または法文化のイメージについて共有します。 2.フランスの憲法・政治体制史 フランスは「憲法の実験室」と呼ばれるように、大革命期から現在まで多種多様な憲法が制定され、その憲法に基づく政治体制も、立憲君主制→共和制→帝制のサイクルを繰り返してきました。1958年の第五共和制憲法制定までのフランスの国制・憲法史の展開とその諸特徴を講じます。 3.第五共和制憲法の制定および同憲法の特徴 第五共和制憲法は、ド=ゴールの基本構想に基づいて制定されました。この憲法が制定された背景とその特徴について講じます。さらに、日仏の憲法制定過程・手続を比較し、それに検討を加えます。 4.第五共和制憲法の運用 1958年憲法の施行後、現在まで24回の憲法改正が行なわれました。フランスの憲法改正の手続、改正内容について講じます。さらに、日仏の「国民主権」および「憲法改正」を比較し、それに検討を加えます。 5.政治の領域(1):半大統領制 フランスにおける権力分立の伝統的形態と第五共和制憲法の権力分立のあり方について講じます。さらに、日本の議院内閣制とフランスの半大統領制を比較し、それに検討を加えます。 6.政治の領域(2):大統領と政府 大統領の地位および権限、政府の組織および権限について講じます。さらに、日本の議院内閣制とフランスの半大統領制を比較し、それに検討を加えます。 7.政治の領域(3):国会 国会の組織、権限および憲法上の諮問機関について講じます。さらに、日仏の「国会」を比較し、それに検討を加えます。 8.政治の領域(4):行政組織 国家行政組織、地方公共団体、海外県・海外領土等について講じます。さらに、日仏の「地方自治体」を比較し、それに検討を加えます。 9.政治の領域(5):軍事と平和 フランスの対外的軍事政策および軍事行動ならびに軍事の立憲主義的統制について講じます。日仏の「平和主義」「安全保障」のあり方を比較し、それに検討を加えます。 10.政治の領域(5):欧州連合および他の欧州諸機関 欧州連合(EU委員会、EU閣僚理事会、EU議会、EU裁判所)および他の欧州諸機関(欧州人権裁判所等)とフランスの関係について講じます。日本における条約(特に、国際人権条約)の現状、東アジアにおける地域共同体や人権裁判所創設の展望と課題についても検討を加えます。 11.法の領域(1):司法裁判所 フランスの裁判所組織は、司法権に属する司法裁判所のほかに、執行権に属する行政裁判所を有するという特徴があります。それゆえフランスは、「大陸型二元主義の母国」と目されています。この回では、司法裁判所(民事、刑事)について講じます。さらに、日仏の司法裁判所を比較し、それに検討を加えます。 12.法の領域(2):行政裁判所 行政最高裁判所である国務院を中心に、フランスの行政裁判所制度について講じます。 13.法の領域(3):特殊な裁判所 破棄院を頂点とする司法裁判所、国務院を頂点とする行政裁判所のいずれにも含めることができない裁判所(権限裁判所、憲法院、高等法院、共和国司法院)の概要について講じます。 14.法の領域(4):憲法院 1971年の「結社の自由」判決以降、人権保障機関としての役割を果たすことになった憲法院について講じます。裁判規範たる憲法の法源の問題(憲法ブロック)や2008年の事後的違憲審査制(QPC)の導入など、フランスの憲法裁判の特徴を明らかにします。日仏の「憲法裁判」(特に人権訴訟)について比較・検討します。 15.法の領域(5):憲法院判決の具体例:外国人の憲法上の権利 フランスにおける国籍法制、外国人・移民政策の展開について触れた上で、日仏における憲法上の「外国人の権利」について比較・検討を行います。 |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | 特にありません。但し、比較憲法の観点から検討することもあるため、「憲法」科目(特に統治機構)を履修していることが望ましい。 |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 【評価の方法】学期末試験 70 点、平常点(授業で指示される ミニ レポート課題への取り組みと当該課題の提出 ) 30 点で評価します。 【評価の基準】総点60点以上を合格とします。 |
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教科書・テキスト Textbook | | 【教科書】 ・滝沢正『フランス法〔第5版〕』(三省堂、2018年) ・必要に応じて、テキストや参考文献を紹介します。 |
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参考書 Reference Book | | 【参考書】 ・初宿正典=辻村みよ子編『新解説世界憲法集〔第5版〕』(三省堂、2020年) ・村田尚紀『比較の眼でみる憲法』(北大路書房、2018 年) ・辻村みよ子=糠塚康江『フランス憲法入門』(三省堂、2012 年) ・菅原真ほか編『フランス憲法と社会』(仮題)(法律文化社、2022年発行予定) |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | 予習課題と復習課題を課します。予習課題は、毎回の授業内容の基本事項を事前に調べてもらいます。復習課題は、授業内容に関することについて5回程度「ミニレポート」としてまとめ、期限までに提出してもらいます。 |
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注意事項 Notice for Students | | 授業中、授業内容に関する質問に答えてもらうため、受講生に当てていくことがありますので、応じてください。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | ・遠隔授業を行う必要が生じた場合は、Zoomでの授業に切り替えます。 |
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