学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
理学部
時間割コード
Registration Code
0666220
科目区分
Course Category
専門基礎科目
Basic Specialized Courses
科目名 【日本語】
Course Title
熱力学基礎
科目名 【英語】
Course Title
Fundamentals of Thermodynamics
コースナンバリングコード
Course Numbering Code
担当教員 【日本語】
Instructor
渡邊 誠一郎 ○
担当教員 【英語】
Instructor
WATANABE Sei-ichiro ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 木曜日 2時限
Fall Thu 2
授業形態
Course style
講義
Lecture
学科・専攻
Department / Program
地球惑星科学科
必修・選択
Compulsory / Selected
選択


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
 熱力学は系の微視的詳細に立ち入ることなしに,熱や仕事に関する巨視的な量の関係を構築するもので,地球惑星科学の諸問題にも使用される.本講義では平衡形の熱力学の構造の全体像を論理的に把握することを目標とする.マクロ系とミクロ系の関係,マクロ系の平衡状態,エントロピー(微視的意味づけを含む),示強変数の導出,熱力学ポテンシャルの概念を用いて種々の地球惑星科学現象の熱力学的考察および定量的計算が可能となるよう基礎を確立することをめざす.余裕があれば,相転移や,微視的な立場から物質の状態を議論する統計力学の視点などについてもごく簡単に触れ,熱力学や地球惑星科学に関する視野を広げることも目指す.
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
Thermodynamics is a branch of physics that construct the relations among macroscopic variables about heat and work without specifying microscopic description of the system. It is used in various problems of earth and planetary science. The aim of this course is to help students logically acquire an overall picture of the structure of thermodynamics of equilibrium systems. The course also enhances the development of students’ skill in analyzing various phenomena of earth and planets using thermodynamics.
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN))
熱力学の基本的な考え方,特にエントロピーの概念について,的確に説明できるようになること,さらに熱力学を使って,地球惑星科学の問題を考える力を持つことを到達目標とする.
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
The goal of this course is to enable students to explain the basic concepts of thermodynamics, especially the concept of entropy, and to have the ability to use thermodynamics to think about problems in earth and planetary science.
授業の内容や構成
Course Content / Plan
授業内容(構造)

1. 準備・設定:
マクロ系とミクロ系,熱力学と統計物理学,局所熱平衡状態,操作・束縛,エネルギー固有状態;
2. 熱力学の基本的要請:
平衡状態,ミクロ状態数,等重率の原理,Boltzmannの関係式,エントロピーSと基本関係式;
3. 熱力学変数,および仕事と熱:
熱力学の基本要請,相加性・同時性,密度,Sの性質,Nernst-Planckの仮定,仕事と熱,準静的過程,理想気体,van der Waals気体;
4. 系の間の平衡とエントロピー増大則:
系間の温度など示強変数の一致,孤立系/部分系のSの変化,可逆/不可逆過程,熱機関の効率;
5. 熱力学ポテンシャルと熱力学関係式:
Legendre変換,表示,熱力学ポテンシャル、Joule-Thomson過程,熱容量,混合;
6. 相転移と化学反応:
相,相転移,相図,相律,Clausius-Clapeyronの関係式,van der Waals気体の相変化,化学反応系;

練習問題を課し,理解度を確認する.
履修条件
Course Prerequisites
理学部1年次に開講される,微分積分学Iと力学を履修していることが望ましい.
関連する科目
Related Courses
地球惑星物理学概論(2年次春学期)
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
授業ノートの内容(50%),演習(50%)で評価する。それぞれC判定以上を合格要件とする.熱力学の基本的な概念について説明でき,基本的な熱力学的計算ができることを合格の基準とする.
不可(F)と欠席(W)の基準
Criteria for "Fail (F)" & "Absent (W)" grades
総合点が6割に達しない場合は欠席(W)とする.試験を受けなかった場合,レポートが3回以上未提出の場合,3回以上無断欠席した場合は欠席(W)とする.試験もしくはレポートで不正行為があった場合には不可(F)とする.
参考書
Reference Book
「熱力学―現代的な視点から 」(新物理学シリーズ)田崎晴明著,培風館:ミクロな物理学(分子運動論や量子力学)を持ち出さず,マクロ系に閉じた理論体系として構築され,基本的変数の一部を温度などの示強変数に置き換えて熱力学を展開する現代的な教科書.本講義と違って,エントロピーの導入は後半となる. 「よくわかる熱力学」前野昌弘,東京図書:上記の参考書のスタイルと同じだが,より初学者に読みやすいように工夫されており,図表も充実している

「熱力学入門」佐々真一著,共立出版:流体に関する熱力学の基本が,操作的アプローチなど現代的な観点から,コンパクトにまとめられている.状態方程式と熱容量を出発点とする点やエントロピーの登場が後半になる点は本講義と異なる. 

「統計力学I ・II」(新物理学シリーズ)田崎晴明著,培風館:本講義では統計力学は最小限説明しないが,その部分は主に本書(Iの2~4章とIIの9.2節)に依る. 

「大学演習 熱学・統計力学」久保亮五編,裳華房:熱学・統計力学の例題を網羅した演習書だが,各章に簡潔なまとめがつけられている.伝統的な熱力学の定式化に依っているため,初学者にとって,授業とは相性が良くない部分がある. 

「熱学思想の史的展開」山本義隆著,現代数学社:熱力学発展の科学史が良くわかる好著.
教科書・テキスト
Textbook
「熱力学の基礎第2版I」清水明著,東大出版会:本講義はこの教科書に沿って講義を進める.この教科書では,必要な場合にはエネルギー保存則などミクロな物理学を用い,示量変数だけを基本変数に選んで熱力学を展開していくスタイルである.本講義もこのスタイルを踏襲する.ただし,エントロピーの導入に際しては,統計物理学(統計力学)によるBoltzmannの関係式について述べる.また「熱力学の基礎第2版II」清水明著,東大出版会の15章,17章,19.6節も扱う.
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
講義と教科書・参考書を参考にしながら,ノートをまとめることで,熱力学の理解を深めていただきたい.また,授業中に出題された演習問題を解答して理解を確認いただきたい.
注意事項
Notice for Students
特になし.
他学科聴講の可否
Propriety of Other department student's attendance
他学科聴講の条件
Conditions for Other department student's attendance
理学部1年次に開講される,微分積分学Iと力学を履修していることが望ましい.
レベル
Level
キーワード
Keyword
履修の際のアドバイス
Advice
授業開講形態等
Lecture format, etc.
NUCT等にて連絡する。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)
メールにて質問を受け付ける。