学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
多・博前
時間割コード
Registration Code
3213164
科目区分
Course Category
C類(実習)
Category C
科目名 【日本語】
Course Title
確率論実習4
科目名 【英語】
Course Title
Practical Class on Probability Theory 4
コースナンバリングコード
Course Numbering Code
担当教員 【日本語】
Instructor
中島 誠 ○
担当教員 【英語】
Instructor
NAKASHIMA Makoto ○
単位数
Credits
1
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋集中 その他 その他
Intensive(Fall) Other Other
授業形態
Course style

学科・専攻
Department / Program
多元数理科学研究科
必修・選択
Required / Selected
選択必修


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
テーマ:Schramm-Loewner発展, パーコレーション, DLA模型
2次元平面上で様々な物理模型を考えると, そこに現れるランダムな曲線の適切な極限が共形不変性をもつことがある. Oded Schrammはそれらを記述する確率過程をLoewner方程式を応用して与えた. これをSchramm-Loewner発展という.

このセミナーではSchramm-Loewner発展に関わる理論を学び, それらの応用として平面上のパーコレーションに関する理論やDLA(diffusion limited aggregation)と呼ばれる樹状結晶の成長を記述する模型の理論を習得する.

また少人数セミナー内で積極的に質問や意見をすることで思考力やコミュニケーション能力, 主体性を育成される.
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
Theme: Schramm-Loewner evolution, Percolation, Diffusion limited aggregation
In the statistical physics on the plane, some scaling limits of random curves often has confromal invariance. Oded Schramm introduced stochastic processes describing them via Loewner equation, which is called Schramm-Loewner evolution(SLE).

In this seminar, we study the theory on SLE. As an application, we will analyze the percolation on the plane or diffusion limited aggregation which describes dendrite crystal.
It also enhances the development of students’ skill in logical thinking and communication.
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN))
このセミナー終了時には学生は以下の能力を獲得していることを目標とする。
Schramm-Loewner発展に関連する理論を理解している. またその応用として平面上のパーコレーションや樹状結晶の解析をできるようになる.
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
At the end of the course, participants are expected to master a theory on SLE, the method for analyzing percolation on plane or DLA model.
授業の内容や構成
Course Content / Plan
パーコレーションは格子の各辺を独立にある確率1-pで取り除いてできるグラフのことをいう. この残ってできたグラフには無限連結成分が存在するのかを考える. 実はpには臨界点が存在し, pが大きいと無限連結成分が存在し, pが小さいと存在しないことが知られている.
このような模型は軽石やスポンジなどの材料物質の構造を記述しており, 水などを通すのかということと無限連結成分の有無が対応している.

DLA模型とは理科の実験で見たような再結晶の構造の発展などを記述する確率模型である. これは初期領域がありランダムに動いている粒子が衝突した時に領域に粒子を付け加える. これを繰り返すことで領域が時間発展していく. このような模型は樹状構造をもち, さらに整数次元の構造を持たないことがわかっている. 平面での場合はランダムな等角写像を用いた模型を導入することで色々な研究ができるようになった.


実施方法:週に1回2時間程度の輪講形式で行う.

発表者は内容をきちんと理解した上でセミナーに臨む努力を怠ってはいけない.
参加者も事前に発表箇所の内容に目を通しておくことが重要である.

Students have lecturing in turn on textbook for two hours per week.
Lecturers must try to understand the contents definitely. Participants should read their textbooks before seminar.
履修条件
Course Prerequisites
測度論的確率論, 複素関数論の内容を理解していることを必要とする.

This course will be provided in Japanese.
関連する科目
Related Courses
確率論概論
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
SLE, パーコレーションまたはDLAに関する概念を正しく理解し、また定理の証明も正しく理解していることを合格の基準とする。

Grading will be decided based on levels of understanding on concepts and theorems of SLE, percolation or DLA.
教科書・テキスト
Textbook
[1] Antti Kemppainen: Schramm-Loewner evolution (Springer briefs in mathematical physics) , 2017
Schramm-Loewner発展に関してコンパクトにまとめている教科書である(ただし理論の深い部分は別の論文などに譲っている). 1年次にはこの教科書を読み終える予定である. 2年次以降ではたとえば以下のような論文を読んでいき, 各自で新しい問題に取り組んでいく.

[2] Norris J., Silvestri V., Turner A.: Scaling limits for planar aggregation with subcritical fluctuations. https://arxiv.org/abs/1902.01376
DLA模型の一つであるaggregate Loewner発展を導入し, その極限を与えた論文である.

[3] Antti Kemppainen, Stanislav Smirnov.: Random curves, scaling limits and Loewner evolutions. Ann. Probab. 45 (2017), no. 2, 698–779.
様々な2次元物理模型に現れるランダム曲線の極限の緊密性を保証する枠組みを与えた論文.
参考書
Reference Book
以下は教科書に関連したモデルを扱った本である.
[1] G. Grimmett: Probability on graphs. Random processes on graphs and lattices. Institute of Mathematical Statistics Textbooks, 1. Cambridge University Press, Cambridge, 2010.
d次元格子上の辺をそれぞれ確率pで残し, 1-pで取り除いてできるランダムなグラフをパーコレーションという. この本の3~5章でパーコレーションの導入部が学ぶことができる. より詳しい解析は同じ著者の本を読む必要がある. SLEに関しても少しだけ触れている.

[2] D. Beliaev: Conformal Maps and Geometry. Advanced Textbooks in Mathematics. World Scientific Publishing . 2020
等角写像について書かれた教科書でLoewner方程式やcapacity等, SLEの理論に必要な複素関数に関する内容が得られる本. 手元に置いておくと教科書も読みやすいと思われる.
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
参加者は教科書を自身のペースで読み進める. (自身の発表箇所以外も自分で読み込み, 理解するよう努める.) 理解できなかった箇所は発表者にセミナー中などに積極的に質問できるようになっておく.

また教科書だけでなく, 論文や他の書籍などにも目を通す.
注意事項
Notice for Students
-
他学科聴講の可否
Propriety of Other department student's attendance
不可
他学科聴講の条件
Conditions of Other department student's attendance
-
レベル
Level
2
キーワード
Keyword
SLE, パーコレーション, DLA(Diffusion limited aggregation)
履修の際のアドバイス
Advice
知っていることが望ましい知識:古典的確率論とは異なる測度論的確率論について扱うことになる.
よって測度論を理解し使いこなせ, さらに測度論的確率論の基礎的な知識(確率空間, σ-加法族, 大数の法則, 中心極限定理, 条件付き期待値, マルチンゲール)を有していることは必須である.

また複素関数論の基本的な知識は必要である.
授業開講形態等
Lecture format, etc.
対面で実施する.
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)
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