学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法・専学
時間割コード
Registration Code
9361300
科目区分
Course Category
展開・先端科目
Advanced/Applied Courses
科目名 【日本語】
Course Title
刑事学
科目名 【英語】
Course Title
Criminology
担当教員 【日本語】
Instructor
山口 直也 ○
担当教員 【英語】
Instructor
YAMAGUCHI Naoya ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 金曜日 1時限
Fall Fri 1
対象学年
Year
3年
3
授業形態
Course style
演習
Seminar


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
本授業では、1989年に国連で誕生した「国連子どもの権利条約」および日本国憲法における「子どもの権利」の法理論的位置づけを明確にした上で、少年法、刑事政策をめぐる様々な法律問題を展開・先端科目にふさわしい水準で実務的観点も踏まえて解説するとともに、双方向の授業展開によって問題の本質について理解を深めることを目指す。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
実定法としての少年法及び判例の規範内容だけではなく、少年非行の原因論、子どもの教育問題、子どもの人権論、施設内・社会内処遇上の課題等についての幅広い知識を身につけるとともに、これらの諸問題を考える上での基本的視点、思考プロセスを身につけることができるようにする。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
授業の内容や構成
Course Content / Plan
講義日は、TKCシステムを参照のこと。

第1回 子どもの権利の理論的基礎と少年法の理念(1)
憲法・国際人権法の観点から「子どもの成長発達権」という権利を措定して、子どもの権利論を比較法的に検討したうえで、わが国の少年法の基本理念を考える。特に犯罪少年の法的扱いについて概観したうえで、少年法61条(犯人推知報道禁止)・68条の問題について議論する。

第2回 子どもの権利の理論的基礎と少年法の理念(2)
前半では、子どもの成長発達権の観点から、触法少年の法的扱いについて概観したうえで、事例検討を行いながら今日的課題について議論する。後半では、同観点から、特定少年の法的扱いについて概観したうえで、その課題を検討する。

第3回 少年非行の原因:家庭・学校・地域社会と少年非行
主として、家庭裁判所が処理する少年非行(数、罪種等)の現状を踏まえたうえで、ハーシー、マッツァなどが唱えた非行原因論から、わが国の少年非行の原因を分析を試みる。『家栽の人1』を題材にして、少年非行の原因論について議論する。

第4回 少年法の全体像・非行少年の発見
保護主義か、厳罰主義か、世間一般的に注目を集めている少年法を、その根本理念から掘り起こして、今日的意義を諸外国の現状も参考にして考える。あわせて非行少年の発見活動について概観する。

第5回 少年警察活動と非行防止法制
少年警察の非行防止活動、少年補導条例、警察調査権、被疑少年の取調べ、身柄拘束等の諸問題について検討する。少年警察活動の問題点について議論する。

第6回 少年の身柄拘束の問題点
捜査段階における勾留に代わる観護措置の問題について裁判例等を検討する。そのうえで、家庭裁判所の事件受理過程、書記官の役割等について解説し、少年鑑別所での観護措置上の諸問題についてその実状を分析する。

第7回 家裁調査官の役割
家庭裁判所における大きな特徴である家裁調査官の役割について、特に社会調査が少年法全体において占める意義に留意しつつ検討する。社会調査における適正手続保障を含めて、適切な社会調査の在り方について議論する。

第8回 審判の関与者
少年審判の実際の担い手(裁判官、調査官、保護者、付添人、検察官)の役割について、その意義を検討する。特に、少年保護手続における弁護士付添人の適切な役割及び検察官関与手続きの意義について議論する。

第9回 少年審判の諸原則及び証拠調べ手続
少年審判の意義と機能、少年審判を貫く諸原則等について解説する。そのうえで、裁判官の進行・審判指揮権を前提として、非公開の審判の中で保障される少年の適正手続上の権利保障、証拠調べ手続の概要について検討する。

第10回 少年審判における事実・要保護性認定
少年審判(事実認定)における証拠法上の諸問題(自白法則、違法収集証拠排除法則、「伝聞」法則等)、要保護性認定過程について検討する。特に、裁定合議事件、検察官関与事件における証拠の扱いについて学ぶとともに、適切な事実認定に関する最高裁判例の規範内容について議論する。

第11回 少年審判における中間・終局決定
試験観察決定、検察官送致決定、福祉機関送致決定、保護処分決定等の意義及び今日的課題について検討する。特に、原則逆送の問題点について法改正の動きを見据えつつ議論する。

第12回 少年の保護処分
保護観察処分、福祉施設収容処分、少年院収容処分に関する裁判例を検討したうえで、「広島年院教官特別公務員暴行陵虐罪事件」を教訓として立法化された新少年院法、新少年鑑別所法等を素材に、施設収容処分の今日的問題について議論する。

第13回 上訴手続、少年の刑事裁判
前半では、少年司法手続における抗告、再抗告について判例を中心に検討する。後半では、少年の刑事裁判(裁判員裁判を含む)の問題点(審判の公開、社会記録の扱い等)を子どもの権利の観点から検討したうえで、少年の刑事裁判の諸問題について、具体的事例をもとに議論する。

第14回  少年の刑事処分 
少年に対する刑事処分について、少年刑務所の現状等に触れながら解説する。本講では少年に対する死刑の是非を「山口県光市母子殺害事件」最高裁判決を素材にして考えることを目的とする。

第15回  少年事件被害者の保護と修復的司法の問題点
犯罪被害者基本法、基本計画、および犯罪被害者保護に関する諸法の改正動向を踏まえて、被害者の権利・利益に関する少年法、刑事訴訟法、少年院法、更生保護法等の関連条項を検討する。併せて修復的司法についても議論する。

第16回 期末レポート・課題
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
履修条件は特にないが、法学未修者の場合には、刑法基礎I・IIおよび刑事訴訟法I・IIを履修していることが望ましい。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
本文4000字程度の期末レポート(85%)および授業中の発言・コメント(15%)に基づいて総合的に評価する。成績評価(合否判定及び成績の区分)は、名古屋大学法科大学院が教育課程方針に基づいて策定した評価基準に従って行う。
教科書・テキスト
Textbook
廣瀬健二『少年法』(成文堂・2021年)
参考書
Reference Book
田宮裕・廣瀬健二編『註釈少年法【第4版】』(有斐閣・2017年)
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
教科書、LET掲載資料の予習・復習とともに、授業中に指示した文献・資料を確認すること。
注意事項
Notice for Students
授業開講形態等
Lecture format, etc.
授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載する。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/
※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はNUCTの授業サイトで案内する。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)
遠隔授業はTKCシステム又はNUCTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。
・教員への質問は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
・授業に関する受講学生間の意見交換は、TKCシステム又はNUCT機能「メッセージ」により行うこと。
(※担当教員がNUCTの「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可)