授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 博物館において資料は、収集・保存・展示の根幹をなす。博物館活動の現代社会における意義が問われるなかで、旧来の資料論は大きく揺れ動いている。博物館の枠をこえた「文化遺産とその継承」という概念を意識しつつ、資料の収集、整理や保管、調査研究、活用公開について、今日的理解を深めたい。昨今持続可能な社会への取り組みに対しての関心が高まっているが、博物館には資料の伝承という意味で持続されるべき活動であり、社会の在り方を問う存在である。博物館資料の基礎を学び、資料の特質を踏まえた保管の理念を理解して頂きたい。 座学が中心とはなるが、知識の蓄積以外にも、講義の節目には実際の資料に触れてもらい、資料の取扱いの基礎と重要性を理解してもらいたい。また文化財保存のために不可欠な修復事業の現状を紹介する。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | In museums, materials form the basis of collection, preservation, and exhibition. As the significance of museum activities in today's society is being questioned, the old theory of materials is undergoing a major shakeup. In this course, we will deepen our understanding of today's collection, organization, storage, research, and utilization of materials, keeping in mind the concept of "cultural heritage and its inheritance," which transcends the framework of museums. In recent years, there has been a growing interest in efforts toward a sustainable society, and museums are an activity that should be sustained in the sense of passing on materials, and are an entity that questions the state of society. We would like you to learn the basics of museum materials and understand the concept of storage based on the characteristics of materials. Although the lectures will be mainly classroom-based, we would like the students to understand the basics and importance of handling materials by touching actual materials at each stage of the lecture in addition to accumulating knowledge. The current status of restoration projects, which are essential for the preservation of cultural properties, will also be introduced. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 博物館資料の概要を理解した上で、多岐にわたる素材で構成される広範な博物館資料の知識と取扱いの基礎を身につける。博物館自体の組織・種類、対象資料の取扱いなどを示し、実際に学芸員として活動するに必要な基礎的知識や資料取扱い、学芸員の理念も併せて学んでもらう。 |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 博物館資料について総合的かつ多角的に説明する。その前段階として博物館の組織や博物館資料の構造や分野について概説する。また博物館資料とも重複するカテゴリである文化財についても解説し、最先端の文化財修復現場も紹介する。またできる範囲で文化財・博物館資料を実際に扱う時間を設ける。 第1回:導入 博物館学と博物館資料論の概説 第2回:博物館資料の意義 第3回:博物館資料の分類基準(1) 一•二次資料について 第4回:博物館資料の分類基準(2) 資料化と分類学 第5回:博物館資料の公開理念と方法・調査研究活動 第6回:博物館館種別調査研究(1) 人文科学系 第7回:博物館館種別調査研究(2) 自然科学系① 第8回:博物館館種別調査研究(3) 自然科学系②•標本学 第9回:人文系博物館の資料収集 第10回:博物館資料の実例(重要文化財の移管) 第11回:博物館資料保存論(1) 取扱い倫理と劣化原因 第12回:博物館資料保存論(2) 生物被害と薬剤 第13回:博物館資料の修復(1) 紙資料 第14回:博物館資料の修復(2) 木造彫刻 第15回:博物館資料論総括 |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | 学芸員資格取得のための講座。博物館学一般が関連する。人文系・自然科学系の諸分野が関わる。 |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | ワークシート等提出を含む出席点(75%)、レポート(25%)。 総点で評価し、100点満点中60点以上を合格とする。 講義では博物館資料を実際に観察したり手にすることも多く、出席を重視します。 |
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教科書・テキスト Textbook | | 教科書はないが、担当教員が製作したテキストを配布する。またスライドなどを多用する。 |
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参考書 Reference Book | | 青木豊 2012 『人文系博物館資料論』 雄山閣出版 石崎武志 2012 『博物館資料保存論』 講談社 岩城卓二・高木博志編著 2020 『博物館と文化財の危機』 人文書院 小川義和・五月女賢司編著 2021 『発信する博物館 持続可能な社会に向けて』 ジダイ社 栗田秀法 2019 『現代博物館学入門』 ミネルヴァ書房 公益財団法人日本博物館協会編 2016 『博物館資料取扱いガイドブック』 ぎょうせい 小林秀司・星野卓二・徳澤啓一編 2019 『新博物館園論』 同成社 全国大学博物館学講座協議会西日本部会編 2002 『博物館実習マニュアル』 芙蓉書房出版 松浦啓一 2014 『標本学 第2版 自然史標本の収集と管理』 東海大学出版部 矢野興一編 2016 『見る目が変わる博物館の楽しみ方』 ベレ出版など |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | 博物館見学の機会をなるべく多く設けること。博物館学は博物館自体を対象とするので、様々な博物館を訪れる事によって見聞を深めることになる。また自分が将来専攻とする資料について見識を深めてほしい。 |
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履修取り下げ制度(利用の有無)学部のみ Course withdrawal | | ○:『履修取り下げ届』を期日までに提出した場合は原則「Wもしくは欠席」となりますが、同届を提出しない場合は成績評価が行われ、合格基準に達しない場合は「F」となります。 |
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備考 Others | | 奈良県立橿原考古学研究所・同附属博物館に勤務した実務経験をもって博物館資料論を講義する。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | |
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