授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 今年度は、比較的オーソドックスな法哲学講義とする。(1)法理論、(2)正義論という二つの領域について講義する。適宜、方法論の議論も取り入れる。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | This year, I am going to teach two traditional fields of legal philosophy: (1) Theory of Law; (2) Theory of Justice. While in course, I pick up the methodological questions. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | この授業を履修した学生は、法哲学上の基本的コンセプト(たとえば、法実証主義、自然法論、正義、リベラリズムなど)の理解を習得することができる。ここでコンセプトの理解とは、定義、登場背景、他のコンセプトの関係、応用の仕方を理解することをいう。
また、これらのコンセプトを学習することにより、社会現象を批判的に見る目を養う。 |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | The students will be able to learn basic concepts in jurisprudence, such as legal positivism, natural law theory, justice, liberalism, and so on. To learn those concepts enables the students to explain their definition, their background, their relation to the other.
On those understandings, the students can critically think about social phenomena. |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 1. はじめに 講義概要、成績評価の方法など。
2. 哲学と法哲学 (1) はじまりとしての古代ギリシア? (2) カントの三批判書: 純粋理性批判、実践理性批判、判断力批判 (3) 現代哲学: 言語論的転回? (4) 哲学から法哲学: 象徴と神話、秩序。
3. 法と人間 (1) サルは法を有するのか? (2) 「政治的(社会的)動物」(アリストテレス)*フランス・ドゥ・ヴァール (3) 法と言語 (4) 「法と言語」の限界(感情と惰性)
4. 法の科学は可能か? (1) 規範とは何か:義務の概念 (2) 因果法則と規範法則 (3) 科学と法学: 帰責のメカニズム。 (4) 帰責の科学: 帰責のメカニズムはなぜ必要か?
5. 自然法論 (1) 古代: 自然 (2) 中世: 神 (3) 近世: 理性 (4) 現代の自然法論
6. 法実証主義の台頭 (1) イギリスの伝統: ホッブス/オースティン (2) ドイツの伝統: 制定法実証主義(イェリネック) (3) 法実証主義の限界?
7. 法実証主義の展開 (1) ケルゼンの法実証主義 (2) H・L・Aハートの法実証主義 (3) 法実証主義論争: ハートVSフラー論争、ハートVSドゥオーキン論争
8. 法の多様性 (1) 伝統的な区分: 大陸法/英米法/イスラム法、公法/私法(社会法)、 (2) 法哲学的区分: シュミット、ラッフリン、ノネ&セルズニック、田中成明らの分類。*ソフトロー論 (3) 分類は何を意味するのか
9. 「日本法」の法哲学(1) (1) 源流? (2) 法の継受: 明治期、戦後、1980年代。 (3) 西欧と日本のズレ?
10. 「日本法」の法哲学(2) (1) 民主的法体制と権威主義的法体制 (2) 法意識論: 川島武宜 (3) コロナ禍の対応と法
11. 規制とは何か(1): 行動変容手法の多様性 (1) 現代的課題: 規制緩和か再規制か? (2) 規制手法(形態)論: 分析の視角、多様性と動態性 (3) 規制としての法の特質(理念型)
12. 規制とは何か(2): 市場と社会規範 (1) 市場 (2) 社会規範 (3) 建築的アーキテクチャ
13. 規制とは何か(3): 21世紀の展開新しい行動変容手法 (1) 情報技術的アーキテクチャ (2) ナッジ (3) アルゴリズム的規制: 個人化する法?
14. 規制とは何か(4): 制御という課題 (1) 制御: 規制の規制 (2) 制御としての法 (3) 法以外の制御手法: 分断統治、混合政体、権力分立、多様性 (4) 法とは何か
15. 法の運用(1): 解釈 (1) 「解釈」とは何か: ルールとスタンダード、ディスティンクション、立法、憲法「解釈」の特殊性(原理間衡量)。 (2) 解釈の前提: 解釈が許されない国々 (3) 解釈の手法: 意図的解釈。
16. 法の運用(2): 解釈と制度適性 (1) 法解釈論争の多様性: 解釈の位置づけ(来栖三郎)、解釈の科学化・客観化(平井宜男)、「法と経済学」論争、原意主義論争。 (2) 解釈から権限配分(分業)へ: 制度適性論
17. 正義とは何か――法価値論 (1) 正義と自然 (2) 正義と力 (3) 価値相対主義 (4) 懐疑の諸類型
18. リベラリズム基本編(1):古典的リベラリズム (1) リベラリズムの基本原理: 自由の優先性、公私区分論、立証責任。 (2) 他者危害防止原理 (3) アンチ他者危害防止原理 (4) 法との関係
19. リベラリズム基本編(2):リベラリズムの思想史 (1) 宗教改革とその後 (2) 商業社会論 (3) 啓蒙主義 (4) リベラリズムの社会情勢
20. リベラリズム基本編(3):現代的リベラリズム (1) 公私区分論のその問題点 (2) 古典的リベラリズムの問題点 (3) 現代的リベラリズムの登場
21. 功利主義(1):古典的功利主義 (1) 功利主義の思想史: ベンサム (2) 古典的功利主義の三要素 (3) 古典的功利主義への批判
22. 功利主義(2):功利主義の展開 (1) 功利主義の政策的受容 (2) 功利主義の現代的展開 (3) 功利主義のアクチュアリティ
23. リベラリズム応用編(1): ロールズのリベラリズム (1) ロールズ正義論の全体構造 (2) 正義論の課題 (3) 正義論の出発点: 公正と自尊
24. リベラリズム応用編(2): ロールズのリベラリズム (1) 正義の二原理: 平等主義か? (2) 正義の方法 (3) ポスト・ロールズの正義論の概観
25. リベラリズム応用編(3): 平等主義的リベラリズム (1) 分配的正義論の継承 (2) 平等主義の展開: ドゥオーキン、ベーシック・インカム論 (3) 平等主義批判?: 内実の理解(十分主義、充足主義との関係)、限界(承認論)
26. リバタリアニズム(1): 道徳論的リバタリアニズム (1) 概論: 道徳的/帰結主義的。 (2) ノージックの道徳的(自然権論的)リバタリアニズム (3) 批判
27. リバタリアニズム(2) (1) 帰結主義的リバタリアニズムの概要と影響 (2) ハイエク (3) フリードマン
28. 共同体論と多文化主義(1) (1) リベラリズム批判 (2) 共同体論 (3) 承認という課題
29. コミュニタリアニズムと多文化主義(2) (1) リベラリズム的受容はどのような形で可能か (2) キムリッカのリベラルな文化主義 (3) クカサスのリベラルな群島論 (4) 多様性の問題
30. まとめ 授業のまとめ |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 期末試験100%
期末試験で60%以上をとった場合、合格となる。 |
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教科書・テキスト Textbook | | |
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参考書 Reference Book | | ・田中成明『現代法理学』(有斐閣)978-4641125483 ・平野仁彦・亀本洋・服部高宏『法哲学』(有斐閣アルマ) 978-4641121485 ・宇佐美誠・瀧川裕英・大屋雄裕『法哲学』(有斐閣) 978-4641125674 ・田中成明『現代法理学』(有斐閣)978-4641125483 ・平野仁彦・亀本洋・服部高宏『法哲学』(有斐閣アルマ) 978-4641121485 ・宇佐美誠・瀧川裕英・大屋雄裕『法哲学』(有斐閣) 978-4641125674 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | |
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注意事項 Notice for Students | | |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | オンラインのリアルタイム方式。どのツールを使うかは、大学のルールによる。 ウェブを通じた授業となる場合、文献に関して、ウェブ上で入手可能なものを推薦するようにする(これは、2020年度も実施した)。また、ネット上の本屋でも見つけることができる本などを参考図書にあげるようにする。なお、入手不可能な本の場合は、授業内で、その内容を可能な限り紹介する。 遠隔授業は基本的にはTACTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。 ・教員への質問は、TACT機能「メッセージ」により行うこと。 ・授業に関する受講学生間の意見交換は、TACT機能「メッセージ」により行うこと。 (※担当教員が「フォーラム」機能を追加設定した場合は「フォーラム」も利用可。) Remote classes are conducted via TACT basically. Questions to instructors should be asked using the TACT "Message" function. Student discussions will be conducted using the TACT "Message" function. (If the instructor has added the "Forum" function, the "Forum" can also be used.) Follow your instructor's directions if your instructor has any other directions |
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