時間割コード
Registration Code
0264300
科目名
Course Title
地理歴史科教育法Ⅰ
担当教員
Instructor
中切 正人 ○
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
春集中 その他 その他
Intensive(Spring) Other Other
対象学年
Year
3・4年、その他


授業の目的及びねらい
Goals of the Course
 2022年度新必修科目「歴史総合」「地理総合」成立の背景,その実践的課題について理解を深め,高校生に歴史的思考力と地理的思考力を育成することができる能力を修得することを目的とする。まず,「地理教育の階層モデル」と「歴史教育の階層モデル」について紹介し,その授業場面を想定しながら両科目の本質について考察する。その際,歴史総合については二つの「歴史シミュレーション」,地理総合については担当者が作成して授業に使用した「地理プリント」を題材として提供する。次に,歴史教育と地理教育の時空間分析を紹介する。それは,明治以降の歴史・地理教育の歴史の概観(主として学習指導要領の変遷)であり,そこに歴史・地理教育の国際比較(欧米)を加える。その上で,歴史教育に関わる「大学入試(選抜試験)」の歴史と国際比較を試みる。なお,観点別評価のあり方については,中高校生に強まっていると推測される「同調圧力」を視野に入れながら,教育評価の立場で考察を試みる。
授業内容
Course Content / Plan
 担当者は公立高校教員として前半15年は「世界史」,後半15年は「地理」を担当し,その後国立大学アドミッションセンターに転職して「多様な能力を測定する選抜試験」の研究に取り組んできた。その間一貫して格闘し続けてきたテーマは「暗記の歴史」である。現在は公立高校非常勤講師として「地理科目」を担当している。本講義では担当者の教職経験と試行錯誤を踏まえて考案した「地理教育と歴史教育の階層モデル」を提示し,それに基づいて開発した教材と授業プリントを紹介する。最終的には,受講者の皆さんと一緒に「未来の歴史教育と地理教育」について考察を深め合いたい。
1.グループワーク①:歴史教育の階層モデルとその活用:開発教材「雪谷健太の謎」に挑む。
2.グループワーク②:グループ毎に「報告書」を作成し,プレゼン資料を準備する。
3.グループワーク③:プレゼンを相互評価し評価の観点・方法を体験。妥当性と信頼性を検証する。
4.講義①:「歴史教育の階層モデル」に基づく教材作成の背景と意図を解説する。
5.講義②:「歴史科目」の変遷:戦前からの歴史教育を概観し,「歴史総合」と「世界史・日本史探求」との関係を考察する。なぜ現代史重視なのか?中学校社会科との関係も考察する。
6.講義③:歴史教育の国際比較:欧米の歴史教育制度や内容を紹介し,わが国と比較する。
7.主題学習①:「多様な資料の活用」:歴史シミュレーション教材の事例を紹介する。
8.主題学習②:歴史総合と地理総合の評価:センター試験・共通テストに題材を絞り,両科目の試験問題を取り上げて分析し,測定方法・内容のあり方について担当者と受講者でディスカッションする。
9.講義④:「地理教育の階層モデル」とその活用:「地学基礎」との関連も分析する。
10.講義⑤:「地理科目」の変遷:戦前からの地理教育を概観し,中学校社会科との関係も考察する。
11.主題学習③:「地理総合」と「歴史総合」との融合事例:近代独仏関係史とGISの活用。
12.講義⑥:地理総合授業の実践例(1):プリントを使って地図投影法,大地形の授業を体験する。
13.講義⑦:地理総合の実践例(2):プリントを使って小地形と防災教育の授業を体験する。
14.講義⑧:地理総合の実践例(3):プリントを使って気候と文化の授業を体験する。
15.総括:講義のまとめと質疑応答および定期試験(最終試験)。
 「最終レポート試験」:高校教育現場での「歴史総合」or「地理総合」の定期テスト問題の作成;レポート作成に当たっては,テストで測定する内容と評価の観点・評価方法を具体的に提示してください。学習指導案で具体的に事例を示し,テストとの整合性を明示して考察すれば評定は向上します。
◎歴史も地理も「理解する」事が大切だが,その質が異なるのではないか。歴史は本質的に「一回性」であり,地理は比較的「一般化」が可能ではなかろうか。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
〇成績基準:最終「レポート試験」(60%),第8回直後に提出する「中間レポート」(30%),授業への取り組み(10%)で総合的に判断する。
〇履修取り下げの際には,申し出ると『W』。履修取り下げの申し出が無くて,4回以上の授業欠席がある場合は『F』。そして,提出期限までに中間・最終「レポート試験」が未提出の場合は『F』。
教科書
Textbook
〇『中学校学習指導要領(平成29年3月告示)解説 社会編』文部科学省.
〇『高等学校学習指導要領(平成30年3月告示)解説 地理歴史編』文部科学省.
〇ただし,上記2冊の内容等は講義の中でプリントして配布したり,提示したりする。
 そのため,各自で購入したりダウンロードしたりすることは不要である。
参考書等
Reference Book
〇必要に応じて印刷物を配布したり,文献等を紹介したりする。
〇講義で使用するOHPはpdfとして閲覧可能にしたり,必要に応じて印刷して配布したりする。
〇なお,さらに発展的に学習したい場合は直接申し出てください。
授業開講形態等
Lecture format, etc.
〇全ての授業回について,対面で実施する。