学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法学部
時間割コード
Registration Code
0300572
科目区分
Course Category
専門科目
Specialized Courses
科目名 【日本語】
Course Title
フランス法
科目名 【英語】
Course Title
French Law
担当教員 【日本語】
Instructor
菅原 真 ○
担当教員 【英語】
Instructor
SUGAWARA Shin ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 木曜日 2時限
Fall Thu 2
対象学年
Year
3年
3
授業形態
Course style
講義
Lecture


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
この授業は、「グローバル化社会に通用する知識」を提供するための専門科目として、現行フランス憲法の基本構造(特に、国家体制および裁判制度)に関する知識を身につけ、理解を深めることを目的としています。
なぜ法学部でフランス法を学ぶ必要があるのでしょうか。フランス法学の第一人者である滝沢正教授によれば、「外国法研究に共通する意義」と「フランス法研究に固有な意義」とがあります。前者については、①外国法の適用、②自国法の改善、③補助学問としての効用、④比較法的な視野の拡大が、後者については、⑤世界においてフランス法が占める重要性、⑥日本法に与えた影響の重要性が指摘されています。
この授業では、半大統領制、二元的裁判制度、憲法ブロック、憲法院による合憲性審査、EU加盟と主権の制限など、主としてフランス第五共和制憲法における統治機構の諸特徴を学んでいきます。
併せて、比較憲法的観点から、フランスと日本の国家体制および裁判制度の比較・検討を行なっていきます。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
The purpose of this class is to provide students with knowledge of the basic structure of current French constututional law (especially the national political and court system) as a specialized subject for a globalized society.
Why do we need to study French law in Japan? According to Professor Takizawa Tadashi, an expert in French law, this is because there are "significances common to foreign law research" and "significances unique to French law research." Examples from the former group include: (1) Application of foreign law; (2) Improvement in the laws of your own country; (3) Utility as an auxiliary study; and (4) Expansion of comparative perspective, the latter sub-dividing into: (5) Importance of French law in the world, and (6) Importance of French law for Japanese law.
In this class, you will learn about the characteristics of the governing structure of the Constitution of the Fifth Republic, including the semi-presidential system, the dual court system, the constitutional block, the constitutional review system of the Constitutional Council, and restrictions on sovereignty by the European Union.
In addition, we will examine and compare the political and court systems of France and Japan from a comparative constitutional perspective.
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
授業終了時に、
(1) 現行フランス憲法の基本構造(特に統治機構、裁判制度)に関する知識を習得できている。
(2) 半大統領制、二元的裁判制度、憲法ブロック、憲法院による合憲性審査、 EU 加盟と主権の制限など、フランス第五共和制憲法の諸特徴を理解できている。
(3) 比較法の観点からフランスと日本の憲法の特色を検討することで、現実に生起している憲法現象に関する認識を深め、両国間の相違や共通点について議論し、説明することができる。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
The goals of this class are to
(1) Obtain knowledge about the basic structure of French constitutional law (especially political regime and judicial function under the Fifth Republic).
(2) Understand the characteristics of the Fifth Republic of French Constitution, such as the semi-presidential system, the two main types of court (“judicial” [i.e. civil and criminal] and administrative), the constitutional block, the role of the constitutional council, and EU and sovereignty restrictions, etc.
(3) Be able to examine and discuss the characteristics of the French and Japanese constitutional systems from the view of comparative law.
授業の内容や構成
Course Content / Plan
1.イントロダクション
最初にこの講義の概要について説明した後、フランス法を学ぶ意義について論じます。初回の授業ですので、「フランス」に関して興味を有することについて履修者から発言してもらい、フランスの政治・社会または法文化のイメージについて共有します。
2.フランスの憲法・政治体制史(教科書第1部第1章1~6)
フランスは「憲法の実験室」と呼ばれるように、大革命期から現在まで多種多様な憲法が制定され、その憲法に基づく政治体制も、立憲君主制→共和制→帝制のサイクルを繰り返してきました。1958年の第五共和制憲法制定までのフランスの国制・憲法史の展開とその諸特徴を講じます。
3.第五共和制憲法の制定および同憲法の特徴(教科書第1部第1章7・第2章1)
第五共和制憲法は、ド=ゴールの基本構想に基づいて制定されました。この憲法が制定された背景とその特徴について講じます。
4.第五共和制憲法の運用(教科書第1部第2章9)
1958年憲法の施行後、現在まで24回の憲法改正が行なわれました。フランスの憲法改正の手続、改正内容について講じます。さらに、日仏の「国民主権」および「憲法改正」を比較し、それに検討を加えます。
5.政治の領域(1):半大統領制(教科書第1部第2章1)
フランスにおける権力分立の伝統的形態と第五共和制憲法の権力分立のあり方について講じます。さらに、日本の議院内閣制とフランスの半大統領制を比較し、それに検討を加えます。
6.政治の領域(2):大統領と政府(教科書第1部第2章2・3)
大統領の地位および権限、政府の組織および権限について講じます。
7.政治の領域(3):国会(教科書第1部第2章4・5)
国会の組織、権限および憲法上の諮問機関について講じます。
8.政治の領域(4):行政組織(教科書第1部第2章6~8)
国家行政組織、地方公共団体、海外県・海外領土等について講じます。
9.政治の領域(5):欧州連合および他の欧州諸機関(教科書第1部第4章)
欧州連合(EU委員会、EU閣僚理事会、EU議会、EU裁判所)および他の欧州諸機関(欧州人権裁判所等)とフランスの関係について講じます。
10.法の領域(1):司法裁判所(教科書第1部第3章1・2)
フランスの裁判所組織は、司法権に属する司法裁判所のほかに、執行権に属する行政裁判所を有するという特徴があります。それゆえフランスは、「大陸型二元主義の母国」と目されています。この回では、司法裁判所(民事、刑事)について講じます。
11.法の領域(2):行政裁判所と特殊な裁判所(教科書第1部第3章2・3)
行政最高裁判所である国務院を中心に、フランスの行政裁判所制度について講じます。また、司法裁判所、行政裁判所のいずれにも含めることができない裁判所(権限裁判所、憲法院、高等法院、共和国司法院)の概要についても講じます。
12.法の領域(3):憲法院(教科書第1部第3章3)
1971年の「結社の自由」判決以降、人権保障機関としての役割を果たすことになった憲法院について講じます。裁判規範たる憲法の法源の問題(憲法ブロック)や2008年の事後的違憲審査制(QPC)の導入など、フランスの憲法裁判の特徴を明らかにします。
13.法の領域(4):フランス憲法と「人権」(教科書第2部第1章、第6章~第10章)
「人権の母国」といわれるフランスですが、人権保障のあり方は大きく変容してきました。18世紀から現代までの「人権」の展開とその保障のあり方に関する特徴を学んでいきます。「環境問題」「デモ・ストライキ」「食文化」「新型コロナウィルス対策」などのトピックスをテーマに、日仏の異同を検討します。
14.法の領域(5):フランス憲法におけるジェンダーとエスニシティ(教科書第2部第2章~第4章)
フランスにおける「女性」「性的少数者」「外国人」の人権問題について、フランスにおける社会運動の展開による権利の展開とその到達点をみていきます。
15.法の領域(6):ライシテと宗教的自由:(教科書第2部第7章)
フランス第五共和制憲法第1条では、「ライシテ(laïcité)」が共和国の基本原理であると位置づけられています。「ライシテ」とは何か。その歴史的展開をみていくとともに、現代フランスにおける「ライシテとイスラーム」の問題を検討します。最後に、この授業全体のまとめをおこないます。

※「事前準備学習」として、毎回の授業前に教科書の指定範囲を読んできてください。15回の授業のうち5回程度、授業終了時に簡単なリアクションペーパーを提出していただきます。
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
履修条件は特にありません。但し、比較憲法の観点から検討することもあるため、「憲法Ⅰ(総論・統治機構」および「憲法Ⅱ(人権・憲法訴訟)」を履修していることが望ましい。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
期末試験 80 %、平常点(授業における質疑応答やリアクションペーパーの提出) 20%として総点で評価します。総点で60点以上を合格とします。
教科書・テキスト
Textbook
【教科書】
・小林真紀=蛯原健介=菅原真編『フランス憲法と社会』(法律文化社、2023年)(要購入)
参考書
Reference Book
【参考書】
・初宿正典=辻村みよ子編『新解説世界憲法集〔第5版〕』(三省堂、2020年)          
・滝沢正『フランス法〔第5版〕』(三省堂、2018年)                                     
・村田尚紀『比較の眼でみる憲法』(北大路書房、2018 年)
・辻村みよ子=糠塚康江『フランス憲法入門』(三省堂、2012 年)
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
予習課題と復習課題を課します。予習課題は、毎回の授業前に教科書の指定範囲を読んできてください。復習課題は、15回の授業のうち5回程度、授業終了時に簡単なリアクションペーパーを提出していただきますので、そのテーマについてさらに履修者自身で調べてください。授業中に参考文献を提示します。
注意事項
Notice for Students
授業中、授業内容に関する質問に答えてもらうため、履修学生に当てることがありますので、それに応答してください。
授業開講形態等
Lecture format, etc.
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)