授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 政治学は、法学と並んで「社会のルールの学」の一つです。「法」を考える時に「法学的な」考え方とそうではない考え方があるように、「政治」を考える時にも、「政治学的な」考え方とそうではない考え方とがあります。言い換えれば、単に「政治」についての知識を持てば、それで「政治学的」に考えることができるというわけではありません。
そこで、この講義では、政治についての「政治学的な」考え方を身につけるために、政治学における「政治」の扱い方を説明します。特に、次の二つのポイントを重視します。
(1) 第一に、「政治」は国家・政府レベルだけのものではないということです。たとえば、みなさんは漠然と、「政治とは選挙・投票のことだ」と思っているかもしれません。しかし、「政治=選挙・投票」が当然かどうかは、「政治」をどのように理解するかに左右されます。「政治」の理解の仕方次第では、「政治=選挙・投票」は必ずしも自明ではありません。
(2) 第二に、「政治学的な」考え方には複数のタイプがあることです。具体的には、政治学的な考え方を、1) 「記述的」な考え方、2) 「説明的」な考え方、3)「規範的」な考え方の三つに整理し、特定のテーマ(民主主義、福祉、ジェンダー、経済、文化)について、政治学が記述的/説明的/規範的にどのように考えようとするのかを説明します。
受講生のみなさんの中には、「『法学』部に入ったのに、なぜ『政治』学を勉強しなければならないのか?」という疑問を持っている人もいるかもしれません。しかし、そのような疑問を持つ人が考えている以上には、法と政治には共通性も関係性もあります(もちろん違いもあります)。ともあれ、「政治(学)には興味がない」と思っている人には、「自分はなぜそう思うのか?」を問いながら、本講義を受講していただければと思います。そのように問うことも、結果的には「政治(学)」についての理解を深めることにつながるはずです。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | This course examines foundations of political science (political research). It offers an opportunity for students to understand uniquely 'political' perspectives on politics especially.
As a whole, this course emphasizes two points. The first is that politics can exist almost everywhere including not only at the state/government level, but also at societies and the private spheres. The second is that there are varieties of 'political scientific' perspective; descriptive, explanative, and normative. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN) | | 講義終了時に、以下のことができるようになっていることを目標とします。
・社会のルールの学としての政治学に関する、専門的知識を身につける。
・政治学的な「政治の見方」とはどのようなものかを理解する。
・政治学の概念と理論の学修を通じて、ものごとを総合的に判断する能力および的確に価値判断・意思決定する能力を涵養する。 |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 以下の項目に沿って講義する予定です。ただし、講義の進捗状況や受講者の学修状況に応じて、適宜変更する場合があります。
1. イントロダクション
(1)「政治とは何か」を考える
2. 政治とは何か?:①集合的決定としての政治
3. 政治とは何か?:②紛争・権力・偶然性
4. 政治とは何か?:②政治はどこにどのようにあるのか?
5. 政治は何ではないのか?:①政治と法
6. 政治は何ではないのか?:②政治と経済
7. 政治は何ではないのか?:③政治と社会
(2)政治を場から考える
8. 国家:①権力の場としての国家
9. 国家:②支配・統治の場としての国家
10. 国家:③独自の役割(機能)を果たす国家
11. 政治体制:①(自由)民主主義体制と非民主主義体制
12. 政治体制:②(自由)民主主義政治体制の諸要素
13. 市民社会と公共圏
14. 親密圏と家族
(3)政治をアクターから考える
15.政党・政治家:①代表としての政治家
16.政党・政治家:②政党形成の論理
17.政党・政治家:③政党の機能
18.政党・政治家:④政党の発展と変容
19.社会集団:①利益団体
20.社会集団:②社会運動
(4)政治学における記述・説明・規範:①民主主義
21.民主主義の記述
22.民主主義の説明
23.民主主義の規範①:自由民主主義と参加民主主義
24.民主主義の規範②:熟議民主主義と闘技民主主義
(5)政治学における記述・説明・規範:②福祉
25.福祉の記述
26.福祉の説明
27.福祉の規範
(6)政治学における記述・説明・規範:③ジェンダー
28.ジェンダーの記述
29.ジェンダーの説明
30.ジェンダーの規範 |
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履修条件・関連する科目 Course Prerequisites and Related Courses | | |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | ・基本的に学期末テストまたは学期末レポートによって評価する予定です。最終的には、講義中に説明します。
・95点以上をA+、94~80点をA、79~70点をB、69~65点をC、64~60点をC-とします(以上、合格)。59点以下をF(不合格)とします。
・数回提出してもらう予定の「レスポンス・ペーパー」の内容や提出状況等を、補助的に考慮に入れます。詳しくは、初回講義で説明します。 |
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教科書・テキスト Textbook | | 教科書として、田村哲樹・近藤康史・堀江孝司『政治学〔アカデミックナビ〕』(勁草書房、2020年)を使用します。ただし、扱うのは主に前半です。これ以外に、講義中に適宜レジュメ(ハンドアウト)を配布します。 |
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参考書 Reference Book | | 本講義で説明する「政治」の理解について、田村哲樹・松元雅和・乙部延剛・山崎望『ここから始める政治理論』(有斐閣ストゥディア、2017年)の、第2章「政治とは何か?」も参考になります。また、同書の第1章「政治理論の始め方」も、本講義の考える「政治学」のイメージを理解するための参考になります。
なお、この講義では、政治学を勉強するとは、突き詰めるならば「政治とは何か?」を考えることであると想定しています。そこで、このような問題を自分で考えてみたい人には、以下の本をお勧めします。
・杉田敦『政治的思考』岩波新書、2013年。
・ジェリー・ストーカー(山口二郎訳)『政治をあきらめない理由』岩波書店、2013年。
・マシュー・フリンダース(武田宏子訳)『それでも政治を擁護する』法政大学出版局、2023年。
その他の参考文献は、講義中に適宜紹介します。 |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | 講義前には、毎回の講義の教科書の該当箇所を予習し、講義後には、レジュメも併せて内容を復習することが期待されます。 |
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注意事項 Notice for Students | | 本講義の実施方式やその他の講義に関わる情報については、TACTを通じて適宜連絡する予定です。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | 授業形態等に変更がある場合には、TACTの授業サイトで案内します。
If there are any changes in the teaching methods after the period of course registration, they will be announced on TACT. |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | |
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