授業の目的 【日本語】 Goals of the Course(JPN) | | 理学部生命理学科が目指す「次世代を担う特色ある生命科学の人材」を育成するために、物理学や化学、コンピューターサイエンスをはじめとする異分野の学問との融合による、生物学の従来の教科書的学問からの脱皮が必要である。この講義の目的は、生命の構成要素たる生体高分子(蛋白質分子および核酸)の構造・物性・相互作用を、物理学の原理と関連付けて体系的に理解することである。さらに、最先端の研究に必要な、高度な生体計測・機器分析の利用を視野に入れる。
本講義は、IaとIbに分かれており、生命を構成する分子であるタンパク質と脂質二重膜について解明する、構造生物学的手法(核磁気共鳴法(Ia)と電子顕微鏡(Ib))や他の物理化学的計測法(Ib)について、基礎知識とその応用法を学ぶ。
Iaでは特にタンパク質の溶液中の構造と相互作用、複合体形成、分子運動に焦点をあて、NMR法について講義する。また、講義中の演習を通じて、専門的思考力の涵養も試みる。 |
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授業の目的 【英語】 Goals of the Course | | The Department of Biological Sciences aims to develop human resources who can make significant contributions to various fields of society through research in basic science and by utilizing their scientific background. The purpose of this course is to understand the structure, properties, and interactions of biological macromolecules (protein molecules and nucleic acids), the building blocks of life, by delving into the principles of physics. Furthermore, the use of advanced bioinstrumentation and instrumental analysis is essential for cutting-edge research.
This lecture is divided into two parts, Ia and Ib, in which students will learn the fundamentals and applications of two structural biology methods with atomic-level resolution: nuclear magnetic resonance (Ia) and X-ray crystallography (Ib).
In Ia, we will focus on the structure and interaction of proteins in solution, complex formation, and molecular motion, and lecture on NMR methods. The course also attempts to cultivate professional thinking skills through exercises during the lectures. |
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到達目標 【日本語】 Objectives of the Course(JPN)) | | 1 タンパク質立体構造の基本的な階層性が説明できる
2 タンパク質2次構造のそれぞれの性質や安定性が説明できる
3 構造生物学に必要な組換えDNA技術を含むタンパク質試料の試料調製法の基礎が説明できる
4 NMRの基本原理やNMRスペクトルに現れる基本的な数値の意味が説明できる
5 タンパク質のNMRの解析、特に残基特異的連鎖帰属の原理が説明でき、実際に簡単な課題が解決できる
6 機械学習およびAIの基礎動作原理を踏まえ、その構造生物学への実用的応用について簡単に説明できる |
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到達目標 【英語】 Objectives of the Course | | 1 Students will be able to explain the basic hierarchy of protein structures.
2 Students will be able to explain the stability and properties of each of the secondary protein structures
3. Students will be able to practice the basic methods of sample preparation of protein samples necessary for structural biology
4 Students will be able to explain the basic principles of NMR and the meanings of basic values that appear in NMR spectra
5 Students will be able to explain the principles of NMR analysis of proteins, especially residue specific chain attribution, and to be able to solve simple problems in practice |
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授業の内容や構成 Course Content / Plan | | 以下の内容について、教科書に準じて解説する。必要に応じて冊子またはプリントを配布する。Iaを廣明が、Ibを成田が担当する。
(Ia)タンパク質構造の基礎とNMRによる分析
・構造生物学に必要なタンパク質試料調製の基礎(プリント)第1回
・タンパク質構造の階層性(11章) 第2回
・核磁気共鳴分光法の導入としての量子力学基礎(9章) 第3回
・核磁気共鳴分光法(磁気共鳴の原理、装置、化学シフト、カップリング)(13章) 第4回
・パルスFT-NMR、磁化移動と多核種多次元NMR、タンパク質のNMR解析の原理と演習)(13章) 第5-6回
・構造生物学への機械学習・AIの利用 第7回
・理解度確認 第8回 |
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履修条件 Course Prerequisites | | 高校の物理・化学・数学を理解していること。基礎生物物理学Ia/Ibの履修登録をしていること。できれば両者の単位を修得していることが望ましいが、単位が取得できなかったものは、適宜復習し知識の習得に努めること。
この科目はabセットで履修しなくても良いがbの内容を理解するためにaの内容の前半は必須である。
This course will be taught in Japanese. However, for better understanding of b, the former part of a is necessary. |
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関連する科目 Related Courses | | 基礎生物物理学Ia/Ib
基礎生化学Ia/Ib~IIIa/IIIb |
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成績評価の方法と基準 Course Evaluation Method and Criteria | | 講義中に実施するNMR演習と、筆記試験で総合的に判断する。
NMR演習は講義第6回目に行い提出物を提出する(この提出は単位認定に必須とする)。
更に期末筆記試験を第8回目講義の後半50分を使って実施するので必ず受験すること(Ia)。 |
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不可(F)と欠席(W)の基準 Criteria for "Fail (F)" & "Absent (W)" grades | | 履修取り下げを申し出ないまま講義第6回に予定しているNMR演習と期末の理解度確認のいずれかを欠席した場合は不可とする。 |
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参考書 Reference Book | | バイオサイエンスのための物理化学 第五版(猪飼篤監訳 東京化学同人)
NMR分光法(分光法シリーズ3) 阿久津秀雄 他(講談社)※おすすめ
「Essentialタンパク質科学」(南江堂)(Ia) |
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教科書・テキスト Textbook | | アトキンス生命科学のための物理化学 第二版(東京化学同人) (Ia/Ib共通) |
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課外学習等(授業時間外学習の指示) Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours) | | 別途、タンパク質のNMRに関する小冊子を配布するので課外時間中によく学習しておくこと。
更に学習を進めたい場合は、自習用ウェブ教材や、英語原著論文を別途指示する。 |
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注意事項 Notice for Students | | 本講義の最終目標は、タンパク質立体構造情報に基づき創薬を行い、現在世界中で人類の脅威となっている新型ウイルスの流行など、危機に立ち向かう勇気ある知識人たる構造生物学者・創薬科学者の育成へと導くことである。
構造生物学的視点を常に研究に活かすことで、3年次後期以降の研究室配属における卒業研究において、最先端の知識を活かしつつ専門科学を深く正しく理解し、独創的な研究を自律的に推進することができるようになる。
抗ウイルス薬の研究に興味がある学生さんは2年次の間であっても随時研究室の見学を歓迎します。 |
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他学科聴講の可否 Propriety of Other department student's attendance | | 可 (ただしタンパク質のNMRに関する小冊子は数に限りがあるのでPDF配布となります。ご容赦ください) |
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他学科聴講の条件 Conditions for Other department student's attendance | | 物理化学に関する何らかの基礎講義を履修済みであること。
タンパク質科学の研究に興味があること。
構造生物学、構造インフォマティクス、立体構造情報に基づく創薬などに興味があり、将来、関連の大学院への進学を目指すものを特に歓迎する。 |
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レベル Level | | |
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キーワード Keyword | | 核磁気共鳴法
セントラルドグマ
天然変性タンパク質
液液相分離
タンパク質立体構造
立体構造に指南された創薬
AlphaFold2 |
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履修の際のアドバイス Advice | | 将来、創薬科学研究科に進学してアカデミアや製薬企業などで研究者として活躍したい学生は、生物物理学IaとIbに主体的に参加してください。 |
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授業開講形態等 Lecture format, etc. | | 新型コロナウイルス感染症の状況を見据えつつ、原則、対面方式で実施する。遠隔(オンデマンド)授業視聴については後述。 |
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遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置 Additional measures for remote class (on-demand class) | | 講義PDFをTACTで閲覧可能とする。講義音声については、特別に配慮が必要な学生などからの要望があれば対応する。 |
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