学部・大学院区分
Undergraduate / Graduate
法・専学
時間割コード
Registration Code
9361400
科目区分
Course Category
展開・先端科目
Advanced/Applied Courses
科目名 【日本語】
Course Title
比較公共訴訟論
科目名 【英語】
Course Title
Comparative Constitutional Review
担当教員 【日本語】
Instructor
大河内 美紀 ○
担当教員 【英語】
Instructor
OKOCHI Minori ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
秋 火曜日 4時限
Fall Tue 4
対象学年
Year
2年
2
授業形態
Course style
講義
Lecture


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course(JPN)
 日本の憲法学説は、日本国憲法の違憲審査制の理解のために、他国の憲法裁判の制度と運用を参考にしてきた。判例も例外ではなく、たとえば、最高裁の「目的効果基準」がアメリカ憲法判例の「レモン・テスト」と類似していることは有名である。そのため、日本国憲法の下での憲法訴訟の理論を理解し、判例法理を評価するためには、アメリカ・ドイツ等の憲法裁判の制度・運用に関する理解が不可欠である。 この講義では、以上の問題関心から、憲法訴訟制度の差異を念頭に置きつつ、主にアメリカとドイツの憲法判例を取り上げ、その検討を通じて、日本の憲法裁判を複眼的に理解・評価する能力の育成を目的とする。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course
到達目標 【日本語】
Objectives of the Course(JPN)
(1)日本の憲法学説が主に参考にする、アメリカ・ドイツ等の憲法裁判の制度・運用を理解する。
(2)アメリカ・ドイツ等の憲法判例の正確な理解を踏まえて、日本の憲法学説・憲法判例に援用されてきた比較法的議論の当否を検討できる。
(3)他の立憲民主政の下で起こる様々な憲法問題について、各国の憲法制度や政治社会状況を踏まえて考察し、日本でも同様な問題が生じた場合、法律家として、どのような主張をすべきかという問題意識をもつ。
到達目標 【英語】
Objectives of the Course
授業の内容や構成
Course Content / Plan
1.日本の憲法実務における比較の影響
(1)日本の法実務において、比較憲法的知見がどのように活かされているかを理解する。
(2)日本の法実務において、比較憲法的知見を活用する可能性がある場面を具体的に考えることができる。

2.違憲審査制度の多様性
(1)米独仏の違憲審査制度の基本的な特徴を理解する。
(2)米独の憲法判例にアクセスする方法を身につける。

3.プライバシー権
(1)日本のプライバシー権論について、実務における現状を理解することができる。
(2)外国において「プライバシー」がどのように論じられているかを理解することができる。

4.平等原則
(1)日本における積極的差別是正措置の現状を理解することができる。
(2)外国において積極的差別是正措置がどのように用いられているか理解することができる。

5.政教分離原則
(1)日本の政教分離について、判例理論と実務における現状を理解することができる。
(2)外国において「政教分離」がどのように論じられているかを理解することができる。

6.表現の自由(1)
(1)日本の選挙運動規制について、実務における現状を理解することができる。
(2)外国において「選挙運動規制」がどのように論じられているかを理解することができる。

7.表現の自由(2)
(1)日本の「象徴的言論」について、実務における現状を理解することができる。
(2)外国において「象徴的言論」がどのように論じられているかを理解することができる。

8.起案及び解説(1):精神的自由
アメリカまたはドイツの判例を素材として、表現内容規制にかかる具体的事案を日本にそくして検討する。

9.起案の検討(1)
上記の表現内容規制にかかる具体的事案の検討結果について、比較法的観点を踏まえて考察を深める。

10.起案及び解説(2):平等・制度的自由
アメリカまたはドイツの判例を素材として、平等・制度的自由に関する具体的事案を日本にそくして検討する。

11.起案の検討(2)
上記の平等・制度的自由にかかる具体的事案の検討結果について、比較法的観点を踏まえて考察を深める。

12.起案及び解説(3):社会権・給付的権利
アメリカまたはドイツの判例を素材として、社会権・給付的権利に関する具体的事案を日本にそくして検討する。

13.起案の検討(3)
上記の社会権・給付的権利にかかる具体的事案の検討結果について、比較法的観点を踏まえて考察を深める。

14.起案及び解説(4):経済的自由
アメリカまたはドイツの判例を素材として、経済的自由に関する具体的事案を日本にそくして検討する。

15.起案の検討(4)
上記の経済的自由にかかる具体的事案の検討結果について、比較法的観点を踏まえて考察を深める。

16.学期末試験・講評


※講義日はTKCシステムを参照のこと。
履修条件・関連する科目
Course Prerequisites and Related Courses
「憲法演習」を履修していることが望ましい。
成績評価の方法と基準
Course Evaluation Method and Criteria
平常点(講義時の質疑応答)15点、起案40点、学期末試験45点。
到達目標(1):平常点・起案
到達目標(2):平常点・起案
到達目標(3):平常点・起案・学期末試験
なお、成績評価(合否判定及び成績の区分)は、名古屋大学法科大学院が教育課程方針に基づいて策定した評価基準に従って行う。
教科書・テキスト
Textbook
とくに指定しない。
参考書
Reference Book
初宿正典・辻村みよ子編『新解説世界憲法集 第5版』(三省堂、2020年)
新井誠・上田健介・大河内美紀・山田哲史編『世界の憲法・日本の憲法』(有斐閣、2022年)
大林平吾・見平典『憲法用語の源泉をよむ』(三省堂、2016年)
松井茂記『アメリカ憲法入門(第8版)』(有斐閣、2018年)
戸松秀典・憲法訴訟研究会編『続・アメリカ憲法判例』(有斐閣、2014年)
鈴木秀美ほか『〈ガイドブック〉ドイツの憲法判例』(信山社、2021年)
各自の利用する憲法の教科書。
課外学習等(授業時間外学習の指示)
Study Load(Self-directed Learning Outside Course Hours)
TKC 教育支援システムの「カリキュラム」の各講義回の「予習案内」や「復習課題」を参照すること。
注意事項
Notice for Students
立憲民主政(日本を含む)のもとで共通に起こりうる憲法問題を、諸外国の判例・学説の動向を参考にしつつ検討することで、日本の憲法問題・憲法判例・憲法学説の理解を深めることを課題としています。そのため、「憲法演習」で学んだことを事案や制度の違いを踏まえて応用する能力が求められます。
授業開講形態等
Lecture format, etc.
授業開講形態(対面遠隔併用で実施する授業一覧)は、名古屋大学法科大学院ホームページの「News」に掲載します。URL:https://www.law.nagoya-u.ac.jp/ls/
※履修登録後に授業形態等に変更がある場合には、TKCシステム又はTACTの授業サイトで案内します。
遠隔授業(オンデマンド型)で行う場合の追加措置
Additional measures for remote class (on-demand class)
遠隔授業はTKCシステム又はTACTで行う。教員への質問方法、学生同士の意見交換の方法は次のとおりとする。なお、教員より別の指示がある場合は、その指示に従うこと。
・教員への質問は、TKCシステム又はTACT機能「メッセージ」により行うこと。