時間割コード
Registration Code
0014532
科目区分
Course Category
基礎セミナー
First Year Seminar
科目名 【日本語】
Course Title
基礎セミナー
科目名 【英語】
Course Title
First Year Seminar
使用言語
Language Used in the Course
日本語
テーマ(基礎セミナーのみ)
Theme of First Year Seminar(First Year Seminar Only)
いま「教養」を問う――「大学」で何を学ぶべきか?
担当教員 【日本語】
Instructor
加藤 哲理 ○
担当教員 【英語】
Instructor
KATO Tetsuri ○
単位数
Credits
2
開講期・開講時間帯
Term / Day / Period
Ⅰ 木曜日 5時限
I Thu 5


授業の目的 【日本語】
Goals of the Course [JPN]
少人数のセミナーの形式で,大学で学び研究するための最も基本的なスキル(コモン・ベーシック)としての読み(文献調査,考察,検討),書き(まとめ,報告書作成),話す(討論,発表)を中心とした多面的な知的トレーニングを行います。さらに「知の探究のプロセス」と「学問の面白さ」を学び,自立的学習能力を身につけることを目的としています。教員の研究分野に応じて多様なテーマが用意されています。
授業の目的 【英語】
Goals of the Course [ENG]
This course is conducted in the form of a seminar with small groups. We will provide multifaceted intellectual training focused on reading (literature research, consideration, examination), writing (summary, report writing), and speaking (discussion, presentation) as the most basic skills (common basic) for learning and studying at university. Through this, our goal is to learn the "process of knowledge exploration" and "the fun of learning" and to acquire the independent learning ability. A wide variety of themes are prepared according to the research field of the instructors.
授業の達成目標 【日本語】
Objectives of the Course [JPN]
この基礎セミナーでは、「いま教養とは何か?」という問いに導かれながら、皆で歩みを進めていくことが主たる活動となります。

わが国においても明治以降、欧米型の教育を急速に導入していく過程の中で、大学が高等教育機関として設置され、それとともにその理念としての「教養」の概念が輸入されることとなりました。しかしながら、西洋化や近代化が切実な国家目標であった時代ははるか遠くに過ぎ去り、また第二次世界大戦後に大学が右肩上がりの経済成長を支える就職選抜機関としての社会的機能を長きにわたって果たし続ける中で、またその「教養」の理念も古びた形骸化したものとなっていきました。確かに語彙として「教養」という言葉は、一般的に用いられることはあっても、それが何かと改めて問われれば、その答えは千差万別、当惑を招くものであるというのが、私たちの現状となっています。

それでは、いま私たちは大学で何を学ぶべきなのでしょうか。そして、それはなおも「教養」と名づけられるべき何かなのでしょうか。この基礎セミナーでは、現代社会における「教養」や「大学」をとりまく状況に鋭く切り込んだ「新書」から、それらの概念に内包される歴史や思想を扱った「専門書」や「古典」まで、さまざまなテクストに残された先人たちの知恵を借りながら、いま大学において学びに生きる人間として、そのような問いと各人が向き合い、またお互いに語りあっていきます。

「基礎セミナー」である以上、たとえば文献読解や学術的議論やレジュメ作成の基本的な作法など、ひろく学問に共通する「スキル」と呼ばれるものを身につけていくことはもちろんですが、それだけでなく新書や専門書や古典などを種々の書物を自主的に紐解きながら、それを頼りに「考えながら生きる」習慣を養っていくことも、この基礎セミナーの重要な目的になります(学期の終わりに、それなりに古典のような作品でも頑張れば読めるようになるという実感を持っていただければうれしく思います)。

しかしながら同時にそれだけではなく、「教養とは何か」を同じ時代を生きる学生たちとともに問いかけることをとおして、4年間の大学生活という長いようで短い貴重な時間にあって、どのようなことを経験し、何を学びながら過ごしていくのか。大学生活の出発点において、まずは大学生活を導く基本的な方向性や土台を各人が自分の手で掴み取っていくことが、この基礎セミナーの最終的な到達目標になります。
授業の達成目標 【英語】
Objectives of the Course [ENG]
教科書
Textbook
もし何らかの事象について概説的に知識や情報としてインプットさせてくれるお手軽なツールを「教科書」と呼ぶのであれば、「教養」について学ぶことのできる教科書など、そもそも存在するべきではないのではでしょうか。
課外学修等
Study Load (Self-directed Learning Outside Course Hours)
「道爾(ちか)きに在り、而(しか)るに諸(これ)を遠きに求む(孟子)」。この古人の言葉が示しているように、学や「道」が私たちにとってもっとも近いところ、つまりは私たち自身の生そのもののうちにあるとすれば、そもそも講義には内部も外部もあるはずがありません。それを踏まえた上で強いていうのであれば、講義で出会った書物の言葉を、よくよく自己の日常のうちで反復し味わい尽くすこと、それが皆さんに課せられる唯一の課外学習となります。
注意事項
Notice for Students
まず高等教育機関である大学での出発点として、「読むこと」-「思考すること」を生活の中心に据えたいと考えている意欲ある学生のご参加を期待しています。

真剣に学びたい方が抽選から外れてしまうことを避けるためにも、就職に有利な学歴を得るため、ただ専門的知識を勉強するためだけに大学に来たというような、二〇歳前後で思考の凝り固まってしまった方や、どこかの団体の履修相談会に頼って登録する科目を決めるような主体性を放棄した方は、まず履修をお控えいただければ幸いでございます。

「楽」さだけを求めてやってくるには、この基礎セミナーは沢山の本を読むことになりますし、いわゆるコスパとタイパがよいものではありません(時に延長することもあるでしょう)。シラバスを熟読していただいた上で、その主旨をよく理解し、読書や思索に身を浸す時間の一見した「苦」の先にある本当の「楽」を求める方の参加をお待ちしています。身体がまた鍛錬をしなければ段々と力を失い、柔軟さの欠けたものになっていくのと同じように、「読むこと」や「書くこと」や「考えること」など、「学問」も練習や反復によって培われる習慣になります。

そのような「エートス」を身につけるためには、スポーツにおけるトレーニングや武道の稽古と同じように、日々の継続が大事になってきますが、そのための第一歩を身につける場として、「基礎セミナー」をご理解いただければ幸いでございます。ぜひその先に、皆さま一人ひとりが、学びながら生きることそれ自体が楽しいと思えるような境地に辿り着くことを願っております。

最近の大学生は難しい本を読まなくなってけしからん、大学生なんだから岩波文庫くらいは読まなきゃね、というような硬直的な保守主義と形骸化した権威主義と、本なんか読んだって何の役にも立たなくね?何でもやってみるのが大事じゃね?というような安直な実利主義や体験絶対主義と、そのどちらにも与することなく、しなやかにいまの時代の私たちにとって真に必要となる「学び」や「教養」の可能性について、大学入学の初めに考えておきたいという学問への真摯な思いと柔軟な心を合わせもった学生の皆さんのご参加を心より歓迎いたします。
本授業に関するWebページ
Reference website for this Course
特になし。
担当教員からのメッセージ
Message from the Instructor
大学の入学試験にさえ受かってしまえば、あとは何も考えずに4年間、部活やサークル、バイトに明け暮れてさえいれば、人生は死ぬまで安泰という時代はすでに終焉を迎えています。

世の中を憂いたり、自分より上の世代を「老害」として苦々しい思いで見つめる若々しい心があるのであれば、まずはその上の世代が惰性で続けてきただけの「大学生活」のモデルに最初の一歩で染まってしまう前に、そもそも何のために大学に入ったのか、受験勉強で疲れた心を癒しながら静かに考える時間をおもちいただければと思います。勉強からの解放感や、突如として与えられた自由に対する不安に駆られて属した集団や組織が、何も考えないまま居場所となって、気づいたらそれだけに時間や労力を吸い取られ忙殺されている、などということのないように、まずは貴重な大学時間をどのように過ごすか、じっくりと考える時間をもって、何かを始めてみましょう。

この基礎セミナーが、皆さまがそうして自覚的に大学生活を歩み始めるための手助けになるのであれば幸いでございます。

部活やサークル、バイトやインターンなどを通して「社会性」を磨くことも、友人や恋人を作ることも、稼いだお金で旅行に行くことも、来たるべき就職活動のために「ガクチカ」に勤しむことも、勉強の延長線上にある資格の取得のために精を出すことも、もちろん大いにやっていただければよいと思います――そこに自覚的な問いがあるならば。

ただそれ以上に、来たるべき不確かな時代を自信をもって歩みぬいていくために、大学という場所に蓄積された先人の知恵に耳を傾けながら、本質的な問いと正面から向き合うことを通して、人生を導いていく土台をじっくりと築いていく。ただの試験に合格するためのお勉強の延長でもなく、勉強からの解放とともに学問への志向までも葬り去ってしまった知的怠惰でもなく、学問を心の中心に据えながら大学生活を歩みたいと考えている、そうした真の意味における「若さ」をもった人々の参加をお待ちしております。

就職活動もますます早期化し、皆さんをいち早く社会の側に駆り立てようとする圧力はどんどん強くなっています。その濁流に翻弄されることなく、勇気をもって思考する力を養っていきましょう。
実務経験のある教員等による授業科目(大学等における修学の支援に関する法律施行規則に基づくもの)
Courses taught by Instructors with practical experience
授業開講形態等
Lecture format, etc.
A-1)対面授業科目(対面のみ)。ほんものの学問は、現実における人格同士の生きた出会いの中にしか存在しないので、当たり前のことではありますが、本講義は「対面授業科目」となります。
対面授業の場合の講義室は、時間割B表(名大ポータル>教養教育院ページ掲載)を確認すること。